「屋根のカバー工法ってどんな施工方法なんだろう?」
と疑問をお持ちですね?
屋根のカバー工法とは、今ある屋根の上に新しい屋根を重ねて設置することです。
屋根の修理が必要になったときには、カバー工法ができないかも検討してみましょう。
カバー工法は既存の屋根を解体する工程を省ける分、費用や工期の節約につながるからです。
この記事では、カバー工法のメリットやデメリット、葺き替えとの違い、カバー工法ができる条件などを解説します。
この記事を読めばカバー工法の内容をすっかり理解でき、ベストなリフォーム方法を選択できるようになるでしょう。
カバー工法とは重ねて覆う工法
カバー工法とは住宅リフォームの手法の1つで、既存の設備の上に新しい設備を重ねて設置する方法です。
屋根の場合、既存の屋根はそのままで、上から防水シートと新しい屋根材を設置します。
古い屋根を新しい屋根材で覆う形になるので、カバー工法というのです。
住宅リフォームでは屋根の他、外壁や窓、ドアでもカバー工法が使われます。
- 外壁のカバー工法
-
既存の外壁はそのままで、上から新しい防水シートや外壁材を重ねて設置する。
- 窓・ドアのカバー工法
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窓やドアを外し、既存の枠の上に新しい枠を設置し、そこへ新しい窓やドアをはめ込む。
屋根のカバー工法と葺き替えの違い
同じく屋根の修理方法である葺き替え(ふきかえ)とカバー工法の違いは、既存の屋根材の撤去と下地の補修をするかどうかです。
葺き替えでは、既存の屋根材をすべて撤去し、防水シートや野地板といった下地も傷みがあれば補修をしたうえで、新しい屋根材を設置します。
いわば屋根全体を新しいものに取り替える方法が、葺き替えです。
それに対して、カバー工法は基本的に既存の屋根材や下地はそのままです。
そのため、カバー工法は葺き替えに比べてやや簡易的な修理方法といえるでしょう。
屋根の葺き替えの内容は、以下の記事で詳しく解説しています。
屋根カバー工法のメリット
屋根の修理やリフォームでカバー工法を採用することには、以下のようなメリットがあります。
それぞれ詳しく解説します。
費用が安い
カバー工法の費用は、葺き替えに比べて安くなる傾向です。
それぞれの費用相場を比較すると、以下のように差があります。
- 屋根修理の費用相場
-
- カバー工法
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672,286円
- 葺き替え
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785,714万円
※弊社加盟店(屋根修理業者)13社へのアンケートの回答から平均値を算出
※一般的な2階建ての建物で、足場代を含めた総額
調査期間:2023年10月27日~2023年10月29日
カバー工法の費用が安いのは、以下のような理由です。
- 既存の屋根材を撤去する作業分の人件費がかからない
- 既存の屋根材の処分費用がかからない
特にアスベスト含有のスレート屋根では、撤去・処分費用が高額になります。
その他、屋根の面積や状況によっても費用は変動しますが、基本的には葺き替えよりもカバー工法のほうが安く収まることが多いです。
できるだけ費用を抑えて屋根を直したい場合には、カバー工法を検討してみましょう。
以下の記事では、屋根修理の費用を詳しく解説しています。
工期が短い
葺き替えと比べると、カバー工法は工事にかかる期間も短いことが多いです。
葺き替えの工期が1週間~2週間程度かかるのに対して、カバー工法の工期は5日~10日程度が一般的です。
カバー工法の工期が短いのは、既存の屋根材の撤去や下地の補修作業をおこなわないからです。
屋根材の撤去には2日~3日程度、下地の補修には1日~2日程度かかることが多いです。
カバー工法では、その分の日数が省けることになります。
短い期間で工事を終わらせたい場合には、カバー工法がおすすめです。
断熱性・防音性が向上する
カバー工法をすると、屋根の断熱性や防音性が高まる効果が期待できます。
屋根が二重になることで、屋根から室内へ熱や音が伝わりにくくなるのです。
さらに屋根材の下に断熱材や吸音材を追加すれば、より高い断熱性や防音性を得ることも可能です。
屋根カバー工法のデメリット
屋根をカバー工法で修理・リフォームすることには、以下のようなデメリットもあります。
それぞれ確認しておきましょう。
耐震性が下がるおそれがある
屋根をカバー工法で施工すると、家の耐震性が下がるおそれがあります。
カバー工法をすると屋根が二重になり、重くなるからです。
屋根が重いと、地震の際に家の揺れが大きくなります。
その結果、家へのダメージが大きくなるおそれがあるのです。
そのため、カバー工法ではガルバリウム鋼板などの軽い金属製の屋根材が使われることが多いです。
家の耐震性を保てる屋根の重さを考慮して、屋根材を選びましょう。
下地の補修ができない
カバー工法では、屋根の下地部分の補修はおこないません。
カバー工法では既存の屋根材を撤去しないので、その下にある下地を確認したり補修したりはできないのです。
もしも下地に傷んでいる部分があった場合、そのままカバー工法をすると家の耐久性が低くなってしまうおそれがあります。
カバー工法をしたい場合には、下地に傷みがないかあらかじめ調査しておくことをおすすめします。
火災保険が使えないことがある
屋根の修理でカバー工法を採用した場合、火災保険は適用できないことが多いです。
カバー工法は一部分を修復するのではなく、屋根全体をリフォームする施工方法だからです。
火災保険では、あくまで受けた損害の回復にかかる費用が対象になります。
例えば台風で屋根が壊れた場合には、壊れた箇所の修理費用分の保険金が受け取れます。
しかし、カバー工法では屋根全体をリフォームするので、壊れた箇所の修理費用としては認められないことが多いです。
ただ、部分的な修理よりもカバー工法の費用のほうが安い場合など、状況によっては火災保険が適用できることもあります。
まずは保険会社に相談してみましょう。
自然災害など、突発的な事故によって建物や家財に発生した損害を補償する保険です。
詳しい適用条件や申請方法などは、以下の記事で解説しています。
屋根カバー工法ができないケース
住宅や屋根の状態によっては、そもそもカバー工法ができない場合もあります。
ご自宅が以下のケースにあてはまっていないか、事前にチェックしておきましょう。
既存の屋根に瓦を使っている
今の屋根が瓦屋根の場合は、カバー工法はできません。
瓦屋根は他の屋根材に比べて重いため、カバー工法で屋根を二重にすると十分な耐震性が保てないおそれがあるからです。
また、瓦は波打っている形状のため、カバー工法で上にかぶせる防水シートや屋根材をしっかりと固定できません。
瓦には以下のような種類がありますが、いずれもカバー工法はできないと考えましょう。
- 和瓦
- セメント瓦
- モニエル瓦
- ハイブリッド瓦
屋根の傷みや劣化が激しい
今の屋根材やその下にある野地板などの下地の傷みや劣化が激しい場合は、カバー工法はできません。
下地の傷みが激しいと、上に乗せた新しい屋根の重みに耐えられないおそれがあります。
また、屋根材自体にも広範囲に劣化が見られる場合、雨漏りなどによって下地にも傷みがある可能性が高いです。
屋根の傷みや劣化が激しい場合は、下地も補修する葺き替えを検討しましょう。
屋根の勾配が緩い
傾斜が緩やかな屋根では、カバー工法ができない場合があります。
新しく設置する屋根材に必要な勾配がないと、雨漏りが発生する可能性が高いからです。
屋根材には、それぞれに必要な最低勾配があります。
屋根材 | 必要な勾配 |
---|---|
金属屋根(縦葺き) | 1寸 |
金属屋根(横葺き) | 3寸 |
スレート | 3寸 |
アスファルト シングル | 3.5寸 |
※数値が大きいほど急勾配。
新しい屋根材に必要な勾配がないと、屋根の表面に水がたまり、雨漏りが起こりやすくなります。
適切な屋根材を選択できるよう、ご自宅の屋根の勾配を確認しましょう。
屋根カバー工法の施工手順
屋根のカバー工法の、具体的な工程をご紹介します。
家のまわりに、足場(仮設の作業床)を設置します。
棟(屋根の面が合わさる頂点の部分)を取り外します。
防水シートを敷きやすいよう、屋根をできるだけフラットな状態にするためです。
棟のカバーである棟板金を外し、棟の下地である貫板(ぬきいた)も取り外します。
雪止め金具(屋根に積もった雪が落ちないようにとどめておくための突起)が設置されている場合、取り外します。
これも、屋根をフラットにするためです。
今の屋根材に付着している汚れなどを除去します。
防水シートが屋根材にしっかり密着できるようにするためです。
古い屋根材の上全面に、防水シートを敷きます。
防水のために、軒先などの屋根の末端部分に水切り板金という金属の部材を取り付けます。
防水シートの上に、新しい屋根材を張っていきます。
棟部分に、新しい貫板と棟板金を設置します。
雪止め金具も外した場合には、新しく設置します。
屋根の工事が終わったら、設置していた足場を撤去します。
実際の工程は屋根の状況や使用する屋根材、業者の方針によって変わります。
見積りなどのときに、詳しい工程や日程を打ち合わせしておきましょう。
屋根カバー工法を依頼する業者の選び方
カバー工法での屋根の修理・リフォームを依頼するときには、以下にあてはまる業者を選ぶのがおすすめです。
- 資格を持っている
-
建築板金技能士や雨漏り診断士を持ったスタッフが在籍している業者は、知識や技術の面で信頼が置けます。
- 保証が充実している
-
施工後に施工不良や不具合があった場合に、対応してくれる保証が用意されている業者が安心です。
- 施工実績が豊富
-
自社サイトで過去の施工実績や利用者の声を多く公開している業者を選びましょう。
反対に、以下のような業者は避けることをおすすめします。
- 飛び込みで営業に来る業者
- 期限付きの値引きで契約を急かす業者
- 不安をあおる脅し文句で契約を迫る業者
屋根修理業者の選び方は、以下の記事でも解説しています。
「よい業者を選べる自信がない」という場合は、当サイト雨漏り修理110番へご相談ください。
雨漏り修理110番では、カバー工法を含めた屋根修理の施工ができる業者をご紹介しています。
業者探しの手間が省けるので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※1 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。※2 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
まとめ
屋根のカバー工法は、既存の屋根はそのままで、新しい屋根を重ねて設置する方法です。
カバー工法には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
- 費用が安い
- 工期が短い
- 断熱性・防音性が向上する
- 耐震性が下がるおそれがある
- 下地の補修ができない
- 火災保険が使えないことがある
また、以下のような場合には、カバー工法は難しいです。
- 既存の屋根に瓦を使っている
- 屋根の傷みや劣化が激しい
- 屋根の勾配が緩い
屋根の修理方法をカバー工法にするべきかどうか迷ったときには、プロに相談してみるのがおすすめです。
屋根修理の業者をお探しのときには、ぜひ当サイト雨漏り修理110番へご相談ください。
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