「八木式アンテナってどんなアンテナ?」
「八木式アンテナを設置したいけど、どれがいいの?」
八木式アンテナは、よく屋根の上に設置されている魚の骨のようなアンテナです。
この記事では、八木式アンテナの種類の違いや特徴など、以下のポイントをわかりやすく解説しています。
- 八木式アンテナの特徴
- 八木式アンテナのメリット・デメリット
- 八木式アンテナの選び方
この記事を読んでいただければ、八木式アンテナの選び方がわかり、失敗することなく無事にアンテナが設置できるようになりますよ。
八木式アンテナは昔から普及しているアンテナ
八木式(やぎしき)は昔から普及しているアンテナです。
八木式アンテナの原型は、1920年代に八木秀次と宇田新太郎によって開発されました。
開発者の名前から、「八木・宇田アンテナ」とも呼ばれています。
八木式アンテナは、1953年の地上アナログ放送から日本全国に普及し、地上デジタル放送に切り替わった今でも多くの家で利用されています。
八木式アンテナの仕組み
八木式アンテナは、魚の骨のような見た目をしており、おもに以下の3つの役割を担う部分で構成されています。
- 反射器
-
電波を反射させる部分
- 放射器
-
電波を集める部分
- 導波器
-
電波を導く部分
八木式アンテナが電波を受信する仕組みはこうです。
まず、「導波器」が電波を捕まえ、「放射器」に導きます。
「放射器」にぶつかった電波はそのまま放射器に吸収され、通過した電波は「反射器」で反射された後、放射器に吸収されます。
放射器に集まった電波は給電部に送られ、同軸ケーブルを通ってテレビに届く仕組みです。
電波は近くの電波塔から発信されるため、八木式アンテナは導波器の先端を電波塔に向けて設置されます。
八木式アンテナの寿命は約10年
八木式アンテナの寿命は、約10年といわれています。
しかし、10年というのはあくまで目安です。
八木式アンテナは基本的に屋外に設置するため、強風や大雨の影響を多く受けてしまうと、寿命が早まる場合があります。
特に、沿岸部では潮風による塩害で腐食、豪雪地域では雪による負荷や腐食が起こりやすく、10年ももたずに交換となる場合もあります。
反対に、悪天候の影響をあまり受けない地域にお住まいであれば、10年より長く使用できることもあります。
10年近く設置している八木式アンテナが寿命かどうかは、以下の劣化のサインで判断できます。
- 錆ついている
- 支線(アンテナを支える線)が切れている・たるんでいる
- 塗装が剝がれている
八木式アンテナがこのように劣化している場合、たとえテレビが問題なく視聴できていても、突然倒壊するおそれがあります。
八木式アンテナを約10年設置していて劣化のサインが現れたら、寿命であると判断し、交換しましょう。
八木式アンテナが設置できる場所
八木式アンテナは、以下の場所に設置できます。
- 屋根上
- 屋根裏
- 壁面
壁面は、マストの部分を壁に沿わせ、魚の骨のような部分を屋根の上に出して設置します。
八木式アンテナは、電波を受信しやすい屋根上に設置するのが基本です。
しかし、以下のような場合は、イレギュラーとして屋根裏や壁面に設置することがあります。
- アンテナを目立たせたくない
- 太陽光パネルが屋根上に設置されている
- 片流れ屋根、段違い屋根である
「片流れ屋根」は一方向だけに勾配がある屋根、「段違い屋根」は高さが違う片流れ屋根を合わせたような屋根のことです。
このような屋根の形は、八木式アンテナを屋根上に設置しようとするとバランスを崩してしまうため、屋根上以外の場所に設置するのが望ましいです。
八木式アンテナは屋根上に設置するのが基本ですが、建物の構造上、屋根裏や壁面の設置になる場合もあると覚えておきましょう。
また、アンテナを目立たせたくないなどの理由から屋根上以外の設置を希望する場合は、アンテナ業者に相談してみてください。
設置可能な場所の電波状況を確認し、最適な設置場所を提案してくれますよ。
八木式アンテナのメリット
八木式アンテナを設置するメリットは2つあります。
- 電波が受信しやすい
- 設置費用が安く済む
順番にご説明します。
電波が受信しやすい
八木式アンテナの最大のメリットは、電波が受信しやすいことです。
八木式アンテナは高い場所に設置するため、電波が受信しやすく、テレビ映りが安定します。
電波の強さは、以下のように電波塔から近い順に「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」に分かれているのですが、八木式アンテナはすべての地域で電波を受信できるほど、受信感度が高いです。
八木式アンテナは、素子と呼ばれる棒状の部分の数が多くなればなるほど受信感度が高くなります。
そのため、お住まいの地域が「弱電界地域」でも、素子数が多い高性能の八木式アンテナを設置すれば、問題なくテレビが見られるようになるでしょう。
また、冒頭でもお伝えしたとおり、20素子の八木式アンテナであれば、幅広い地域(強電界地域~中電界地域)に対応しているため、なかでも20素子の八木式アンテナが選ばれることが多いです。
設置費用が少しだけ安く済む
八木式アンテナのもうひとつのメリットは、設置費用の安さです。
業者に設置が依頼できる地デジアンテナには、八木式アンテナの他に、「デザインアンテナ」と呼ばれるアンテナがあります。
八木式アンテナはデザインアンテナに比べて本体代が安く、設置費用も少しだけですが安く抑えることができます。
実際に弊社にご相談いただいたアンテナ設置の費用相場をそれぞれ出してみたところ、八木式アンテナは、デザインアンテナより平均1,067円安く設置されていたことがわかりました。
アンテナの種類 | 設置費用平均 |
---|---|
八木式アンテナ | 45,232円※1 |
デザインアンテナ | 46,299円※2 |
※1.八木式アンテナ
集計期間:2019/4/1~2022/4/1(225件)
集計対象:弊社運営サイト全体における八木式アンテナ設置の施工実績
※2.デザインアンテナ
集計期間:2019/4/1~2022/4/1(1,710件)
集計対象:弊社運営サイト全体におけるデザインアンテナ設置の施工実績
集計方法:対象の平均値を算出し、小数点以下を四捨五入
※大規模な施工など特殊なケースを除く費用の平均値を算出するため、上下2.5%の施工費用を異常値として集計対象から除外しています。
ほんのちょっとの差ではありますが、少しでも費用を安く抑えたい方は、八木式アンテナを選ぶとよいでしょう。
八木式アンテナのデメリット
八木式アンテナのデメリットは、おもに2つあります。
- とにかく見た目が大きくて目立つ
- 風の影響を受けやすく倒壊するおそれ
順番にご説明します。
とにかく見た目が大きくて目立つ
八木式アンテナはとにかく見た目が大きく、屋根上に設置すると目立ちます。
屋根の上に設置する八木式アンテナと、壁面に設置するデザインアンテナを比べてみると、このように八木式アンテナのほうが全体的に見て目立つことがわかるかと思います。
八木式アンテナは、アンテナを支えるマストと呼ばれる棒状の部分だけでも、高さが2m〜5.5m※あるため、存在感が出てしまうでしょう。
※DXアンテナの場合(2022年10月時点)
また、八木式アンテナは、素子数が多くなればなるほど横が大きくなります。
八木式アンテナの素子数に対する大きさの比較
※14素子……DXアンテナ(型番:UA14)
※20素子……DXアンテナ(型番:UA20)
※30素子……DXアンテナ(型番:UAX30)
このように、八木式アンテナは屋根上に設置するため、外観が気になってしまう方もいるかもしれません。
特に、電波が弱い地域にお住まいの場合は素子数が多くなり、横にも目立ってしまうでしょう。
風の影響を受けやすく倒壊するおそれ
八木式アンテナのもうひとつのデメリットは、風の影響を受けやすく、倒壊するおそれがあることです。
八木式アンテナは基本的に屋根の上に設置するため、台風などの強風の影響を受けやすく、倒れて破損することがあります。
実際に、弊社シェアリングテクノロジー株式会社では、2018年9月4日に大きな被害をもたらした台風21号が発生した直後、アンテナに関する相談が殺到しました。
大きい台風が発生すると、これだけアンテナの被害を受けるリスクがあるということです。
ちなみに、八木式アンテナの修理が必要になった場合の費用の相場は、40,304円※でした。
グラフにすると、以下のようになります。
集計期間:2019/4/1~2022/4/1(154件)
集計対象:弊社運営サイト全体における八木式アンテナ修理・交換の施工実績
集計方法:対象の平均値を算出し、小数点以下を四捨五入
※大規模な施工など特殊なケースを除く費用の平均値を算出するため、上下2.5%の施工費用を異常値として集計対象から除外しています。
八木式アンテナの修理費用は、方向がズレたくらいなら安く済みます。
しかし、強風や大雪の影響で倒壊した場合は本体も傷んでいるため、基本的に交換になり高くなりやすいです。
このように、八木式アンテナは台風などの強風の影響を受けやすく、倒れてしまうリスクがあります。
自然災害によるアンテナの破損は「火災保険」が使える可能性がありますが、台風などの災害によるアンテナ修理は予約が混みやすく、しばらくテレビが見られなくなることも考えられます。
強風が吹くたびにアンテナが倒れないか心配になってしまうのは、八木式アンテナのデメリットといえるでしょう。
八木式アンテナは国内メーカー製なら安くてもOK!
八木式アンテナは、国内メーカー製であれば安いものを選んでも問題ありません。
具体的にいうと、国内メーカーの「20素子の八木式アンテナ」であれば大半のご家庭で問題なく使用できます。
20素子の「素子」とは、八木式アンテナの魚の骨のような棒状の部分ことをいい、素子の数が多いほど電波を受信する性能が高いということになります。
八木式アンテナは、「14素子」「20素子」「30素子」などから選べますが、「20素子」が選ばれることが多いです。
20素子のアンテナは、幅広い受信環境の地域に対応しているため、よっぽど電波が弱い地域ではないかぎり、十分受信できるでしょう。
ちなみに国内の代表的なアンテナのメーカーは、「DXアンテナ」「日本アンテナ」「マスプロ電工」の3社です。
3社の20素子の八木式アンテナを比較してみましたが、大きさと性能はほぼ同じでした。
アンテナの性能の高さは、「動作利得」の数値で確認できます。
動作利得とは、電波を受信する感度のことです。
dB(デシベル)という単位で表されており、数値が大きくなればなるほど受信感度が高くなります。
しかし、3社のアンテナの動作利得の数値はほぼ同じだったため、選ぶなら一番安いDXアンテナの商品がおすすめです。
▼国内の有名アンテナメーカー3社の八木式アンテナ(20素子)を比較
- DXアンテナ UA20 (旧UA20P3)
-
- 価格
-
4,130円
- 大きさ
-
1374×340×518mm
(長さ×幅×高さ) - 重さ
-
0.98kg
- 動作利得
(dB) -
8.5〜13.8
※価格は2022年10月時点のAmazon価格(税込)です。
- 日本アンテナ AU20FR|AU20FR 14-2820
-
- 価格
-
4,708円
- 大きさ
-
1483×356×534mm
(長さ×幅×高さ) - 重さ
-
0.9kg
- 動作利得
(dB) -
8.5~13.5
※価格は2022年10月時点のAmazon価格(税込)です。
- マスプロ電工 U206TMH
-
- 価格
-
5,834円
- 大きさ
-
1480×393×544mm
(長さ×幅×高さ) - 重さ
-
約1.1kg
- 動作利得
(dB) -
10.1~13.5
※価格は2022年10月時点のAmazon価格(税込)です。
まとめ
八木式アンテナは、電波を受信しやすく、設置費用が安く済むメリットがあります。
ただし、見た目が大きく、風の影響で倒壊するリスクがあるデメリットもあります。
「八木式アンテナ」と調べるとたくさん種類が出てきますが、電波が弱い地域でないかぎり、国内メーカーの「20素子」の八木式アンテナを選んでおけば問題ないでしょう。
20素子の八木式アンテナであれば、幅広い受信環境の地域に対応しているため、テレビが十分見られるはずです。
アンテナの設置や交換をご希望の方は、アンテナ110番にご相談ください。
アンテナ110番では、現地調査・見積りを無料※でおこなっている業者をご紹介しています。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
お電話でのご相談は24時間365日受け付けていますので、いつでもお気軽にご連絡ください。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、本日中の施工が難しい場合があります。
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