チェーンソーはメンテナンスが必要な道具です。定期的な点検やお手入れが必要だということをご存知でしたでしょうか?手入れをすることでチェーンソーを長持ちさせることができます。
ここのコラムでは、チェーンソーの刃を研ぐタイミングの見極め方や点検の手順まで、詳しく説明しています。チェーンソーのお手入れ方法を全体的に把握しましょう。
「チェーンソーの手入れをしたいけど、どこから始めていいかわからない」という方は、この記事で紹介している“目立て”から始めてみるのをおすすめします。
チェーンソーのメンテナンスをおこなう前に確認するポイントは?
チェーンソーのメンテナンスの準備として、自分のチェーンソーの状態を把握しましょう。どこが劣化していて、どこが大丈夫なのかを知ることで、より効果的なメンテナンスができるようになります。実際のメンテナス作業は、ここでチェックした項目に合わせておこなうことなります。
チェーンソーの刃の切れ味
チェーンソーの刃を研ぐ作業のことを目立てといいます。チェーンソーの刃は、一般的には給油2回につき1回は“目立て”が必要です。しかし、石や金属などの硬いものに刃が触れた場合は普段と比較にならないくらい切れ味が悪くなってしまいます。
定期点検として給油2回につき1回は切れ味を回復させるようにし、切れなくなったと感覚でわかるようなら、そう感じたタイミングで目立てをしましょう。
切れ味が悪くなったかどうかの判断基準としては、まっすぐに切れなくなることや、木くずが細かくなったときなどが挙げられます。また今までよりも力がいると感じるときなども、目立てが必要なタイミングとして考えてよいでしょう。
エンジン部分
チェーンソーの内部には木材を削った際のおがくずが入り込みます。入り込んだおがくずは内部の冷却装置などに詰まり、熱を逃がす仕組みを阻害します。チェーンの滑りを邪魔してしまうこともあるのです。
このようにチェーンソー内部に木くずが溜まっている場合は、ファンカバーなどの外装部品を取り外して内部を清掃する必要があります。
内部でチェックするのは、冷却部分のひだになっている部分やオイルが付いている部分、隙間のある場所などです。ドライバーなどを使って掻き出すとよいでしょう。
チェーンソーオイルのオイルフィルター
チェーンソーの刃の滑りをよくし、摩擦による消耗や発熱を防ぐ働きがあるのがチェーンソーオイルです。オイルのタンクの中にはフィルター付きの管が通っています。
この管がチェーンソーオイルを全体に供給しているのですが、フィルターの目が詰まってしまうとオイルの供給が途絶え、チェーンの不具合を起こしてしまいます。
オイルタンク内に木くずが入ってしまうことなどが詰まりの原因となります。フィルターが詰まっている場合は、交換することで対処できます。点検の際にはチェックしましょう。
チェーンソーの刃の研ぎ方
刃物には研ぐ作業がつきものです。目立てはチェーンソーの切れ味を維持し、長く使っていくためには必要不可欠な作業です。方法とコツについては以下でご紹介しますので、チェーンソーをお持ちの方は覚えておきましょう。
目立ての方法は複数
目立てには、やすりを使って手作業でする方法や電動の器具を使う方法など、いろいろな手段あります。電動の目立て器具を使用することで時間を短縮することができますが、基本的には自分の手で目立てをするのが一般的です。目立てをする方法には、以下のようなものがあります。
【電動目立て器具を使う】
もっとも短時間で簡単に目立てをおこなうことができる方法です。自動で目立てができるので、木を伐採する業者のように何本もチェーンソーを持っている場合には重宝します。
学習塾に電動の鉛筆削りがあると、鉛筆を削る手間が省けて子供の勉強の効率が上がりますよね。それと同じように、電動目立て機があれば道具の手入れに割く時間が短縮できます。
ただし、電動の目立て機の価格は1万円前後で、目立て機の部品交換などのランニングコストもかかるので、導入を検討する際はコスト面を考慮しましょう。
【目立てを補助する器具を使う】
チェーンソー専用の研ぎ器には、デプスの調整や研ぐ角度の固定など手作業で難易度の高い作業補助するガイド器具があります。手作業でおこなう目立てがうまくいかない場合はこのガイドを使うといいでしょう。
【やすりとゲージまたはホルダーを使う】
もっとも一般的な方法です。目立ての角度を固定する目立てゲージや、やすりホルダーを使って研いでいきます。単純でわかりやすい作業なので、覚えてしまえばどんなチェーンソーでも対応できるようになります。
【やすりのみでおこなう】
ゲージなどを使用せず、やすりだけでおこなう方法です。一定の角度を保って研ぎ続ける必要があるため、上級者向けの方法になります。
しかし、他の方法にはやすり以外の道具が必要ですがこの方法ならやすり以外の道具は要りません。やすり一本あればどこでも手入れができるので、他の方法で目立ての感覚に慣れたらやすりだけでできるように練習すると便利です。
目立ての方法解説!やすりとゲージを使った方法
ここからは前項で挙げたチェーンソーの研ぎ方の中でももっとも一般的な目立てゲージを使った手順を解説していきます。
用意するものは、チェーンソーの機種に合った口径の丸やすりと平やすり、目立てゲージとデプスゲージジョインターの3点です。目立てゲージには対応する刃の種類が決まっているものがあるので、お持ちのチェーンソーの刃に合ったものを選びましょう。
【チェーンソーの準備をする】
まずはチェーンソーについている汚れをしっかりと落とし、刃を万力やクランプで固定しましょう。汚れを落とすことで、刃の異常や本体の損傷に気づく場合があるからです。また目立ての際はチェーンを強めに張っておくことで、やすりから刃が逃げにくくなり、作業がしやすくなります。
【目立てゲージをセットする】
目立てゲージを目立てする刃に取り付けましょう。目立てゲージを角度に合わせて刃に取り付けたあと、ローラーにやすりを乗せて使用します。
【刃を研ぐ】
つぎにホルダーやゲージなどのガイド器具の角度に合わせてやすりを動かし、刃を研いでいきます。注意したいのは、ガイドバーに対するやすりの角度です。ガイドバーに対しては、やすりを直角に当てるようにしましょう。
また、研ぐときはやすりの上部1/4が刃よりも上に出るように意識すると、理想的な研ぎ口になります。刃の研いだ面に新しい金属の面が均等に出て光っている状態になれば完了です。
【デプスゲージジョインターでデプス調整】
平やすりを使って高すぎるデプスゲージを削ります。刃よりもデプスゲージが高くなっていると、うまく削ることができなくなってしまいます。デプスゲージジョインターなどの専用の器具を使って、はみ出したデプスゲージを平やすりで削りましょう。
目立てのコツ
【切れなくなる前に目立てをする】
研ぐというと切れなくなったものを修理する作業だという印象をお持ちかもしれませんが、目立ては修理ではなくメンテナンスの一環であるといえます。チェーンソーは2回の給油につき1回目立てをするのがいいとされています。
切れ味が悪くなるまで放っておいて、刃がぶれてしまうとチェーンの交換が必要になってしまうかもしれません。感覚に頼らず、目立ては保守管理の一環として定期的におこなうようにしましょう。
【やすりは押して使用する】
やすりは引くときよりも押し込む際により強く削ることができます。目立てでは押し込む際に力をかけて削るようにしましょう。正しい使用方法を守ることでやすりの長持ちにもつながります。
【新しいやすりを使用する】
目がつぶれた古いやすりを使用していると作業時間が長引き、削ったあとの鋭さも得られません。目立てをする際は新しいやすりを使用しましょう。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、本日中の施工が難しい場合があります。※2 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※3 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
チェーンソーの手入れをしてみよう!
刃以外にもエンジンやオイルタンクなどで成り立っているチェーンソー。長く使っていくためには点検が必要不可欠です。ここでは保守管理に関わるチェーンソーの手入れの方法を紹介していきます。
まずはチェーンソーが冷えていることを確認
前提として、チェーンソーの手入れはチェーンソーが冷えていることを確認してからおこないましょう。チェーンソーには引火性の燃料やオイルが入っており、エンジンは高温になります。危険を回避するためにも、お手入れはチェーンソーの使用直後におこなうことは避けましょう。
ガイドバーとソーチェーンを外す
ガイドバーとソーチェーンには常にオイルが付いており、木くずと混ざって汚れが残りやすい部分です。体側面のクラッチカバーを外すことでチェーンやガイドバーを取り外せるので、しっかりと拭き掃除をしましょう。また、このときカバーに付いた汚れも除去しておきましょう。
内部の掃除する
ファンカバーを取り外し、空気の取り入れ口を清掃します。ファンカバーを外すことで本体内部がよく見えるようになります。ジャバラ状の冷却装置であるシリンダーフィンなどにはよくゴミが溜まるのでドライバーなどでかき出しましょう。
エアクリーナの掃除
空気のろ過装置であるエアクリーナを掃除します。エアクリーナはカバーを外せば簡単に取り出すことができます。取り出したエアクリーナからゴミを取り、クリーナの入っていた場所もきれいに掃除しましょう。
分解した手順と逆の手順で組み立てる
分解する際には部品を順番に並べていくと組み立てが楽です。組み立てが完了したら、正常に動作するかテストします。動作に問題がなければチェーンソーの手入れは終了です。
よく起こりがちなチェーンソーのトラブルと対処法
意外と繊細なチェーンソーは突然のトラブルが起こる場合があります。ここではよくあるトラブルと対処法を挙げてみました。困ったときの参考にしてみてください。
【まったく切れない、急に切れなくなった】
木材以外の硬いものに刃が触れたときは、急に切れなくなる場合があります。もし急激に切れ味が悪くなった場合は作業をやめ、刃の様子を確認し、必要であれば目立てをしましょう。
刃こぼれ以外の原因としては刃の取り付け向きが回転方法と逆になっていることも考えられるので、確認してみましょう。
【チェーンが弛む、落ちる】
新品のチェーンを使用している場合、最初はよく伸びるため張りが弱くなることがあります。また、チェーンが何らしかの理由で正しくセットされていない場合もあります。ガイドバーとの接続を確認してみてください。
【チェーンが張って動かない】
オイルが循環していないおそれがあります。オイルを補充していない場合は、チェーンオイルを使いましょう。また、オイルを補充しているのに刃が動かない場合はオイルフィルターが詰まっている可能性も考えられます。一度タンク内のフィルターを確認してください。
【チェーンが切れる】
チェーンオイルが少ない場合は、摩擦が発生してしまうためチェーンが切れやすくなります。またチェーンが老朽化すると切れてしまいますので、古いチェーンは交換しましょう。
まとめ
今回はチェーンソーの研ぎ方からメンテナンスに関してお伝えしました。点検をする際は、まずは必要なメンテナンスが何なのかを決めるところから始めてみてください。メンテナンスは一度にすべてをおこなう必要はありませんので、必要な項目だけやりましょう。
チェーンソーを使用する際に意識するべきことは、整備点検をこまめに定期的におこなうことです。丁寧に使うことで、ひとつのチェーンソーを長持ちさせることができるので、今回紹介したことを実践してみてください。