犯罪が多様化、複雑化するにつれ、防犯カメラの「役割」がより重要になってきています。ですが、防犯カメラの役割をきちんと理解している人は、意外と少ないのではないでしょうか。
というのも、防犯カメラを設置する場所によって、防犯カメラが果たす役割や得られる効果が異なるからです。
ここでは、防犯カメラによる防犯効果をフルに発揮させるために、「防犯カメラの役割」や「得られる防犯効果」をご紹介します。また、防犯カメラと監視カメラの違いもあわせてご紹介しますので、導入の際にはぜひ参考にしてみてください。
防犯カメラの役割は威嚇・監視・撮影
防犯カメラには主に3つの役割があります。それは「威嚇」「監視」「撮影」の3つです。それぞれについて詳しく解説していきます。
威嚇
威嚇とは、簡単に言えば、自分の身を守るために相手を脅かすことです。この意味を防犯カメラにあてはめると、「自分の身を犯罪から守るために、防犯カメラを用いて、相手を脅かす」ということになります。防犯カメラにおいては、この威嚇がメインの役割です。
防犯カメラで威嚇、つまり防犯カメラの存在をあえて明らかにすることで、「あっ!防犯カメラがあるから迂闊なことはできないな……」と思わせることができるからです。こういった意識づけをおこなうことで、犯罪を未然に防ぐのです。
監視
監視とは、社員などの従業員を監視することを指します。主に、実際に発生した犯罪やトラブルに関する情報や証拠を収集することを目的としています。監視カメラにおいては、この監視がメインの役割です。
防犯カメラにも監視の役割はありますが、威嚇がメインゆえに、監視の意味合いはどうしても小さくなります。なぜなら、威嚇をフルに発揮するためには、防犯カメラの存在を相手に知らせる必要があるからです。
カメラの存在に気づいた犯人は、そのカメラの前で、決定的な証拠を残すことは考えにくいでしょう。つまり、防犯カメラでは、監視の目的である「証拠、および事実の記録」が難しくなるということです。
このことから、「威嚇」と「監視」は相反する役割であることがわかります。威嚇を重視すれば監視の効果が、監視を重視すれば威嚇の効果が小さくなるということです。ですので、威嚇と監視は両立が難しい役割といえるでしょう。
撮影
撮影とは、静止画や動画を記録することです。防犯カメラには撮影の役割もあります。また、カメラによってはカラーで撮影が可能なものもあります。導入する際は、どういった撮影ができるカメラが最適なのかを確認しておきましょう。
防犯カメラは設置する場所によって効果が変わる!
防犯カメラには3つの役割があることを示しました。ですが、防犯カメラを設置する場所によっても、カメラが果たす効果に変化があります。
自宅の場合
考えられるメリットは以下のように考えられます。一度確認してみてください。
【防犯対策をしていることを示せる】
防犯意識が高いことを示すことができます。その結果、「この家に侵入するのはハードルが高そうだな……」と思わせ、犯罪行為を未然に防げるかもしれません。
【自宅から離れた場所でも状況を確認できる】
設置した防犯カメラにWi-Fi機能が備わっていれば、自宅から離れた場所でも、ノートパソコンやスマホで映像を確認できます。なにか異変があればすぐに対処できるでしょう。外出先でも自宅の安全を確認できる心理的安心感はとても大きいです。
会社や店などの場合
多くの金銭や情報が出入りするため、自宅よりも狙われる確率が高いケースもあります。こういった場所に防犯カメラを設置した場合、どのような効果を得られるのでしょうか。
【侵入者の早期発見】
普段は出入りしていない人間の存在に、いち早く気づくことができます。このことから、犯罪行為の未然防止に貢献してくれます。
【侵入者の特定ができる】
万が一、侵入者を取り逃がしたとしても、防犯カメラの撮影映像で、侵入者を特定できるかもしれません。犯人逮捕も可能になり、また同じ犯罪行為に対する「再犯対策」をうつことができます。
【社内不正の抑止】
カメラの存在を周知させることで、社内関係者による不正を未然に防ぐことができるかもしれません。目立つ場所や、機密情報が保管されている場所に設置しましょう。
神社など出入りが自由な場所
近年では、人の出入りが自由な公共の場所でも犯罪行為が増えてきました。以下に具体的な内容を記載しましたので、参考にしてください。
【イタズラ防止】
ラクガキなどのいたずら行動を抑制します。また、不法侵入そのものを防止することにつながりますので、高い効果を期待できるでしょう。
【不法投棄の抑制】
誰も見ていないのをいいことに、神社などの公共の場でゴミの不法投棄をする人がいます。防犯カメラを置くことにより「見ているぞ」と相手を威嚇することができますので、高い抑止力を期待できるでしょう。
【賽銭泥棒や放火の抑止】
万が一放火をされた場合、対処が手遅れになり全焼することも考えられます。放火のような危険な犯罪行為を未然に防ぐには、抑止力の高い防犯カメラが最適です。
防犯カメラを自宅に設置するか、社内に設置するか、公共場所に設置するかで、効果はすこし変化します。ですが、いずれの場合も高い防犯効果をもたらしてくれることに変わりはありません。防犯カメラは防犯において、有効な手段であるといえます。
防犯カメラと監視カメラの違いはコレ!
両者の違いを簡単に言いますと、「防犯カメラ」は犯罪を未然に防ぐことが目的です。一方、「監視カメラ」は情報や証拠の収集を目的としています。
目的のみに注目すると、防犯カメラと監視カメラは同じものに見えるかもしれません。ですが、「防止する」と「証拠を残す」では、両者の間に大きな違いがあることがわかります。
「防止する」と「証拠を残す」の違い
防犯カメラの場合、犯罪の抑止、および防止を目的としています。なので、防犯カメラを設置する場所は「目立つ場所」であり、設置するカメラは「相手を威圧するような、存在感のあるカメラ」でなければなりません。
なぜなら、防犯カメラは「未然」に犯罪を防ぐことに重きを置いているからです。「目立つ場所」と「存在感のあるカメラ」を選ぶことにより、防犯カメラが果たす役割の内のひとつである、「威嚇」を存分に発揮できます。
一方、監視カメラの場合は、犯罪の証拠を押さえることを目的としています。したがって、実際に監視カメラを設置する場所は「目立たない場所」であり、設置するカメラは「相手に自分の存在を気取らせない、存在感のないカメラ」になります。
これにより、監視カメラが果たす役割の内のひとつである、「監視」の効果を最大限に発揮できるのです。
ようするに、防犯カメラは「事件が発生する前に効果を発揮すること(「威嚇」による犯罪の未然防止)」が主な役割であり、監視カメラは「事件が発生した後に効果を発揮すること(「監視」による情報と証拠の収集)」がメインの役割ということです。
目的に合わせて【形状】と【機能性】を選ぼう
ひとことで「防犯カメラ」といっても、防犯カメラは多種多様です。ここではそのなかでも代表的なタイプをご紹介します。
形状で選ぶ
防犯カメラにはさまざまな形状があります。ここでは数多くあるタイプから、いくつか代表的なものをご紹介します。
≪ドーム型カメラ≫
ドーム状の形状をしているため、心理的な圧迫感が少ないです。その代わりに、カメラの死角がわかりづらいので、不審者に対して強力な牽制効果があります。また、ドーム型カメラには360度旋回するタイプもあり、死角の範囲が狭いです。
≪ボックス型≫
四角い形で細長い形状のカメラです。「これぞ防犯カメラ」という形で、存在感があり高い威嚇効果に期待できます。ただし、防犯の視野が狭いためドーム型に比べて死角を作りやすいのが欠点です。
≪小型カメラ≫
基本的に、指で摘まめるほどの大きさのカメラを指します。形状は箱型や筒形など、さまざまなタイプがあります。不審者を威嚇する能力はありませんが、監視にはとても向いています。
≪カモフラージュ型カメラ≫
カモフラージュカメラは、日用品などに偽装したカメラのことです。主に、置時計型やペン型、USB型などが該当します。小型カメラ同様、威嚇効果は小さいですが、情報や証拠を収集する際には大きな力を発揮します。
機能の高さで選ぶ
防犯カメラを設置する際は、まず威嚇効果と監視効果のどちらを重視するのかを決めましょう。その際は、犯罪がまだ起きていない場合は威嚇効果が高いものを選びます。一方で、すでに犯罪が発生しているのであれば、証拠を集める必要がありますので、監視効果の高いカメラを選択しましょう。
また、設置する場所によっては防水機能が必要なことがあります。ほかにも、暗視機能が備わっているものや遠隔操作が可能なもの、カラー撮影ができる機種もあります。あなたが直面している状況に最適なタイプを選びましょう。
防犯カメラは業者選びが重要!
防犯カメラは多種多様ですが、それは業者も同じことです。防犯カメラに関する業者も数多くあります。ですので、ここでは業者を選ぶ際のポイントをご紹介します。
防犯設備士が対応
防犯設備士とは、簡単に言えば「防犯の専門家」です。具体的には防犯設備に関する専門的な知識や技能に基づき、防犯設備の設計などをおこなう人のことです。このようなプロがサポートしてくれるのであれば、安心できるでしょう。
いつでも対応可能
犯罪はいつどこで発生するかはわかりません。このことから、防犯も可能な限り24時間体制で臨むことが好ましいです。したがって、こういった要望にも応えてくれる業者がよいでしょう。早朝や深夜でも対応してくれる業者であれば、心強いです。
アフターサービス保証付き
アフターサービス保証付きであると、以下の2つのメリットがあります。
- 故障などといったトラブルの際、すぐに復旧できる
- 自分で解決しなくてよいので、時間と労力がかからない
【1】故障などといったトラブルの際、すぐに復旧できる
故障などトラブルが防犯カメラに発生した際、自分で復旧させようとすると、時間がかかるケースが多いです。というのも、すでにご紹介したように防犯カメラの設置は意外と難しいからです。
しかし、アフターサービス保証付きであれば、防犯カメラの設置や修理を迅速かつ確実におこなってくれます。このことによって大きな安心感を得られるでしょう。
【2】自分で解決しなくてよいので、専門知識は必要なし
自分で防犯カメラの再設置や修理をしなくてよいので、防犯カメラ設置に関する地方自治体の条例や、防犯カメラに関する勉強や情報収集をしなくて済みます。そのため、防犯カメラに時間を取られることは少なくなります。
仕事などで時間を作ることが難しい人ほど、アフターサービス保証付きを選ぶことをおすすめします。
防犯カメラの設置で犯罪件数が年々減少!
実際のところ、防犯カメラには犯罪を抑止することが判明しています。愛知県刈谷市のケースだと、2012年には2,239件だった刑法犯認知件数が、2017年には1,200件にまで減少しています。
情報元:(日本経済新聞 防犯カメラの設置増で犯罪件数が半減 刈谷市 2018/2/28)
もし、犯罪に対して不安を感じているのであれば、犯罪に対して高い抑止力を発揮する防犯カメラの設置をおすすめします。
まとめ
近年の科学技術の発展には目を見張るものがあります。しかし、その技術を悪用する人が続出し、犯罪が多様化、複雑化しているという側面があるのも事実です。このことから、犯罪に対して、個人でもなにかしらの対策が必須の時代になったといえます。
数多くの犯罪対策のひとつである「防犯カメラの設置」は、賢い防衛手段のひとつといえます。ただ、どのタイプのカメラを、どこに設置するかで防犯効果も変わってきます。
もし、あなたがより高い防犯効果を求めるのであれば、防犯カメラを設置する前に、一度プロに相談するべきでしょう。防犯カメラの役割と機能をフルに発揮させ、犯罪に対してより、安全な環境の構築に貢献してくれるはずです。