映像通信技術の発達と情報化社会への移行にともない、防犯・監視カメラはより身近な存在になってきました。ご自宅や職場に防犯・監視カメラを導入しようと検討されている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、そもそも防犯カメラと監視カメラは何が違うのか、どんなことができるのかといった基礎的な知識から、どんな種類のカメラがあってどのような用途に使うのが適しているのかといったカメラ選びのコツをご紹介します。
また、実際に取り付ける際の取り付け方、取り付け場所のポイントなど、防犯・監視カメラを使えるようになるために役立つ様々な情報をお伝えします。
まずおさえたい!防犯・監視カメラの必要性
防犯・監視カメラと聞いて、まず思い浮かべるのはどんなイメージですか?銀行や商業施設、繁華街などで犯罪抑止のために目を光らせている、少し物々しい印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
もちろんそういった人の集まる場所に設置されているのも、防犯・監視カメラの重要な役割の一つです。同様に、ご家庭やオフィスなどでも防犯・監視カメラが効果を発揮できるケースがあります。
まずはどのような目的で防犯・監視カメラが導入されているのかをご説明します。
防犯・監視カメラの目的と違い
防犯カメラと監視カメラを分けるポイントはずばり、カメラを設置する目的の違いです。
以下にそれぞれのカメラの目的と特徴を記載します。
防犯カメラ
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- 読んで字の如く犯罪を防止するために取り付けられているカメラ
- カメラの目が光っていることを第三者にアピールし、起こり得る犯罪行為を未然に防ぐことが目的
- 目立つ場所に、それと分かるよう設置され、見た目はいかにもカメラ然とした形状
- その性質上、実際に録画や撮影をしていなくとも威圧感を与え、ある程度の防犯効果を見込める
- 形状だけを真似たハリボテ、ダミーカメラを使うことで費用を抑えられる場合もある
監視カメラ
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- 犯罪が起きてしまった際に、犯人を特定したり経緯を明らかにする為に用いられることが多いカメラ
- オフィスであれば会社員の就労姿勢を確認したり、不正行為が行われていないか見張ったりといった用途に使われることもある
- 犯行の一部始終を抑える目的上、カメラの存在が第三者に露呈してしまうようでは効果が薄くなりがち
- 一見してカメラとは分からないような形状で、小型のものを目立たないよう隠して設置することが一般的
- 個人を特定する必要があるため、防犯カメラよりも解像度の高いものが好まれる
防犯・監視カメラを設置する効果とメリット
防犯・監視カメラが設置されていることで、犯罪を企図する者は見張られているという心理的な圧力を感じることになります。
言うまでもないことですが、犯罪者のほとんどは、自分の犯罪が露見して罪に問われることを望みません。犯罪がバレるかもしれないというリスクをカメラの存在によって明示することで、思いとどまらせる効果があります。
また監視カメラが記録した映像は、事故や事件が起こった際に警察に届ける強固な物証としてはらたくというメリットもあります。原因が何なのか、誰の過失によるものかを明らかにすることでトラブルの回避に役立ちます。
防犯・監視カメラの設置に伴うデメリット
生産技術の進歩と流通網の整備によって、一昔前と比較しても安価に防犯・監視カメラを入手できるようになりました。しかし、安価になったとはいえ防犯監視用途に耐えうる性能のカメラを揃えるとなると、ある程度の購入費用を覚悟する必要があります。
また動作に電源を必要とする機種が多いため、設置に際して工事が必要な場合が少なくありません。導入の際にかかる費用のほか、月々の電気代や、定期的なメンテナンス、記録媒体の交換など、維持費がかかりがちです。
防犯・監視カメラの種類と特徴
目的によって使い分けられる防犯カメラと監視カメラですが、その中でもさらにいくつかの種類に分けられます。種類によって、カメラの形状のほか、撮影能力、録画映像の保存方式、通信機能の有無といった機能面での違いがあります。
カメラの機能によって得意とする場所や状況が変わってくるため、導入の際には用途と性能をよく確認しておく必要があるでしょう。
用途に合わせた種類を選びましょう
防犯・監視カメラには大きく分けて2種類の形状があります。それぞれ異なった特徴を備えているので、用途に合わせた形状選びが重要になります。
- ボックス型カメラ
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比較的大型の箱状の筐体にレンズの取り付けられた、まさに防犯カメラといった趣のカメラです。見た目からして威圧感があり、そのため犯罪抑止目的で取り付けられることが多いです。撮影能力を持たないダミーカメラも多くの場合ボックス型の形状を模しています。高い抑止効果を見込めますが、構造上死角が分かりやすいという弱点があります。
- ドーム型カメラ
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比較的小型で、半球状のカバーの中にレンズを収めた形状のカメラです。一目みてカメラだとは判断しにくいため、監視カメラとしての用途に向いているとされます。外見にあまり威圧感がないことを活かし、店舗のフロアの監視に用いられるケースもあります。死角が分かりにくく視野が広いのが特徴ですが、小型のためレンズを選びにくいという面があります。設置スペースを抑えるために、電源を内蔵しSDカード録画のワイヤレスタイプも存在します。
機能面から選ぶこともできます
今日の防犯・監視カメラ市場においては、さまざまな機能を付与したものが各社から発売されています。どのような機能をもったものがあるか、一例を下記にご紹介いたします。
- 人感センサーや照度センサーを搭載し、人が近づいたときや特定の時間帯のみ録画する
- 暗い場所でも赤外線や超高感度素子を用いて撮影可能な暗視
- 逆光の中でも鮮明に撮影できる
- ネットワークにつないで録画映像の共有や集積を行う
- 内蔵マイクで人の声や環境音も同時に記録する
- 無線で監視映像を送信し、遠隔地からスマートホンなどで確認する
- 魚眼レンズのように広い視野角で撮影する
- 遠くからでも個人の人相の判別が可能な高解像度で撮影する
- (プライバシーや肖像権の問題があるため、使用に問題がないか注意が必要です)
- 見られたくない場所や機密などの撮影を防ぐプライバシーマスク
防犯カメラの耐用年数はどれくらいなのか
設置したあとは毎日稼働させるものですから、何年くらい保つのか気になるという方も多いのではないでしょうか。
一般的な防犯・監視カメラの耐用年数は5~6年程度と言われています。ただし、メーカーによって保障している年数はまちまちですし、実際の使用環境によっても寿命は大きく異なります。
カメラは精密機械ですから、熱や湿気、振動に晒される環境では想定よりずっと早く寿命を迎えることも珍しくありません。設置工事の仕方によっても長期的に見れば大きな差が出ることもあるため、工事業者選びは慎重に行いましょう。
また忘れてならないのが映像を記録するレコーダーの寿命です。特にハードディスクレコーダーの場合、ハードディスクの機械的な摩耗による寿命は約30,000時間と言われています。毎日24時間稼働させた場合、大体3年半ほどで記録ができなくなってしまう可能性があります。
防犯カメラ映像の記録時間や保存期間に影響するもの
現代の防犯・監視カメラはほとんどが録画の記録媒体にハードディスクやSDカードを用いると思われますが、大前提として媒体の保存容量によって録画データの記録可能時間は大きく変わります。大容量の記録媒体であればより長日数、長時間の録画を保存可能です。
同じ容量の媒体に記録する場合、保存可能時間に影響するものは大きく分けて4つあります。
- 接続しているカメラの台数
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カメラの数が多いほど、一台あたりが使用できるデータ数は減り、長時間の保存が困難になります。
- 映像の画素数
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基本的に画素数(画質)と映像のデータサイズは比例関係にあります。そのため、長時間の録画を保存するためには画素数を下げる必要があります。
- 動画圧縮形式
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映像データは保存される際に扱いやすいよう圧縮されますが、その際の圧縮形式によってデータの大きさは変わります。なかでもインターネットの動画サイトなどでよく用いられる『H.264』と呼ばれる形式は、録画解像度とデータサイズのバランスに優れ、動画保存に向いていると言われています。
- フレームレート
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デジタル動画は映画のフィルムのように複数の静止画を高速で入れ替えることで動きを表現しています。フレームレートは1秒間に表示できる静止画の枚数のことを言い、fpsという単位で数えられます。最大フレームレートを下げれば動画内の静止画枚数が減り、データサイズも小さくなります。あまりレートを下げ過ぎるとコマ送りのような見づらい映像になってしまいますので注意が必要です。
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防犯・監視カメラの設置場所と注意点
ここまで防犯・監視カメラの種類と機能についてご紹介してきました。設置するカメラを選んだあとに気になってくるのが、実際に取り付ける場所についてではないでしょうか。防犯・監視カメラは明確な目的のもの使用する機材ですから、適切な設置をしなければ高い効果は見込めません。
また設置に工事が必要な場合も多く、効果が薄いからと設置箇所をすぐに変えることは難しいかもしれません。どのような場所に、どのような状態で取り付けるのが良いか、しっかり吟味して行動に移す必要があります。
防犯・監視カメラの設置場所とポイント
- 玄関、出入り口
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定番の設置場所です。もっとも人の往来が激しい場所は、防犯だけでなく出入りする人間の確認にも使えます。玄関の場合、鍵穴が映るように角度を工夫すると、不審者の人相だけでなく不法侵入の手口を証拠に残せます。
- 裏口、勝手口
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こちらも定番なのではないでしょうか。裏口は外から見えにくい位置にあることが多く、不審者にとって狙いやすい場所です。逆にいえば、裏口まで回り込んでくる人間は招かれざる客の可能性が高いということでもあります。
- ベランダ、窓
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いずれも不法侵入者の侵入ポイントとして多くの事例が上がっている場所です。窓辺を照らすような照明器具がない場合は、暗視機能を備えたカメラが効果を発揮します。
- 駐車場
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人目につきづらく、かつ自動車という高価な資産のある駐車場は犯罪発生率の高い場所でもあります。車上荒らしや車泥棒に対する牽制として、防犯・監視カメラは役に立つことでしょう。駅や商業施設が付近にある場合、不法駐車を防止する効果もあります。
- 店舗や事務所のフロア天井
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フロア全体を俯瞰できるような位置に、視野角の広いカメラを設置するのがオススメです。万引きや内部不正の物証、顧客の動向確認など幅広い用途に使うことができます。
防犯・監視カメラを設置するときの注意点
防犯・監視カメラは目的に応じた取り付けの方法があります。例えばご自宅の防犯を目的とする場合、そこにカメラがあると一目で分かるように設置する必要があります。逆に監視を目的とするならば、威圧感がなくすぐにはカメラと気付けないような場所への設置が必要です。
また、稼働時のメンテナンス性は見逃せない要素です。調子が悪くなったときや、記録媒体がいっぱいになったときなど、整備が必要な機会は少なくありません。有線カメラの場合はケーブルが何らかの原因で断線してしまった場合にも修理が必要になります。取り付けの高さなどを工夫して、いつでもお手入れができるようにしておきましょう。
マンションやアパートなどの賃貸住宅の場合、設置に管理会社の許可が必要な場合もありますのでご留意ください。
- 防犯目的なら一目でわかるところに設置!
- 監視目的なら気が付ないところに設置!
- 稼働時の不具合を減らすためには日頃のメンテナンスが重要!
防犯・監視カメラを設置するときに絡んでくる法律
個人を特定できるレベルの解像度を持つ防犯・監視カメラを使用する場合、「個人情報保護法」が絡んでくる場合があります。すなわち、カメラによって記録される「顔」「人相」が、「個人情報」になり得るケースです。
個人情報保護法では、カメラによって顔を撮影された個人に対して、映像の使用目的を公表しなければならないとしています。同時に、撮影の状況からみて個人情報の使用目的が明らかな場合は公表の必要はないとも定められています。
防犯・監視カメラを施設や自宅の防犯に使用する場合、「防犯」という目的は明らかなので、保護法には抵触しないというのが弁護士回答における通説とされています。また、撮影したデータを6ヵ月以内に廃棄する場合にも使用目的を公表する必要はないとされていますので、個人情報保護法に抵触しないか不安な場合はデータの保存期限を6ヵ月以内に定めるのが有効かと思われます。
まとめ
基礎知識のまとめとしましては、以下の4つになります。
- 防犯カメラと監視カメラを分けるのは、使用する目的の違い
- 防犯カメラは犯罪抑止、監視カメラは証拠集めや監視などにそれぞれ役立つ
- カメラを取り付ける際は、その場所が撮影目的を果たすのに適しているかをよく吟味する
- 顔の映った映像データは個人情報になり得るため、データの取り扱いには十分注意する
防犯意識の高まる傾向にあるいま、市場にはさまざまな防犯・監視カメラが並んでいます。それぞれ得意とする分野や、設置に適した環境など幅広い特徴を備えたものを選ぶことができます。
どんな効果を期待しているのか、どこに設置する予定なのか、どのくらいの期間稼働させるつもりなのか、目的と予算とを吟味して、最適なものを選択する手助けとなれば幸いです。