「バッテリーはマイナスから先に取り外す!」
「取り付けるときはプラスから先に!」
という順番は必ず守りましょう。
万が一プラス端子を先に外してしまった場合には、ショートする危険性が高まったり、機器の故障を招いたりするおそれがあります。
バッテリーを交換する際の手順やブースターケーブルのつなぎ方など、混乱しやすい手順をわかりやすく整理しましたので参考にしてください。
また、本記事では車のボディアースのしくみについても詳しく解説しています。
車のアースは家電のアースと混同しやすいのです。
自分での作業で車のバッテリーや電装品を交換する際には十分な基礎知識を得てから安全に配慮して作業を始めましょう。
バッテリーをマイナスから外す理由
バッテリーはマイナスから端子を外してください。
順番を守らないとショートが起きる危険性があります。
ショートとは、電気抵抗がない状態でプラスとマイナスの端子をつないでしまうことを意味します。
実際には「バチッ」と火花が散るような現象が起こります。
車は、車体部分もマイナスの役割を果たしています。
プラス側だけ外した状態のときには金属製の電気を通すもの(工具など)が車体とプラス極に触れると、プラスとマイナスを直接つないでしまうことになり、大きな電流が流れてショートを起こします。
マイナス端子を外しておけば電気は流れなくなるので、プラス端子とマイナス端子をわざわざ工具でつなぐなどしない限りは、ショートすることがありません。
マイナス端子を外すことは、家庭でいえばブレーカーを落とすようなものだと考えればよいでしょう。
バッテリーを外すとき以外にも、電装品を交換するときなどにマイナス端子を外しておけば安心して作業できます。
ショートした場合の人体へのダメージ
ショートすると「バチッ」と火花が散って驚くことになります。
場合によっては「熱い」「痛い」と感じることがありますが、一瞬だけであれば人体への影響はほとんどありません。
工具などの金属製のものを通して大量の電流が流れている状態で、体内を電流が流れているわけではないからです。
作業中にうっかりショートさせてしまったら、すぐにプラスとマイナスの接点を外して電流の流れを遮断することが大事です。
ショートさせた状態を維持してしまうと発熱・発火して火傷や火災を招く危険性があるからです。
また、バッテリーの端子を素手で触ると感電の危険がありますので気をつけてください。
とくに雨などで塗れている場合には強い電流が体内を流れようとします。
急なトラブルに見舞われた場合にも、素手で触ることや濡れた状態での作業は避けてください。
バッテリー交換の正しい手順
バッテリー交換の作業はむずかしくありませんが、端子をつなぐ順番は重要です。
ショートなどのトラブルを起こさないように、手順に従って交換作業をしましょう。
マイナス端子は樹脂カバーがかぶせられていないため、でむき出しになっています。
多くの場合、六角ナットで締め付けてありますのでそれを緩めます。
固くて回せない場合は左右に揺らしながら外します。
プラス端子は樹脂カバーをかぶせられていますので、まずカバーを外します。
マイナス端子と同じようにナットを緩めて外します。
バッテリーを固定しているナットを緩めて外します。
取り出すときは、周りの配線に気をつけてゆっくりと慎重に引き上げてください。
バッテリーは重いので側面を両手で持ったりハンドルをしっかり持ったりして、落とさないよう注意して取り出してください。
受け皿はバッテリーの下に敷かれていたものです。
漏れたバッテリー液などで大変汚れていることがあるので、取り出して水洗いします。
受け皿との接地部分も汚れていますのできれいにふき取ります。
汚れを放置するとさびや腐食の原因となるのできれいにしましょう。
端子の向きに注意しながらゆっくり定位置に置きます。
バッテリーの位置を調整して固定ナットを締め付けます。
取り外したときとは逆の順番でつなぐので注意しましょう。
バッテリーの端子をつないだら、ナットを締めて固定します。外してあった樹脂カバーをかぶせます。
最後にマイナス端子をつなぎます。
プラス端子と同様にナットを締めて固定してください。
バッテリー充電するときはプラスから!
バッテリー上がりでバッテリーの充電をするときは、プラスから先につなぎます。
バッテリー交換の作業と混同しないように気をつけてください。
念のため、ブースターケーブルを使用する場合の手順を確認しておきましょう。
ブースターケーブルをつなぐ手順
救援車とブースターケーブルが準備できればバッテリー上がりを解消できます。
ブースターケーブルを使って救援車から電気をもらい、エンジンを再始動させる手順は以下の通りです。
- バッテリーの上がった車と救援車のバッテリーの位置ができるだけ近づくように車を移動させる
- バッテリーの上がった車のバッテリーのプラス端子に赤いケーブルをつなぐ
- 救援車のバッテリーのプラス端子に赤いケーブルのもう一方をつなぐ
- 救援車のバッテリーのマイナス端子に黒いケーブルをつなぐ
- バッテリーの上がった車のエンジンブロック(金属部)に黒いケーブルのもう一方をつなぐ
- 救援車のエンジンを始動する
- 5分程間を空けてバッテリーの上がった車のエンジンを始動する
- つないだときと逆の順番でブースターケーブルを外す
ブースターケーブルをつなぐときにはプラス端子とマイナス端子を直接つなぐとショートしますので気をつけてください。
救援車のバッテリーは、バッテリーの上がった車のバッテリーと同じ電圧のものを使用しましょう。
道具、救援車がないという場合や自力での作業がむずかしいという場合は、業者に依頼しましょう。
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車のボディアースとは
車のボディアースとは電装品の配線をボディにつなげる(接地する)ことです。
車のボディはマイナス配線として利用されています。
車のボディは多くの部分が金属でできているため、そこに電装品からきた配線を合流させてバッテリーのターミナルへつなげています。
車に搭載しているさまざまな電装品のプラス線は、ヒューズボックスなどにつながっていますが、元をたどればバッテリーのプラスターミナルにつながっています。
電装品のマイナス線もまたバッテリーへとつなぐ必要があるのですが、プラスもマイナスも両方バッテリーへつなぐとなると配線コストがかかり、車の内部が配線だらけになってしまいます。
そこで、ボディをマイナス配線として利用しているというわけです。
家電のアースとは意味が違う
一般的な家電のアースは、電気を外へ逃がすためのものです。
漏電や過電流があった場合には、大量の電流が流れ、家電が故障したり、火災を起こしたりすることがあります。
アース線を地面に逃がすことで大量の電流が流れることを防げます。
家電のアースはトラブル回避のために電流を逃がすためのもの、車のアースはボディを配線として利用するものです。
家電のアースは、つながなくても家電が作動しますが、車のアースはつながなければ電装品が作動しません。
意味も役割もまったくちがうものです。
ボディアースの方法
では車のボディアースはどのようにおこなうのでしょうか。
車のボディアースは、簡単にいえばボディの金属部のどこかに接地するということです。
しかし、どこでも大丈夫ということはなく、接地場所は意外と奥が深いので注意が必要です。
アースの場所は基本的に金属部分に接地することが重要です。
外から見えている部分は、腐食しないようにしっかり塗装してありますので、電気が遮断されます。
車体の金属部につながっているネジなどのパーツにつなぎましょう。
ネジは、車体と同様に塗装されてしまっている場合があります。
塗膜は電気を通さないので絶縁されてしまいます。
塗装されたネジでもまれに電気を通す場合がありますが、塗装されていないネジを選ぶのが無難です。
端子の片方を電装品のマイナス線に、もう片方をボディのネジに取り付けることになるので配線の確認もしましょう。
丸型端子よりもクワガタ端子のほうが脱着しやすいのでおすすめです。
クワガタ端子は、端子の先端が開いていて、ネジやナット少し緩めるだけで脱着ができるよう工夫された形をしているのです。
クワガタ端子の場合、レンチなどでねじを緩め、その隙間にクワガタ端子を滑り込ませて端子を挟み込んだ状態でねじを締めます。
丸型端子の場合はネジをしっかり外してから取り付けます。
クワガタ端子は取り付けやすい一方で、簡単に外れてしまうかもしれないという心配もあります。
サイズの合ったものを準備しましょう。
車のボディアースは車特有のしくみですので、理解するのがむずかしいこともあるかもしれません。
安全に気をつけて適切な作業をおこなってください。