「ある日モゾモゾと動く大群が……よく見たらヤスデだった」
「急に発生したけど、心当たりがない。ヤスデが大量発生する原因ってなに?」
昨日まで何もなかったのに急にヤスデが大量発生したら、不安ですよね。
ヤスデは刺したり咬んだりせず、枯れ葉を土に変える益虫です。
しかし大量発生すると悪臭を放ち、室内に侵入する可能性があるため、駆除や追い払いなどの対策が必要です。
じつはヤスデの大量発生には原因があります。
それは時期と環境です。
ヤスデは梅雨時と秋に出現しやすく、湿った落ち葉の多い環境だと大量発生する可能性があります。
そのためヤスデが大量発生する時期の前に対策をおこない、環境を変えればヤスデの発生を防げます。
そこでこの記事では、ヤスデ大量発生の原因や誰でもできる対策を解説します。
この記事の概要は、以下のとおりです。
この記事を読めば、ヤスデの大量発生を予測して適切に防ぐことができます。
もし予測ができれば益虫のヤスデを駆除しなくてよいのはもちろん、うごめく姿を見なくて済むため、ぜひこの記事を参考にしてください。
ヤスデの大量発生の原因3つ
ヤスデが大量発生する原因は時期と環境にあります。
具体的には以下のとおりです。
- ヤスデは落ち葉と湿った場所が好き
- ヤスデが大量発生する時期は梅雨と秋
- ヤスデは集まる習性がある
家の周りに湿った落ち葉や枯れ草が多いご家庭は、梅雨時と秋にヤスデの大量発生を警戒しましょう。
ではヤスデの生態を交えながら、理由を詳しく解説します。
※この記事のヤスデの生態は以下を参考にしました。
神奈川県葉山町|「ヤスデの生態と対策の勉強会」 質疑応答
神奈川県葉山町|ヤスデの生態と対策の勉強会in葉山町
鹿児島県|ヤンバルトサカヤスデの防除対策
平良 淳誠|群遊するヤスデの防御臭気物質
宮城県|ヤンバルトサカヤスデのまん延防止に御協力ください!
新島溪子|新島溪子|ヤケヤスデ列車を止める
(最終閲覧日:2024年8月7日)
ヤスデは落ち葉と湿った場所が好き
ヤスデは落ち葉が豊富にあり、直射日光の当たらない湿った場所を好みます。
ヤスデは腐った植物性のものを食べるため、湿った落ち葉が溜まりやすい場所に出現します。
乾燥した場所にはあまり出現しないため、側溝や壁際など日陰で湿った落ち葉が溜まりやすい場所は要注意です。
またヤスデは土の中ではなく落ち葉と腐った落ち葉の間に卵を産み付けます。
しかも浅い場所に卵を産み付けるため、下がコンクリートでも落ち葉が堆積していたら産卵場所になる危険性があります。
ちなみにヤスデの卵は、以下のようなものです。
出典:神奈川県葉山町|ヤスデの発生について(最終閲覧日:2024年8月8日)
卵は0.5mmほどでかなり小さいですが、大量に集まっていると肉眼で確認できます。
卵を放置すると今後の大発生につながるため、湿った落ち葉は取り除きましょう。
ヤスデが大量発生する時期は梅雨と秋
ヤスデが大量発生する時期は、梅雨時と秋です。
ヤスデは湿った場所を好みますが、水浸しの場所は嫌います。
雨が続くとおぼれないように集団で水のない場所に移動し、その結果民家や道路に集まり、これが大量発生の原因ではないかといわれています。
家の周囲が山や林に囲まれている立地なら、ご自宅周りの落ち葉を取りのぞいても水を逃れようと山からヤスデが移動することがあります。
また秋は長雨だけでなく次で解説する産卵時期と重なるため、大量発生が起きやすい時期です。
梅雨と秋の時期は、ヤスデの大量発生に警戒しましょう。
ヤスデは集まる習性がある
ヤスデは種類によっては、集まる習性があります。
例えば昨今大量発生が問題になっている、外来種のヤンバルトサカヤスデの生態を見てみましょう。
ヤンバルトサカヤスデは常に集団で移動、集団で繁殖をおこなうため、時期になると大量発生しやすい種類です。
ヤンバルトサカヤスデの生活史は、以下のとおりです。
- 1~3月:卵が越冬する
- 4~5月:幼虫がふ化する時期、集団移動をする(大量発生注意)
- 6~9月:脱皮を繰り返し大きくなる
- 10~12月:繁殖時期、集団移動をする(大量発生注意)
※上記の時期は生息地域によって異なります。
ヤンバルトサカヤスデの見た目や分布は記事の後半で解説するため、気になる方はそちらをご確認ください。
ヤスデによってはあまり集まらない種類もいますが、なかには数年おきに大量発生する種類もいるため厄介です。
ヤスデが大量発生する原因を解説しました。
ヤスデは基本的に無害ですが、大量にいると悪臭を発し室内に侵入する被害を出します。
次の章を参考にヤスデを駆除、追い払いをおこないましょう。
ヤスデが大量発生したときの駆除方法
大量発生したヤスデの駆除方法を解説します。
ヤスデの数が少ないならホウキで集めビニール袋に入れて数時間、日向に置いておけば駆除完了です。
しかし大量に、しかも毎日となるとなかなか難しいでしょう。
そこで今回は手軽にできるヤスデの駆除方法を解説します。
ヤスデの駆除方法は以下の2つです。
- 家に侵入したヤスデは殺虫スプレーで駆除する
-
薬品成分が不安な方は、瞬間冷凍スプレーがおすすめ
- 家の周りに忌避剤(きひざい)や殺虫スプレーを散布しておく
-
ヤスデは隙間から侵入するため、その前にドアや窓の周りに散布しておく
もし家の周りでヤスデを見かけても、忌避剤を散布しておけば室内に入られる心配がぐっと減ります。
できればヤスデが大量発生する梅雨の前に忌避剤をまいておくと安心なので、早めに対処しておくとよいでしょう。
関連記事では、おすすめの殺虫スプレーや忌避剤の代用品を詳しく紹介しています。
こちらの記事も、あわせてご確認ください。
ヤスデの死骸はすぐに片付けよう
ヤスデは身の危険を感じると悪臭を放出して、身を守ります。
死骸を放置すると家の周りや室内が臭くなる原因になるため、死骸や捕まえたヤスデはビニール袋に入れて早めに処理しましょう。
ヤスデは環境が変わらないと、再び大量発生するおそれがあります。
駆除を終えたら、今度はヤスデ予防をおこないましょう。
ヤスデの大量発生を防ぐ3つの対策方法
ヤスデの大量発生を防ぐために、ヤスデが発生しない・侵入しない環境を作りましょう。
- 庭の水はけ・日当たりをよくする
- 枯れ葉や腐葉土をためない
- 養生テープを貼る
上記の方法と前章「ヤスデが大量発生したときの駆除方法」で解説した忌避剤を合わせると、より高い効果がのぞめます。
まずはご自宅周りの環境を見直しましょう。
庭の水はけ・日当たりをよくする
ヤスデは湿った場所を好むため、水はけと日当たりをよくしましょう。
例えば以下の方法があります。
- 草刈りをする
-
背の高い草が多いと日陰が多くなり、地面が湿りやすくなります。
さらに枯れ草や落ち葉の堆積により、ヤスデの食料と産卵場所も増えてしまいます。
こまめに草を刈り、刈った草は放置せずに可燃ゴミとして処分しましょう。 - 側溝を掃除する
-
側溝に落ち葉やゴミが溜まると、水はけが悪くなります。
またヤスデは明るい場所を嫌うため、側溝に隠れて移動するケースがあります。
こまめに側溝を掃除して、ヤスデが隠れづらい環境を作りましょう。 - 湿った場所を作らない
-
撤去できるものは撤去するか、日向に移動させましょう。
室外機など移動が難しいものは、周囲に落ち葉が溜まらないようこまめに掃除をしてください。
他にもご自宅周りで落ち葉が多く、常に湿った場所があるなら改善をおこないましょう。
枯れ葉や腐葉土を溜めない
ヤスデは枯れ葉や腐葉土が溜まった、ジメジメした環境を好んで生息します。
そのため枯れ葉や腐葉土が溜まっていたら、掃除をして取り除きましょう。
また見落としがちなのが、他の地域から持ってきた土や腐葉土にヤスデが付着しているケースです。
現在各地で大量発生が問題になっているヤンバルトサカヤスデは「生息地域から樹木の移植や土・堆肥の搬入をおこなったのが原因では?」といわれています。
もし「別の地域で買った植木にいないか不安」なら、買ってきた植木の土に殺虫スプレーや忌避剤を散布してヤスデの発生を防ぎましょう。
基本は枯れ葉の掃除、土にヤスデが付いていないか不安な場合は殺虫スプレーを散布してください。
養生テープを貼る
ヤスデが登れないように、またヤスデが隙間をくぐらないように、養生テープを貼りましょう。
壁に養生テープを貼っておくと、ツルツルしてヤスデが登れなくなり侵入防止につながります。
ポイントは50cm以上の幅のテープを貼り、汚れたらこまめに張り替えることです。
テープが細すぎると簡単に突破され、汚れているとヤスデが登りやすくなるためです。
テープを2本貼って太くしたり、汚れを取ったりこまめに点検しましょう。
またテープを貼れないドアの隙間などは、パッキンで埋めて通り抜けられないようにします。
壁を登りづらくし、隙間をなくしましょう。
ヤスデの駆除方法、ヤスデの予防方法を解説しました。
しかし「ヤスデは苦手だから自分で駆除は無理!」「ヤスデが大量発生して手に負えない!」という方も多いでしょう。
もしヤスデの駆除・予防に不安がある方は、害虫駆除110番へお気軽にご相談ください。
害虫駆除110番は、一般家庭から店舗や施設の広い場所の害虫駆除まで受け付けています。
ヤスデの生態を熟知したプロが施工するため、どこで発生しているか原因を特定して徹底的に駆除をいたします。
ヤスデでお悩みなら、ぜひ害虫駆除110番にご連絡ください。
※ 対応エリア・加盟店により記載価格や条件では対応できない場合がございます。
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※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、本日中の施工が難しい場合があります。※2 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
駆除に役立つヤスデの生態
最後に、紹介しきれなかったヤスデの生態や種類を解説します。
ヤスデ・ムカデ・ゲジの違い
ヤスデはダンゴムシを引き延ばしたような形をしており、つつくと丸くなります。
ヤスデは危険を感じると丸くなりますが、ムカデやゲジは丸くなりません。
ただしムカデは咬みつくため、正体がわからない虫を素手で触るのは危険です。
ホウキなどでつついて反応を見てください。
関連記事ではヤスデ・ムカデ・ゲジの違いを、画像や生態データを使って解説しています。
それぞれの虫の毒の有無や見分け方も解説しているため、気になる方はご確認ください。
被害の多いヤスデ3種類
ヤスデの多くは森の中で生活していますが、一部のヤスデは人間の生活圏にあらわれて被害をもたらします。
今回は被害の多いヤスデを3種類紹介します。
ヤケヤスデ
体長 | 約30mm |
特徴 | 淡褐色や黒褐色 模様はない |
繁殖密度 | 通常はあまり集まって繁殖しない |
集団移動 | しない |
分布 | 日本全国 |
北海道から本州四国にまで広く分布しており、日本のどこでもいる一般的なヤスデです。
まれに大量発生し、2000年7月には糸魚川市では列車を止める事件を起こしました。
一般家庭では梅雨の時期に大量発生し、水から逃れるために民家に侵入する被害を起こします。
テープや忌避剤で、室内への侵入防止をおこないましょう。
ヤンバルトサカヤスデ
出典:神奈川県葉山町|ヤスデの発生について(最終閲覧日:2024年8月7日)
体長 | 約40mm |
特徴 | 褐色 節に黒褐色の模様 |
繁殖密度 | 常に集まって繁殖する |
集団移動 | 常に集団移動 |
分布 | 沖縄県、鹿児島県、静岡県、神奈川県など |
台湾原産の外来種です。
当初は沖縄県を中心に生息範囲を広げていましたが、近年では離れた地域でも発見されました。
1年で成虫に成長するため、繁殖スピードが早く一度定着すると駆除が大変です。
ヤンバルトサカヤスデの集団移動は湿度の高い夜に多いため、雨が続く日は警戒が必要です。
地域によってはヤンバルトサカヤスデの目撃情報を集めているため、もし見かけたら自治体に連絡しましょう。
キシャヤスデ
体長 | 約30mm |
特徴 | 褐色 節に黒褐色の模様 |
繁殖密度 | 周期的に集まって繁殖する |
集団移動 | 周期的に集団移動 |
分布 | 関東、中部地方 |
キシャヤスデという変わった名前は、大量発生により何度も汽車を止めたことが由来です。
キシャヤスデはふ化から成虫になるまで時間がかかり、約8年ごとに大量発生を起こすのが特徴です。
森林研究・整備機構によると過去に秩父・多摩地域で大量発生があり、周期どおりなら2028年にキシャヤスデの大量発生が予測されます。
繁殖活動は8月末~10月の湿度の高い夜や湿度の高い日に起きやすいため、早めに対策しておきましょう。
参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構|森林生物 キシャヤスデ(最終閲覧日:2024年8月8日)
まとめ
ヤスデが大量発生する原因から対処法までを解説しました。
簡単におさらいすると以下のとおりです。
- ヤスデが大量発生する時期は梅雨と秋
- ヤスデが出たら殺虫スプレーや忌避剤で対処する
- ヤスデ予防は家の周りをきれいにして、日当たりと水はけをよくする
ヤスデは落ち葉を食べる益虫で積極的な駆除は不要ですが、大量発生すると悪臭を出すため対策が必要です。
大量発生時期を予測し、その前に家周りの掃除を済ませ忌避剤をまいて対策をおこないましょう。