アライグマは日本には生息しない動物でしたが、飼育を目的として日本に輸入されました。
しかし今ではアライグマは自然に放たれ、農作物を荒らしたり民家に住み着いたりする害獣として取り扱われています。
アライグマが日本のどこに住んでいて、どうやって生活しているのかを知らない方も多いでしょう。
日本に住むアライグマの数や分布は年々増えており、アライグマによる被害も増えています。
アライグマのすみかや生態のことをきちんと知らなければ、害獣であるアライグマの増殖を止められません。
そこでこの記事では、アライグマが日本に入ってきた経緯や日本でのすみか、生態や対策方法について解説します。
これを読めば、国内でアライグマが住んでいる場所がわかり、アライグマを増やさないための対策ができます。
- 日本にアライグマが入ってきた経緯
- 日本のどこにアライグマが住んでいるか
- アライグマの生態
- アライグマによる被害
- アライグマを増やさない対策方法
日本にアライグマが入ってきた経緯
アライグマは日本に元から生息していたわけではありません。
アライグマが日本に輸入されたのは、1970年代にアライグマが主役のアニメが放送されたことがきっかけで、輸入されたアライグマをペットとして飼う人が増えました。
しかし実際のアライグマはアニメのかわいらしい印象とは違って気性が荒く、ペットとして飼育することには向いていません。
そのため、アライグマを飼えなくなった人が自然に放してしまう人が多く、放たれたアライグマが野生化して繁殖することにつながりました。
アライグマが生息していたアメリカやカナダには、コヨーテやオオヤマネコなどの天敵がいましたが、日本にはアライグマの天敵となる動物がいなかったために急増したといわれています。
現在ではアライグマは、外来生物法の特定外来生物に指定されています。
日本のアライグマは増加している
環境省の調査では、日本では2018年の時点で、秋田県、高知県、沖縄県の3県以外の都道府県でアライグマが確認されていました。
2005年から2006年の調査と比べて約3倍に急増しているようです。
参考:環境省|アライグマ、ハクビシン、ヌートリアの生息分布調査の結果について(最終閲覧日:2023年11月6日)
2023年現在の時点でアライグマの分布に変化があるかを調べるために、「秋田県、高知県、沖縄県でアライグマを見かけたことがあるか」というアンケートを取りました。
その結果、2018年にはアライグマが確認されなかった秋田県、高知県、沖縄県でもアライグマが目撃されていることがわかりました。
夜行性であるアライグマを見かけた時間帯は夜が一番多いですが、6時~12時の朝に見かけたという人も同じ人数でした。
確認された県 | 回答数 |
---|---|
秋田県 | 40件 |
高知県 | 8件 |
沖縄県 | 3件 |
確認された時間帯 | 回答数 |
---|---|
朝(6時~12時) | 18件 |
昼(12時~18時) | 15件 |
夜(18時~6時) | 18件 |
クラウドワークスによるインターネット回答
調査期間:2023年10月27日~11月10日、回答数:51件
アライグマが生息している場所
日本国内で急増しているアライグマがどんな場所に住んでいるかというと、神社仏閣、住宅・倉庫などの天井裏、野積みされた枝や廃材の下、アナグマなどの他の野生動物が掘った穴などをねぐらにしています。
1匹のアライグマが複数の場所にねぐらを持ち、出産のときには移動することもあります。
住宅の屋根裏や天井裏に入りこむこともありますが、そのような場所には通気口を通って侵入して住み着きます。
アンケートでは、山の中で見つけたという回答が1番多いです。
それに続いて、畑や庭で見つけたという回答も多くあり、山の中に住んでいるアライグマがエサや新しいねぐらを求めて民家の近くまで来ていることがわかります。
確認された場所 | 回答数 |
---|---|
山の中 | 27件 |
庭・畑 (家庭菜園含む) | 12件 |
道路 | 7件 |
森の中 | 3件 |
その他 | 2件 |
クラウドワークスによるインターネット回答
調査期間:2023年10月27日~11月10日、回答数:51件
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アライグマの生態
アライグマがどのような生態の動物であるか、詳しく解説します。
アライグマの見た目
アライグマは頭と胴体が40~60㎝、尾が20~40㎝ほどの大きさで、平均体重は5㎏です。
なかには10㎏を超える個体もいます。
目の周辺を覆う黒い部分と縞々の尾が特徴で、尾の縞は5~7本あります。
ハクビシンとよく似ていますが、ハクビシンの目の周りは黒くありませんし、尾の縞模様もありません。
アライグマの食べるもの
アライグマは雑食性で、果実、木の実、昆虫、カエルやトカゲ、鳥のひな、卵、魚、エビ・カニ類などの幅広いものをエサにします。
特に甘いものを好むので、ブドウやトウモロコシやスイカなどの糖度が高い農作物を狙って食べることが多いです。
アライグマを捕まえるためのエサとして、キャラメル味の甘いスナック菓子が使われることもあるようです。
人里に下りてきたアライグマは、人が捨てた生ごみを食べることもあります。
アライグマは木登りが得意
アライグマは木登りが得意です。
手のように使える前足に加え、補助の役割をする鋭い爪を使って木に登ります。
そのため、家屋の屋根裏や天井裏にも簡単に登ることができます。
アライグマの手は長い指が5本あるため手先が器用で、木登りの他にも物をつかんだり扉を開けたりすることもできます。
アライグマの生態について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
アライグマによる被害
アライグマが繁殖すると、さまざまな被害を引き起こします。
アライグマによる被害には、以下のようなものがあります。
- 農作物を食べてしまう
- もともといた動植物を食べて、生態系を崩してしまう
- 建物内の破損や汚染
1つ目は、農作物を食べてしまうことです。
アライグマは雑食性で何でも食べますが、そのなかでも甘い果実や作物を好みます。
農園や家庭菜園をしている庭などでは、アライグマが農作物を食べてしまう被害が多くあります。
特にブドウやトウモロコシやスイカなどの甘い農作物が被害に遭いやすいです。
2つ目は、その地域にもともといた動植物を食べて生態系を崩してしまうことです。
アライグマはもともと日本にはいなかった存在です。
そんなアライグマが動物や植物を食べてしまうと、もともとその地域で繁殖していた生態系を壊してしまいます。
その結果、アライグマのエサとなる動植物は減少し、日本に天敵のいないアライグマばかりがどんどん増加することになってしまいます。
3つ目は、建物内の破損や汚染です。
家屋の屋根裏や天井裏に侵入されると、糞尿によって天井にシミができてしまいます。
その汚れをそのまま放置しておくと天井が腐敗し、大がかりなリフォームが必要になることもあります。
野生のアライグマは不衛生なため、家屋に侵入されると清掃や消毒をしなければならなくなります。
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アライグマを増やさない対策方法
アライグマの被害を避けるためには、これ以上アライグマを増やさない対策をしなければなりません。
アライグマを繁殖させない方法として、2つのポイントが挙げられます。
- エサを与えない
- 休息や繁殖ができる場所をなくす
エサを与えない
まず、エサとなるものを与えないようにすることが重要です。
アライグマに狙われやすい農作物は、収穫期を迎えたらすぐに収穫しましょう。
取り残しがあるとアライグマに狙われてしまうため、実はすべて取ります。
さらに、人里に下りてきたアライグマがエサとする生ごみの捨て方にも注意してください。
生ごみを必要以上に溜めないように、定期的に捨てましょう。
捨てるときは袋の口をしっかり結び、アライグマの器用な手でも開けられないようにしてください。
休息・繁殖場所をなくす
休息や繁殖ができる場所をなくすこともポイントです。
民家の屋根裏や天井裏には、アライグマにとって住みやすくて居心地のよい環境です。
そのような環境はアライグマのが休息や繁殖に使うのに都合がよく、ますます人里の住みやすさを覚えてしまいます。
そこで、アライグマが入り込みそうな場所を塞ぐことが必要になります。
アライグマが侵入しやすい通気口などの穴を金網で塞ぎます。
手先が器用なアライグマは細い金網だとこじ開けてしまうことがあるため、太くて目の細かい金網を選ぶようにしましょう。
アライグマの駆除方法の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
2018年の環境省の調査ではアライグマが確認されなかった秋田県、高知県、沖縄県でも、今回のアンケートでは野生のアライグマの姿が確認されました。
農作物を食べたり生態系を崩したりといったさまざまな悪影響を与えるアライグマを、これ以上日本国内で増やすわけにはいきません。
アライグマをこれ以上日本で増やさないための対策はこの2つです。
- エサを与えない
- 休息や繁殖ができる場所をなくす
もし、アライグマを家の近くで見つけたり、家に住み着かれてしまったりした場合は、専門業者に連絡しましょう。
害獣駆除110番にご依頼いただければ、アライグマの駆除や対策をすることができる業者をご紹介できます。
すでにアライグマに住み着かれてしまっている場合は、汚れた場所の清掃まで承っております。
ご相談は24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
参考文献
江口 祐輔.農作物を守る鳥獣害対策.誠文堂新光社,2018