ハブは沖縄周辺に生息し、人体に悪影響をおよぼす猛毒をもっていることで知られています。
では、その生態はどのようなものでしょうか。
また、毒はどれぐらいの強さでどのような影響があるのでしょうか。
もしハブに遭遇してしまったら、どのように対処するべきなのかも気になるところです。
攻撃的なイメージですが、実際のところどのような被害があるのでしょうか。
そして、興味深いのがハブ酒です。
沖縄土産として有名ですが、みなさんは飲まれたことはありますか?
飲むことで身体に悪影響ではないのか、どんな効果があるのか。
この記事ではハブに関するさまざまな疑問を深く掘り下げていきます。
日本に生息するハブは4種類
ご紹介する4種類のハブたちに共通するのが、咬(か)まれると深刻な症状につながる毒をもっているということです。
毒をもたない蛇も多いなか、生まれた瞬間から毒をもっているハブですが、どんな種類が日本に生息しているのでしょうか。
それぞれのハブについて、順を追って説明していきます。
ホンハブ
ホンハブとは一般的にいわれる「ハブ」の別名です。
日本国内にいるハブのなかでも、一番数が多い種類がこちらのホンハブだといわれています。
牙が長く、一度に出る毒の量が多いため注意が必要です。
- 生息地
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奄美諸島、沖縄諸島
- 体長
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約100~200cm
- 外見
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茶色の目の横に細い線が2本入っており、全体的に暗い緑色です。
腹部に白い斑点が入っている個体もいます。
最大で2.4mほどの大きさの個体もおり、遭遇すれば非常に危険です。 - 特徴
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咬まれると機能障害や運動障害を起こしてしまうほどの毒性をもっています。
夜行性のため、明るいうちは身を隠して生活しています。
ネズミなどを食べるため民家にいる場合もあり、遭遇してしまう可能性が高いです。
普段は草むらなどで過ごしていますが、木登りも得意としています。
サキシマハブ
ホンハブよりは毒が弱く、動きも比較的ゆったりとしています。
ただし、ホンハブに比べると日中に見かけることが多いため遭遇率が高く注意が必要です。
毒が弱いといっても、咬まれてしまったら当然腫れや痛みをともないます。
また、威嚇をする際にはのどから音を立てます。
- 生息地
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糸満市などの沖縄本島南部や、八重山諸島、宮古島、石垣島など
- 体長
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約60~120cm
- 外見
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体は茶褐色でホンハブよりは小柄です。
三角形の頭部をしており、あごの膨らみは毒を分泌する毒腺部です。 - 特徴
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茶褐色の胴体をいかして枯れ葉にまぎれ、身を潜めて獲物を狙うため気づきにくいです。
ヒメハブ
ヒメハブもホンハブよりは毒が弱く、攻撃的になることも比較的少ないといわれています。
ですが、毒蛇であることに変わりはありません。
咬まれたままの状態を放置しておくと、患部が壊死(えし)してしまう恐れもありますので、油断は禁物です。
- 生息地
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沖縄本島や久米島、具志堅島、尾嘉比島など
- 体長
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約80cm
- 外見
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ホンハブの半分ほどの体長で小柄ですが、胴が太いです。
頭部が三角形でとがっていることも、ヒメハブと判断できるポイントです。 - 特徴
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ネズミも食べますが、魚やカエルなどを好んで食べるため多くは夜間、水辺にいるといわれています。
雨の日には林道などにも姿を見せるため、視界が悪いときに出くわすおそれもあります。
普段は薄暗い場所にいることが多く、じっと獲物がくるのを待ちます。
タイワンハブ
台湾や中国、ベトナムなどからやってきたのがタイワンハブです。
ホンハブよりも強い毒をもっているため、危険性が高いとされています。
しかし、一度に出る毒の量は多くはなく、正しく処置をすれば死亡事故を回避できます。
- 生息地
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名護市や恩納村
- 体長
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約80~130cm
- 外見
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枯れ葉にまぎれることができてしまうほど、葉によく似た柄と色をしています。
他のハブに比べると頭部が長いです。 - 特徴
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非常に危険な外来生物といわれているタイワンハブは、他の3種類のハブと比較すると小柄です。
しかし気性が荒く攻撃的なため恐れられています。
動きが機敏なので、間合いに入ってしまうとすぐに攻撃されてしまいます。他のハブは草むらなどで過ごすことが多いですが、タイワンハブは木の上で過ごすことが多いです。
エサはネズミを食べますが、小鳥やトカゲ、カエルも食べます。
咬まれると危険!ハブの毒の特徴と体に入ったときの症状
次は、ハブの毒の特徴について深く掘り下げます。
咬まれても毒のない蛇の場合は、チクッとした痛みだけで済むでしょう。
しかし、ハブに咬まれたときには腫れや痛みはもちろんのこと、発熱、血圧が低下するなどの症状があります。
その他にも、咬まれた部分が壊死する、アナフィラキシーショックが起きるなど、深刻な症状が起きるおそれもあるのです。
参考:メディカルノート|毒蛇咬傷について(最終閲覧日:2024年5月23日)
咬まれてしまった場合、まずはハブなのか、その他の蛇なのかを確認しなければなりません。
ハブは蛇に比べると牙が長いです。
そのため、咬まれた傷口を見て、牙の痕が1~4つ付いていたらハブに咬まれたと判断していいでしょう。
ご自身だけで判断するのではなく、早急に病院で医師の診察を受けましょう。
また、咬まれてしまった人を助けるときにも、落ち着いて行動することが大切です。
適切な判断が求められますので、ひとりだけではなく近隣住民や医師に相談し、病院へ誘導してあげましょう。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況等により記載内容の通りには対応できない場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
毒蛇なのにお酒に!?実は薬にもなるハブ
「代表的な沖縄土産といえばコレ!」という方もいるほど、ハブ酒は有名ですよね。
そんなハブ酒ですが、「毒をもっているのに飲んでしまってもいいの……?」「体に害はないの?」そんな疑問をおもちの方もいらっしゃるかもしれません。
ここからは、ハブ酒について詳しくご紹介していきます。
ハブ酒とはハブを長期間アルコールにつけこんだお酒
ハブ酒はハブをアルコールに長時間つけておくことで完成します。
生きている状態のハブは危険な毒をもっています。
しかし、アルコールのもたらす作用により解毒できるため、お店で正規販売されているものなどは飲酒できます。
参考:南都酒造所|ハブ酒に関するQ&A(最終閲覧日:2024年5月23日)
ハブ酒の健康効果
ハブ酒は安全に飲めるだけでなく、飲むことによって得られるうれしい効果もあります。
まずは、体を温めるという点です。
体を内側から温めることにより、疲労回復の効果も期待できます。
さらに驚くべきは栄養価の高さです。
アミノ酸やミネラルなど、体にいい栄養素が多く含まれているのです。
どんな栄養素が、どのような効果をもたらしているのかを見ていきましょう。
- アミノ酸
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たんぱく質の分解をするアミノ酸は体内で作れますが、足りない分を食事やサプリなどで補わなければなりません。
- 睡眠の改善
- ストレスを低減させる
- 疲労回復の促進
- アルギニン
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年齢を重ねるごとに体内で作られる量が減ってしまう傾向にあるアミノ酸のひとつです。
- 脂肪の燃焼をうながす
- 疲労回復の促進
- 免疫力が上がる
- タウリン
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魚介類に含まれていることの多いタウリンには、以下のような効果・効能をもっています。
- 視力低下防止
- 血圧の低下をうながす
- 解毒作用がある
- ミネラル
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野菜に含まれる、5大栄養素のひとつであるミネラル。
大事なものでありながら人間の体内では作れません。- 老化防止
- 糖尿病予防
- 骨や歯を丈夫にする
- リノール酸
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ミネラルと同様、体内で作れません。
植物性の油やゴマなど、普段の食生活に取り入れることの多いものに含まれています。
食べ物以外にも、せっけんや化粧品にも含まれているものがあります。- コレステロールの低下をうながす
- 髪をキレイに保つことができる
- 肌の保湿
こういった効果を一度に多く摂取できるため、沖縄県などハブの生息している地域では薬として使われてきたといわれています。
摂取するタイミングとしては、睡眠前がおすすめです。
少量ずつ摂取しましょう。
ハブ酒土産物としても人気
沖縄名物のひとつといっても過言ではないハブ酒ですが、なぜそれほど人気なのか。それにはわけがあるのです。
ハブ酒は、購入後にアルコールのつぎ足しをすることが可能です。
そのため、飲み終わってもご自身でお好みの度数のアルコールを入れれば、長く味わえる利点があります。
注ぎ足し用には、なるべくアルコール度数が30%以上のお酒(ウイスキーや焼酎でも)をおすすめします。飲まれる頻度にもよりますが、中のハブが空気に触れる前に基本3回まで行えます。ただし、巨大ハブ入り酒では3回以上行えます。
出典:南都酒造所|ハブ酒に関するQ&A(最終閲覧日:2024年5月23日)
沖縄県にお住まいの方にとっては、ハブ酒は珍しく感じられないかもしれません。
ですが、県外から訪れる旅行者の方にとっては非常にインパクトがあります。
沖縄県に旅行や観光をした際には、お土産として購入してみてはいかがでしょうか。
ハブを見かけたときの対処法
お酒に使われるハブも生きていれば危険な存在です。
実際にハブを見かけてしまった場合はどう対応したらいいのでしょうか。
ハブに襲われないためにするべきことをまとめましたので、参考にしてみてください。
ハブに近寄らない
とにかく、ハブに近寄らないことが最優先です。
旅行先などで見つけた場合、物珍しさから近づきたくなる気持ちも湧いてしまいますが、咬みつかれて身体に悪影響が出てから気をつけては遅いです。
取り返しのつかない状況にならないためにも、むやみに触らずそっとしておきましょう。
怖いのが、威嚇することなく攻撃をしてくるハブがいる点です。
そのようなハブの間合いに入ってしまったら、わざとではなくても咬みつかれてしまいます。
そのため、旅行先などで慣れていない場合は、怪しい場所には近づかないでください。
慣れていても、意外な場所からあらわれる可能性も考えられます。
十分身のまわりに注意しましょう。
ハブは危険を察知して身を守るために威嚇・攻撃します。
誤解されがちですが、人間側がハブに刺激を与えない限りは危害を与えてくることもありませんし、捕まえようと必死に追いかけてくることもないのです。
駆除が必要なときは業者に相談する
ハブが目の前にあらわれた場合は、駆除業者に連絡するのをおすすめします。
専門の知識がないままむやみに近寄るのではなく、ハブの特徴や毒の危険性などを把握している業者に問い合わせてみましょう。
状況にあった解決策の提案をしてくれるほか、すぐに駆けつけてくれる業者も存在します。
業者を呼んだときは焦らず、ゆっくりとその場から離れ、安全な場所に移動してから到着を待ちましょう。
まとめ
- ハブの種類によって生態や毒性が異なる
- ハブ酒は正規販売のものであれば安全に飲酒できる
- ハブを見つけても近寄らない
- 駆除が必要な場合は業者に連絡する
これからハブの生息する地域へ旅行する予定の方がいましたら、お土産にハブ酒を購入するのもいいかもしれません。
旅行先で万が一危険なハブと遭遇してしまっても、向こうから近づいてくることや追いかけてくることはないので、刺激しないように十分気をつけましょう。
これまで非常に攻撃的で危険であると紹介してきたハブですが、その生息地は徐々に広がっています。
もしハブと遭遇してしまっても、うまく対処できるよう知識を備えておきたいですね。