「蛇はお好きですか?」そう聞かれてあなたはなんと答えるでしょうか。
苦手という方や怖いと思う方は多いでしょう。
恐怖を感じるのは正しい反応で、実際に年に何人か蛇に噛まれて病院に来るそうです。
そう聞くとやはり怖いし避けたいですよね。
しかし、そういう被害の話を聞くだけで、「蛇のことも対処法もまったくわからない」という方は多いのではないでしょうか?
今回はそのような方のため、蛇の種類やその生態、そして万が一噛まれた際に注意すべき点などをまとめました。
また、蛇の事前の対策もご紹介していきます。
噛まれると危険な蛇の種類
一口に蛇といってもさまざまな種類が存在します。
国内に生息する代表的な蛇は4種類です。
- アオダイショウ(無毒)
- シマヘビ(無毒)
- ヤマカガシ(有毒)
- ニホンマムシ(有毒)
この章で4種類の蛇の特徴を簡単に紹介します。
蛇は外見に細かな違いがありますが、専門家でもない限り完璧に見分けるのは不可能です。
無毒だと思った蛇が有毒だったら大変なので、蛇を見つけたらすぐに離れるのが安全です。
アオダイショウは無毒
無毒の蛇です。
角ばった顔つきをしており、オリーブのような色の目をしています。
子供のうちはマムシと似た模様をしているそうで、これは擬態のためといわれています。
育っていくと背中が青みがかり、1~2mの大きさまで成長します。
日本の固有種で、本土においては最大の大きさを誇ります。
北海道から九州までだけでなく伊豆諸島まで幅広く点在しています。
昼行性の蛇で、木に登ることを得意とし、屋根の上で生活する個体もいます。
ネズミを食べるためか人家に住みつくことが多く、人のいない場所に行くほど見られなくなります。
一般的におとなしい性格とされるアオダイショウですが、人に噛みつかないわけではありません。
無理やり触ろうとしたり、変な持ち方をしたりすると、身を守るために噛むことがあります。
シマヘビは無毒
無毒の蛇ですが、一般的にアオダイショウと比べ性格は攻撃的といわれています。噛みつく可能性が高いので、触らずそっとしておいてくださいね。
日本の固有種で、生息地は北海道から九州など国内で幅広く分布しています。
昼行性で、森林や藪の中にも潜んでいます。
開けた草原に出てくることもあり、素早く平地を移動するので、交通事故に遭うのはシマヘビが多いようです。
見た目は薄い黄色をしている中に4本のシマがあり、そのシマが名前の由来にもなっています。
赤い目とアイラインを引いたような顔も特徴的です。
真っ黒になった個体も存在し、その場合はカラスヘビと呼ばれ区別されてきました。
生息地によって個体の大きさが大きく変わり、北海道に住む個体は大きくなっても80cm程度ですが、伊豆で生息するのは2mにもなります。
攻撃的な性格のシマヘビですが、威嚇行動が特徴的で、威嚇するときは尻尾を振るわせながら地面をたたくという動きをします。
もしシマヘビがこのような動きをしていたら、すぐに離れましょう。
ヤマカガシは有毒
有毒の蛇です。
赤と黒の模様が特徴的な日本の固有種で、基本的には臆病な性格で、人間を見つけると逃げていきます。
見つけても下手に触らずにおどかさないようにしましょう。
ヤマカガシは本州、四国、九州や、佐渡島に隠岐諸島、壱岐島、五島列島に屋久島に種子島にも分布しています。
生息場所は、平地の水の豊富な場所、水田や湿地帯などでよく見られます。
これはエサとして食べるカエルを筆頭とした生物が水辺に多数住むからです。
外見の特徴として黄色い首輪のような模様がありますが、地域によって個体差が大きいため一見してヤマカガシとはわかりにくいようです。
顕著な特徴として、うろこの「キール」と呼ばれる隆起が強く、手触りがザラザラとしています。
そのほうが水の抵抗が減り早く泳げ、水中の生物を捕食するうえで有利になるので、そのように進化したと考えられています。
泳ぐ蛇がいたらヤマカガシかもしれません。
ニホンマムシは有毒
有毒の蛇です。
毒蛇と聞くと、まずこのマムシを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
毒のある生き物の代名詞のように使われているのもあって、攻撃的な性格のイメージかもしれませんが、実際は臆病でおとなしい性格とされています。
基本的には夜行性なのですが例外もあり、冬眠の前後の個体や妊娠している個体は日光浴のために昼間も出てくるケースがあるため注意が必要です。
マムシはほとんど人に近づかないので、こちらからマムシのいそうな場所に接近してマムシをおどかさなければ、ほとんど被害を受けることはありません。
マムシが生息する地域は北海道や本州、四国、九州、また大隈諸島や国後島です。
日本全体に広く分布するマムシですが、生息地域によって異なる特徴が出ます。
有名なのは伊豆大島の「赤マムシ」と呼ばれる個体で、そこでは赤いニホンマムシが多いといわれます。
次に北海道に住む個体は大型になる傾向があり、60cm以上になるのだそうです。
マムシは平地にも山にも住める種類ですが、基本は水辺に近い藪の中に潜んでいることが多いといわれています。
これは、カエルを中心としたエサになる生き物の生息地だからです。
そのため、水田などにいることもあります。
蛇の種類の詳細はこちらの記事をご覧ください。
蛇が人を噛む理由は「人が怖い」から
ご紹介したように、蛇は意外にも臆病な性格の種類が多いです。
臆病なはずの蛇が噛みつく理由は、人間のことを怖がって身の危険を感じたからです。
例として、私たち人間もクマを見たら身の危険を感じて逃げようと思います。
もし攻撃するとしたら命が危なくなり、最後の抵抗をするときでしょう。
それと同じように、蛇にとって人間の接近はそれくらいの脅威に感じるはずです。
そのため噛まれないためには、干渉する気はないことを見せることが大切です。
見つけても触ろうとしたり、捕まえようとしたり、おどかしたりしてはいけません。
蛇は威嚇や臨戦態勢となるときに「鎌首」と呼ばれる構えをします。
体を鎌のように湾曲させ、顔を上げる動きをしたら危険です。
こちらに攻撃の意図があると思われないよう、静かにその場を離れましょう。
蛇の生態の詳細はこちらの記事をご覧ください。
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蛇の牙はとっても危険!
蛇に2本の鋭い牙があることはよく知られています。
しかし、その牙にいくつかの異なる機能があることはあまり知られていません。
ここでは蛇のもつ牙の種類と機能を詳しく見ていきましょう。
「前牙類」と「後牙類」
牙をもつ蛇は「前牙類(ぜんがるい)」と「後牙類(こうがるい)」に分かれます。
前牙類は口の前に2本の鋭い牙があり、後牙類は口の奥に2本の牙があります。
コブラやクサリヘビはおもに前牙類、ヤマカガシなどは後牙類に分類されます。
また、クサリヘビなどの蛇の牙は普段は折りたたまれており、獲物に噛みつくときにだけ飛び出します。
蛇は牙から毒を出す
毒蛇の牙はさらにここから2つに分かれます。
- 管牙(かんが)
-
牙の先端に穴が空いているストロー状の牙です。
管牙をもった毒蛇は、獲物に噛みついた後に牙の中の管を通して獲物に毒を注入します。
マムシ、ハブ、などが管牙をもっています。 - 溝牙(こうが)
-
牙の表面に毒の通った溝がある牙です。
獲物に噛みついたら、そのまま毒が傷口から侵入します。
コブラなどがこの毒牙をもっています。
蛇の種類によって毒が異なる
牙だけでなく、さらに蛇の毒にも種類があります。
蛇の毒には、おもに「神経毒」と「出血毒」があります。
- 神経毒
-
神経を麻痺させる作用があります。
筋肉が麻痺してしまい、呼吸困難などの症状を引き起こします。 - 出血毒
-
血管を破壊する成分が含まれており、血液の循環ができなくなり細胞が壊死(えし)してしまいます。
筋肉の壊死も起こしてしまうので、一命をとりとめても体に後遺症が残る場合があります。
毒蛇に噛まれても、体全体に毒が行き渡るまでには時間がかかります。
すぐに血清を打てば助かる可能性はあるので、落ち着いて対処しましょう。
そして落ち着いて、車で病院へ行くか、速やかに救急車を呼びましょう。
噛まれた蛇の種類を覚えておくと、病院に着いたときにすぐに血清を打ってもらえます。
噛まれた蛇のおおまかな特徴だけでも覚えておきましょう。
蛇がもたらす毒以外の被害
蛇に対し苦手意識がなく、恐れるとしても毒蛇のみだという考えの方もいるでしょう。
しかし、毒はないとしても人間の生活にさまざまな影響を及ぼすことがあるのはご存知でしょうか。
噛まれて感染症被害
蛇は野生の生き物を捕獲・捕食するため、口内は雑菌だらけで衛生的ではありません。
そのため、噛まれたのが原因で傷口が腫れ上がる場合もあります。
感染症を引き起こす場合もあり、毒がなければ大丈夫とはいえません。
症状によっては後遺症が残るかもしれません。
無毒であっても処置は必須でしょう。
電線を噛まれて停電被害
2017年5月の愛知県瀬戸市で約1,400戸の停電が発生しました。
その原因は、蛇が高圧電線に接触したことだったのです。
同年の6月にも、山形県でカバーに蛇が入りこんだことにより、117戸が停電しました。
参考:中部電力|瀬戸市における停電について(最終閲覧日:2,024年5月22日)
蛇を原因とした停電はまれに起こります。
電線に巻きつく程度なら被害は少なくて済みますが、場所によっては大規模な停電を引き起こすこともあります。
蛇による被害を予防するための事前対策
蛇による被害を避けたいと考えたとき、蛇を駆除すると噛まれる危険性がありますし、寄ってくるたびに駆除するというのはキリがありません。
蛇は巣を作り土地に住むため、確実に関わらないようにするには、まず蛇が寄ってきにくい環境づくりが大切です。
本項ではその方法をご紹介いたします。
蛇の好物を駆除して生息しにくくする
家の中だけでなく、家の庭などにも目を向けて徹底的にネズミや昆虫など蛇のエサになるものを駆除することが大切です。
蛇が生息するのはエサとなる生物が豊富な場所です。
例えば、アオダイショウはネズミを主に食べるため人の家に住むという習性を持ちます。
ネズミは家の中に住むイメージが強いでしょうが、実際は屋外にもネズミは住んでいるため、それを狙って蛇はやってくるでしょう。
芝生や茂みは短く切っておく
家のお庭などに生えている草が伸び放題になっている場合は短く切っておきましょう。
憶病な蛇は身を隠せる環境を好むためです。
また、草が伸びていると蛇だけでなく、コオロギやネズミなどの生物も集まってきます。
上述のようにエサを求める蛇がやってくるかもしれません。
長い草がある環境はいろんな生物が好むのです。
家の穴や隙間を埋める
蛇が入ってきそうな隙間が家にある場合は、早急に修繕し換気扇や室外機には金網をするなどの対策をすると蛇の侵入を防げます。
体の細い蛇はわずかな隙間からでも家の中に侵入することがあります。
家の壁のひびや、室外機や換気扇から侵入したりすることもあります。
「ある日エアコンを使っていたら、エアコンの送風口から蛇が落ちてきた」という事件も実際に発生しています。
建物の壁をなめらかにして侵入防止する
蛇が家に入りこまないようにするには建物の壁をなめらかにすることが有効とされています。
現在蛇が住みついているご家庭でも、登りにくくなることにより蛇の侵入が防げるかもしれません。
家に住む蛇の代表格であるアオダイショウは木登りが得意です。
蛇のうろこはひし形に並んでいますが、お腹はうろこの向きが変わります。
このうろこは立てることができ、木の凹凸にひっかけて登りますが、凹凸がある場合にしか使えないためです。
蛇がいそうな場所は警戒して進む
蛇がいそうなところを歩く場合は、長い棒などで前方をかきわけながら進むようにしてください。
蛇は憶病な生き物なので、身を隠せる場所を好みます。
深い草むら、沼などの湿地帯、岩陰などが蛇が好むところです。
また、蛇の姿が見えたり、「シャーッ」という威嚇音が聞こえたりした場合は、すぐにその場で立ち止まり、蛇がいなくなるのを待ちましょう。
サンダルや半ズボンなどの肌の露出が多いものを着るのは避け、肌の露出が少なく厚手の衣類を着用することをおすすめします。
毒蛇の牙は鋭いですが短いものが多いです。
蛇よけの詳しい方法はこちらの記事をご覧ください。
蛇に出会ってしまったときの対処法
蛇に噛まれないためには遭遇しないことが一番ですが、気を付けていても遭遇してしまうこともあります。
もし、毒蛇に遭遇してしまったらどうしたらよいのでしょうか。
蛇に遭遇したときの対処法についてご紹介していきます。
蛇の攻撃範囲に入らないように逃げる
蛇の攻撃範囲は全長の3分の2程度といわれています。
1m以上近づかず、すみやかにその場を離れましょう。
しかし、気をつけていても噛まれる場合もあるので、噛まれた場合軽症で済むように備えることも必要です。
具体的には、蛇がいそうな山や草むらなどに入るときは長そで長ズボン、そしてゴムの長靴を着用することをおすすめします。
蛇を刺激せずに立ち去る
毒蛇に遭遇したら慌ててしまうかもしれませんが、蛇を刺激しないように静かにその場で立ち止まりましょう。
蛇は憶病な生き物なので、遭遇した蛇も私たち同様にびっくりしています。
このときに騒いで蛇を刺激する行動をとれば、蛇は自分の身を守るために襲いかかるおそれがあります。
蛇は身の危険を感じたときは隠れます。
次に威嚇音を発し、最終手段として牙で噛みついてくるのです。
こちらから危害を加えないかぎり、蛇はめったに人を襲いません。
蛇に遭遇したときは、慌てずに蛇が自分から去ってくれるのを待ちましょう。
間違っても蛇を棒で叩いたり、水をかけたりしないでください。
蛇は身の危険を感じると襲いかかるため、蛇に遭遇したときの最良の対処方法は「放置」です。
どうしても蛇を追い払う必要があれば、こちらの記事を参考に駆除をご検討ください。
蛇の害獣被害に悩んだらプロに相談する
庭や家に入り込んだ蛇に噛まれでもしたら大変ですよね。
蛇は卵を10個以上産むこともあり、そのすべてが育てば庭中が蛇だらけになるかもしれません。
庭や家で蛇を見かけたら、放置しておくよりできれば駆除するのが望ましいでしょう。
素人が駆除しようとするのは危険がともないますが、業者に頼めば安心・安全ですよ。
業者なら、蛇の駆除はもちろん、蛇被害の再発防止のためのアフターケアもおこなってくれます。
徹底的に蛇を駆除したい方は業者に連絡しましょう。
害獣駆除業者の選び方
初めての方はどの業者に依頼すればよいかわからないかもしれません。
せっかく業者に駆除してもらったのに、処置が不十分で、蛇をしっかりと駆除できなかったら、お金も時間も無駄になってしまいます。
そんな事態を避けるために、失敗しない業者の選び方をご紹介します。
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また、口コミで自分の住んでいる地域で評判のよい業者を見つけるのもよい手段です。 - 業者を紹介してくれる会社に相談する
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自分で業者を決めることに不安がある方は、業者を紹介してくれる会社に連絡しましょう。
あなたの要望に沿った業者を紹介してくれるはずです。 - 業者同士を比較する
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自分に合った業者を見つけたい方は、複数の業者に見積りを取ってもらい、業者同士を比較するとよいでしょう。
複数の業者を比較することで、費用の相場や、サービス内容が明確になります。
おすすめの害獣駆除業者や、業者の選び方の詳細はこちらの記事をご覧ください。
緊急性が高い場合は警察に連絡する
最寄りの警察署に駆除を依頼するという手段もあります。
警察の仕事は「市民の安全を守ること」なので、依頼をすれば蛇の駆除もおこなってくれます。
連絡をすればすぐに駆け付けてくれる場合が多いので、今すぐ蛇を駆除したいときは警察に蛇の駆除をお願いしましょう。
しかし、警察は蛇の駆除をおこなってくれても、アフターケアまではおこなってくれません。
蛇は一度定住してしまうと、追い払っても再び戻ってくることがあります。
ですから、「せっかく蛇を追い払ってもらっても、しばらくすると、蛇が戻ってきた」なんてことも起こりうるのです。
警察に蛇の駆除依頼をする場合は、緊急時など、すぐに蛇を追い払いたいときにするとよいでしょう。
まとめ
蛇の生態と対策を紹介しました。
日本国内の蛇はほとんどが無毒ですが、マムシやヤマカガシなど有毒の蛇も生息しています。
有毒の蛇さえ避ければ大丈夫というわけでなく、無毒であっても噛まれれば雑菌による感染症の危険があります。
そもそも素人目では蛇の種類はわかりにくいので、無毒か有毒か見誤る可能性が高いです。
蛇を見つけたら、有毒でも無毒でも近づかず、刺激しないようにしましょう。
基本的に蛇は臆病な生き物ですから、出会ってもその場から離れれば向こうから逃げていきます。
もし庭や家に蛇が出た場合、駆除するのが望ましいです。
安全のため、駆除は業者に依頼するのがおすすめです。