「見つけたスズメバチの巣が、初期のものかわからない……」
「初期の巣なら安全に駆除できるって本当?」
自力でスズメバチの巣を駆除したいけど、一歩間違えたら襲われるのではないかと不安に思っていませんか?
初期のスズメバチの巣は危険が少なく、スプレー1本で簡単に駆除が可能です。
ただし巣が初期のものでない場合、大変危険で命に関わることもあります。
そのため、巣が初期のものかの判断を間違えてはいけません。
この記事では、スズメバチの巣が初期かどうかの見分け方と、安全な駆除方法をご紹介します。
見つけた巣の駆除は、できるだけ早くおこないましょう。
スズメバチは警戒心が強く、集団で毒針を何度も刺して攻撃する危険な蜂です。
少しでも危険を感じるときは、蜂の駆除業者に依頼することをおすめします。
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1948年生まれ。幼少期より昆虫に興味を持ち、40年以上に渡りスズメバチを研究。スズメバチとの関わり方や自然環境をテーマとして、講演やテレビ出演、本の出版など幅広く活躍中。 ▼主な著書 『虫<自然>は友だち』新日本出版社2004年 『おどろきのスズメバチ』講談社2013年 『スズメバチの真実』八坂書房2018年
自力駆除OK!初期のスズメバチの巣の見分け方
スズメバチは攻撃的で、うっかり巣に近づくだけで徹底的に刺される危険な蜂として知られます。
しかし初期の巣は近づいても攻撃される危険性が低く、自力での駆除と撤去も可能です。
- 4~5月に見つけた巣
- 6月上旬に見つけた働き蜂が羽化していない巣
初期の巣の見分け方を、以下で詳しく解説します。
4~5月なら初期のスズメバチの巣
4~5月に見つけたスズメバチの巣は、初期の巣です。
巣は女王蜂・卵・幼虫・サナギしかいない状態で、攻撃性のある働き蜂はまだ成長していません。
働き蜂が羽化するまでの間、女王蜂は単独で巣作り・産卵・子育てをおこないます。
女王蜂は臆病で、むやみに人を攻撃することはありません。
そのため4〜5月の時期なら比較的安全に巣の駆除ができます。
参考:国立研究開発法人森林総合研究所 森林レクリエーションでのスズメバチ刺傷事故を防ぐために(最終閲覧日:2024年3月7日)
6月上旬でも働き蜂が羽化してないなら初期の巣
6月上旬は、働き蜂がまだ羽化していなければ初期の巣です。
女王蜂が1匹だけで活動しているのなら、働き蜂はまだ羽化しておらず成長途中と考えてよいでしょう。
また巣の形で、働き蜂が羽化して活動を始めたかどうかを判断ができます。
女王蜂が単独で作る初期の巣は特徴的で、羽化した働き蜂が巣作りをするようになると丸くなるからです。
一般的なスズメバチの初期の巣は提灯型で、中の巣盤※がよく見える状態です。
中期以降になると入り口はふさがり、大きなボール型へと変化します。
※女王蜂が卵を産み付ける六角形の穴が集まった板
巣の中に働き蜂が見当たらなければ、比較的安全に駆除ができます。
ただし、まれに巣の中が見えないタイプの初期の巣もあります。
例えばコガタスズメバチの巣は、とっくりを逆さにしたような形です。
この形は初期の巣特有で、中期以降はボール型になります。
そのため巣の中が見えなくても初期の巣だと判断できます。
いずれにしても巣の形が変わったら、働き蜂が羽化して活動を始めたサインです。
日を追うごとに働き蜂が増えて攻撃性も高まるため、安易な自力駆除はおすすめしません。
7月以降に突然できた巣は初期の巣ではない
7月以降、急にあらわれたスズメバチの巣は初期の巣ではありません。
キイロスズメバチが引越しをして作った巣です。
スズメバチの巣は通常、4~5月頃に女王蜂が1匹で作り始め、数ヵ月かけて徐々に大きくなっていきます。
一方、キイロスズメバチは働き蜂の数が増えると引越しをして、一気に大きな巣を作ることがあるのです。
そのため7月以降に突然できた巣は、作りかけでも安全な初期の巣ではありません。
むしろ近くに「元巣」がある可能性が高く、働き蜂が新旧の巣を行き来しているため危険です。
【画像】スズメバチの巣の初期と中期以降の比較
スズメバチの初期の巣は、女王蜂が1匹だけで営巣するものです。
中期以降のものと比べて特徴があり、比較的簡単に見分けられます。
■ スズメバチの初期の巣
- 提灯型で、巣内の様子はよく見える
- 直径5~20㎝
■ 中期以降のスズメバチの巣
- マーブル模様のボール型で、小さな穴から成虫が出入りする
- 大きなものは直径1m近くになることもある
提灯型の初期の巣は、内部を見れば働き蜂が羽化しているか確認できます。
巣内に女王蜂と卵や幼虫しかいなければ、刺される危険性の低い初期の巣です。
また、コガタスズメバチの初期の巣は特徴的でわかりやすいです。
近年都市部の建物や木の茂みに営巣して、発見されることの多いスズメバチの種類です。
■ コガタスズメバチの初期の巣
- とっくり型で、巣の内部は見えない
- 先端から女王蜂が出入りする
■ 中期以降のコガタスズメバチの巣
- マーブル模様の球形で、大きいものでバスケットボールくらいのサイズ
- 巣の表面に蜂がいることは少ない
コガタスズメバチの初期の巣は先端が突き出たとっくりやフラスコのような形で、中期以降は球型になります。
羽化した働き蜂が巣の先端部分を切り取るため、巣の形が球型になるのです。
参考文献
丸沢 丸.超危険!スズメバチLIFE.講談社,2019
コガタスズメバチの巣の場合、先端が突き出ている間は比較的安全に駆除できます。
また先端がなくなったら、働き蜂が羽化して活発に活動し始めたサインです。
巣に振動や刺激を与えると、働き蜂が一斉に飛び出してきて攻撃されることがあるので注意してください。
参考:九州大学大学院生物資源環境科学府|コガタスズメバチ(最終閲覧日:2024年3月7日)
見つけたスズメバチの巣が初期のものではないと判断した方は、業者に駆除を依頼することをおすすめします。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
初期のスズメバチの巣を駆除する方法
スズメバチの巣は、初期のものなら比較的安全に駆除ができます。
また成虫の数も少ないため、短時間で簡単に駆除が可能です。
やり方は「殺虫スプレーをかけて撤去する」だけ
駆除方法は、殺虫スプレーをかけて蜂を死滅させ、巣を撤去するだけです。
巣盤がむき出しで中身が見える形の初期の巣なら、女王蜂や幼虫に直接スプレーをかけましょう。
一方、とっくり型で中が見えない巣なら、先端の穴から直接スプレーを噴射してください。
十数秒以上スプレーをかけ続ければ女王蜂も幼虫も死滅します。
スプレーをかけ終わったら巣を取り外しましょう。
巣は手でも簡単に取り外せますが、直接触れることに抵抗がある場合はトングや割りばしなどを使ってください。
取り外した巣は燃えるゴミ用の袋に入れ、可燃ごみの日に処分すれば完了です!
スズメバチの死骸は素手で触らないでください!
スズメバチの死骸は触られると反射的に刺すことがあります。
必ず軍手をつけるかトングなどを使って処分しましょう。
必要な道具は「殺虫剤・ゴミ袋・トング・懐中電灯」
スズメバチの初期の巣を駆除するときに必要な道具は、殺虫スプレー・可燃ゴミ用のゴミ袋・トング・懐中電灯の4つだけです。
必要な道具 | 概要 |
---|---|
殺虫スプレー | 蜂駆除用のものを用意 ドラッグストア、ホームセンター、通販などで1,000円前後で購入可能 |
可燃ゴミ用の ゴミ袋 | お住まいの地域で指定されている可燃ゴミ用のゴミ袋 |
トング | 巣やスズメバチの死骸をつかむために使用 割り箸で代用可 |
懐中電灯 | 夜間の暗い周囲を見やすくするために使用 |
懐中電灯が必要な理由については後ほど詳しく説明しますが、駆除を夕方~夜の暗い時間帯におこなうからです。
周囲を見やすくするために使用するので、もし巣の近くに電球などがあり夜でも明るくできるのであれば不要となります。
殺虫スプレーはスズメバチの巣の駆除を対象とするもので、予防効果の長いタイプを選ぶのがおすすめです。
メーカー | フマキラー株式会社 |
参考価格 | Amazon:848円 楽天市場:1,138円 Y!ショッピング:915円 |
内容量 | 450mL |
予防効果 | 4ヵ月 |
特徴 | 予防効果が4ヵ月と長い 羽ばたき停止成分と行動停止成分が入っている |
※参考価格は2024年3月8日時点でAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングに掲載されている最安商品の参考価格(税込み・東京都までの送料込み)です。
服装は「厚手の長袖」が安心!
スズメバチの初期の巣の駆除をおこなうときは、万が一に備えて厚手の長袖の服を着ましょう。
攻撃してくることはほとんどない女王蜂ですが、毒針は持っているため厚手の服を着ていたほうが安全です。
また、帽子をかぶったり首にタオルを巻いたりして、できるだけ素肌を露出しないことも重要です。
次のような防護服や、防護服の代用品を準備してください。
時間帯は「夕方~夜」がおすすめ!
スズメバチの初期の巣は夕方から夜の時間帯におこないましょう。
なぜなら夜であれば女王蜂が巣に戻っており、確実に女王蜂を駆除できるからです。
スズメバチは、昼間はエサを探しに巣の外に出ていることが多く、夜になると巣に戻ります。
そのため、昼間に駆除してしまうとスズメバチが外出中の場合があり、再度巣を作られてしまうことがあるのです。
女王蜂が確実に巣にいる時間帯を狙って、駆除するようにしましょう!
暗くて周囲が見づらい場合は、懐中電灯で周りを確認しながらおこなってください。
巣の再発を防ぐには予防効果のある殺虫スプレーを散布する
「せっかく駆除したのに、また蜂の巣を作られた……」
そんなことにならないよう、巣の再発を予防しましょう。
一度巣ができた場所はスズメバチにとって魅力的な場所なので、すぐに別の女王蜂がやってきて巣を作ってしまいます。
再発の予防は、簡単にできます。
駆除に使った殺虫スプレー(予防効果のあるもの)を巣のできそうな場所へシュッと吹きかけておくだけです。
予防すべき場所はたったの5ヵ所
スズメバチの巣の再発を予防すべき場所がわからないときは、次の場所を参考にしてください。
- 軒下(1階・2階)
- 庭木
- ベランダ
- 玄関
- 物置(倉庫・納屋)
上記5ヵ所は当サイトに寄せられたスズメバチ駆除のご相談の中で、依頼が多かった営巣場所です。
なかでも軒下と庭木が多く、この2ヵ所だけで全体の半数を占めます。
そのため、まずは軒下と庭木を予防するのがおすすめです。
余裕があればベランダや玄関、物置も予防しておきましょう。
詳しくは蜂の巣駆除・予防の詳しいやり方をまとめた記事でも解説していますので参考にしてください。
大きくなってきた巣の駆除を業者に依頼すべき理由
「スズメバチの巣の駆除は、市販グッズを使えば自力でできるんじゃ……?」
そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし大きくなってきたスズメバチの巣の駆除は、業者に依頼することをおすすめします。
その理由は以下の3つです。
防護服を用意しないといけないため
スズメバチの巣の駆除作業には、防護服が必須です。
大きくなった巣には警護や攻撃を役割とする働き蜂がいて、巣に近づくだけで容赦なく刺されるからです。
防護服は3千~10万円と幅広い金額のものが販売されていますが、スズメバチ駆除に使用するのであれば最低5万円はかかります。
2万~3万円程度のスズメバチ用防護服もありますが、素材や構造などを見ると絶対に安全とはいいがたいため、当サイトでは推奨しておりません。
また、数千円の防護服は養蜂用です。
スズメバチ駆除用の防護服は高額なので、駆除業者に依頼したほうが安く済むことが多いです。
成長した巣は自分で駆除するのではなく、駆除業者へ依頼するようにしましょう!
11月まで蜂が増え続けて危険なため
スズメバチは、11月上旬まで個体数が増え続け巣は大きくなっていきます。
そのため、駆除せずに放置しておくのはとても危険です!
特に9~10月頃は繁殖のピークとなり、攻撃性が高まります。
この時期になると、巣に危害を加えなくても近くを通っただけで襲われることがあり、少なくとも巣から10m以内には入れない場合もあります。
スズメバチは巣から10m以内に近づくと接近者の周囲を飛び回る警戒行動をとり、さらに近づくと、最後の警告として左右の顎を噛み合わせて「カチカチ」という音を出して威嚇します。
巣に近づいてしまった場合は、黒い部分(頭や目など)を隠し、低い姿勢で少しずつ後退して20m以上離れてください。
出典:安中市|スズメバチについて(最終閲覧日:2024年3月8日)
洗濯物を干すのも大変になりますし、帰宅時にうっかり巣に近づいて襲われてしまうことも考えられますよね。
12月以降になると徐々に数は減り、最終的に巣は空になりますが、それまでは危険な状態が続くため放置するのはやめましょう!
早く依頼すれば費用を抑えられるため
スズメバチの駆除費用は、ピークである9月頃よりも4~6月頃のほうが安いです。
そのため、巣が成長してから駆除するよりも、巣が小さいうちに駆除してしまったほうがお得になります。
以下は当サイトに寄せられたスズメバチ駆除のご依頼について、月別に費用を集計したグラフです。
上のグラフを見るとわかるとおり、4月であれば約38,000円ですがピーク時になると約50,000円となり、その差は約12,000円。
駆除するタイミングは早いほど安く済みます。
スズメバチの巣を早めに発見できたことはラッキーですので、できるだけ早めに駆除するようにしましょう!
詳しくは蜂の巣駆除の費用相場をまとめた記事を参考にしてください。
蜂駆除業者探しはハチ110番にご相談を!
スズメバチの巣の駆除を業者に依頼したいと思ったときには、ハチ110番へご相談ください。
お住まいの地域に対応できる蜂駆除のプロをご紹介いたします。
ハチ110番には、次の4つのメリットがあります。
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ご都合のよいタイミングでお問い合わせください。 - 日本全国受付対応
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ハチ110番であれば、ご自宅が対応エリアかどうかを気にする必要はありません。 - 現地調査・見積り無料
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「とりあえず費用だけ知りたい」という方は、現地調査と見積りのみご依頼いただくことも可能です。※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
- 再発防止も徹底
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スズメバチの巣の駆除だけでなく、薬剤散布による再発防止もおこなっています。
駆除後も安心して生活できるよう徹底していますので、安心してお問い合わせください。
自信をもってスズメバチ駆除サービスを提供していますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください!
まとめ
スズメバチの初期の巣は女王蜂が一匹だけで作っていて、見た目も特徴的です。
初期のスズメバチの巣は提灯型やとっくり型をしていて、中期以降にはボール型に変化します。
巣の形が変わるのは、働き蜂が成長して営巣を担うようになったサインです。
それまで女王が単独でおこなっていた作業が分業となり、パトロールや警護、攻撃の仕事をする働きバチも増えていくので、中期以降の巣の駆除は難しくなります。
見つけた巣が初期のものなら自力でも簡単に駆除ができます。
殺虫スプレーで蜂を死滅させ、巣を撤去して処分するだけです。
しかし働き蜂が成長して活動を始めているなら、初期の巣ではなく中期以降の巣です。
日を追うごとに働き蜂の数が増え、攻撃性も強くなるので駆除には命の危険もあります。
すでに大きくなってしまった中期以降のスズメバチの巣の駆除は、蜂の駆除業者に依頼しましょう。
#スズメバチ駆除 #スズメバチ #蜂の巣
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ハチ110番の編集者として、ユーザーの皆さまに正しい情報をわかりやすく提供できるよう、記事の構成案の …
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