「身近な場所にアシナガバチの巣を見つけた」
「刺されたらどうしよう」
このような悩みがあると、安心して生活できないですよね。
しかし、アシナガバチの生態を知れば危険の回避に役立ちます。
活動する時間帯や時期などを知ることで、刺されることなく駆除・予防までできるのです。
今回はアシナガバチの生態と共に、安全に対処する方法についてご紹介します。
「アシナガバチの生態について詳しく知りたい」という方はぜひ最後まで読んでみてください。
アシナガバチの生態
アシナガバチは漢字で「足長蜂」と書き、字の通り脚の長い蜂です。
活動する時間帯や期間、餌などアシナガバチの生態についてご紹介します。
活動するのは昼間
明るい昼間に活動しています。
夜間は気温が低下し蜂の体温も下がり、暗く視界が悪いことから行動が鈍くなります。
そのため暖かい昼間に行動するのです。
夜間は巣に戻りぶら下がって体を休め、人間と同じように睡眠を取ります。
雨風を避けられる風通しのいい場所に住む
人と同じような環境を好んで巣を作り生活します。
アシナガバチは雨風を嫌い風通しのいい場所を好むため、民家の軒下やベランダ、庭の木に巣を作ることが多いです。
他にも街路樹やガレージ、室外機にも巣を作ることもあり、注意が必要です。
長い脚をぶら下げてゆっくり飛ぶ
長い後ろ脚をぶら下げるようにして、ゆっくりフラフラと飛びます。
体が細く後ろ脚が長いのが特徴で、体長は12~26mmの大きさです。
女王蜂は体も羽も他の蜂より1回り大きく、3cmくらいの大きさになります。
幼虫の餌はチョウやガの幼虫
アシナガバチは幼虫の頃はチョウやガの幼虫である毛虫や芋虫を餌にします。
働き蜂が噛み砕いて団子状にし、幼虫に与えるのです。
農作物などの葉を食べる芋虫などを餌にすることから益虫といわれることもあります。
成虫は幼虫と違い、樹液や花の蜜を餌にします。
- モンシロチョウの幼虫(アオムシ)
- ヨトウガ類の幼虫
- アゲハの幼虫
- アブラムシ、バッタ類の幼虫
- ユスリカ
- スギナハバチの幼虫
参考:アシナガバチの分類と生態(最終閲覧日:2024年5月3日)
活動期間は4~11月
アシナガバチの活動期間は4~11月頃です。
※気候によって巣を作り始める時期や越冬する時期が少し前後することもあります。
1年の様子や過ごし方を季節ごとにまとめました。
春 (4~5月) | 越冬から目覚めた女王蜂が1匹で巣を作り始める。一つ部屋が完成すると一つ卵を産み、繰り返していく。 |
夏 (6~7月) | 働き蜂が数匹羽化し、巣作り・餌取り・防衛を担当。女王蜂は産卵に専念するようになる。 |
夏の終わり (8~9月) | 巣の大きさ、働き蜂の数が最大になり、働き蜂が生まれなくなる。雄蜂と新しい女王蜂が羽化。 |
秋 (10~11月) | 巣を作り始めた女王蜂と働き蜂が死滅。雄蜂と新しい女王蜂が交尾をし、終えると雄蜂は死んでいく。 |
晩秋~春先 (11~3月) | 受精した新しい女王のみ、土の中や木の割れ目の中で越冬する。 |
11月頃から新女王蜂のみ越冬する
先にお伝えしたとおり、アシナガバチは新しい女王蜂のみ越冬します。
11月頃から巣を出て、巣のあった場所から数mの土の中や木の割れ目の中の暖かい場所に移動。
春がくるまでエネルギーの消費を抑えながら冬眠します。
新しい女王蜂以外の働き蜂、雄蜂、巣を作った女王蜂は全て死にます。
詳しくはアシナガバチの女王蜂の生態をまとめた記事をご覧ください。
アシナガバチの巣はお椀型
アシナガバチの巣はお椀を逆さにしたような半円形が特徴です。
シャワーヘッドや蓮の実に例えられることもあり、下から見ると幼虫を育てる穴がたくさん見えます。
色は灰色や薄茶色。
大きさは約15cmと他の種類の蜂の巣よりも比較的小規模ですが、約30cmまで大きい巣になることもあります。
アシナガバチの巣の詳細はこちらの記事をご覧ください。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
アシナガバチの危険性
おとなしい性格といわれることが多いアシナガバチ。
しかしじつは強い毒針を持っていて、刺激を与えてしまうと攻撃されたと思って刺してくることがあり、とても危険なのです。
針に強い毒がある
アシナガバチの針には強い毒があります。
蜂の体内で様々な成分の毒がブレンドされているため「毒のカクテル」と呼ばれることもあるのです。
刺されると激しい痛みと共に、刺された部分を中心に赤く腫れます。
初回であれば1日以内に治まりますが、2回目以降は毒に対するアレルギー反応で、刺された直後からじんましんや2日程ひどく腫れることも。
呼吸が苦しくなったり、意識が遠のいたりアナフィラキシーショックの症状が出て死に至る場合があり、とても危険な毒です。
参考:皮膚科Q&A|ハチに刺されるとどうなりますか?(最終閲覧日:2024年5月3日)
詳しくは蜂に刺された際の症状や対処法をまとめた記事をご覧ください。
刺激を与えると攻撃する
アシナガバチは基本的にはおとなしい性格をしており、スズメバチほど攻撃性は強くありません。
しかし急に近づいたり触ったり、巣を刺激してしまうと一斉に攻撃してきます。
干していた洗濯物と一緒に取り込むなど、知らないうちに刺激を与えてしまうこともあるため、注意が必要です。
また匂いにも敏感なので、甘い香りの香水や柔軟剤、汗の匂いも刺激になってしまいます。
安全に駆除するための注意点
攻撃性は強くないとはいえ刺されてしまったときの危険性が高いので、身近な場所に巣がある場合は早めの駆除が望ましいです。
そのためには、巣を少し離れた場所から明るい昼間に確認することが重要です。
アシナガバチは巣のある場所や大きさによっては、自分で対処できるからです。
ただし巣の状態だけでなく、服装や時間帯にも注意する必要があります。
巣のある場所が高所ではないか
巣の場所が2階以上の出窓の下や軒下などの高所だと、自力での対処は難しくなります。
高所での慣れない作業はとても危険です。
殺虫剤が命中せず反撃されたり反撃されて転落したり、事故につながる可能性があります。
いざ巣に近づいてみると、思っていたより巣が大きいということも。
手が届く高さであれば危険度は低くなりますが、巣が高所にあった場合は業者に相談することをおすすめします。
巣が大きすぎないか
巣が大きすぎると自分で対処するのは危険です。
大きな巣にはたくさんの蜂がいるからです。
弊社で蜂駆除業者にアンケートを取った結果、自分で駆除できる蜂の巣の大きさの目安は5cm以下ということがわかりました。
巣の大きさが5cm以上になると蜂の数が多くなります。
また同じ巣穴を何度か使って幼虫を育てるので、巣穴の数=蜂の数ではありません。
巣が5cm以上の大きさだった場合、自分で対処しようとせず業者に依頼しましょう。
全体的に白っぽい服装をする
全体的に白っぽい服装をすることで危険度を下げることができます。
蜂は黒っぽい色に反応するといわれているので、黒はもちろん濃い色味は避けたほうがよいです。
駆除する際は防護服を着用するか、分厚い生地の長袖、長ズボン、帽子、手袋、長靴、首にタオルを巻くといいでしょう。
巣の場所、大きさの確認をするときも白っぽい服装を心がけてください。
朝か夕方以降に作業する
最も安全な時間帯は日が沈んでから2~3時間後です。
先にお伝えしたとおり夜間は行動が鈍るので巣に戻って休みます。
すべての蜂が巣に戻って休んでいるときを狙うことで、一気に蜂を残さず駆除できるのです。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
アシナガバチを駆除する手順
先にお伝えしたアシナガバチの生態と注意点を踏まえて作業しましょう。
手順通りにおこなうことで、より安全に駆除できます。
- 風上から巣に向かって殺虫剤を吹きかける
- 1日巣を放置して様子を見る
- 巣を落として捨てる
風上から巣に向かって殺虫剤を吹きかける
風上から巣に向けてスプレー式の殺虫剤を吹きかけます。
アシナガバチの巣の形から、斜め下の角度から吹きかけると安全で効果的です。
巣の真下から吹きかけると、蜂が降ってきて刺される危険性があります。
殺虫剤に反応して蜂が落ちたり一斉に飛んだりするので、怖いと感じるかもしれません。
あわてず落ち着いて一定時間吹きかけ続けましょう。
殺虫剤のかかった蜂は飛んでいても、少し離れた場所で死にます。
薬剤が届く距離、吹きかける時間は使用する殺虫剤によって変わります。
説明書きをよく読んで従ってください。
価格 | Amazon:1,073円 |
特徴 | 最大12mまで強力大量噴射 持続成分配合で効果が1か月続く |
※参考価格は2024年5月3日時点のAmazonでの価格(税込み・東京都への送料込み)です。
1日巣を放置して様子を見る
殺虫剤を吹きかけた後は1日程度巣を放置して様子を見ましょう。
生きている蜂がいなければ大丈夫です。
まだ生きている蜂がいたら、もう一度殺虫剤を吹きかけてください。
蜂が死んだことを確認できたら、念のため殺虫剤をかけてから巣を処分します。
蜂は死んでも針には毒があるので、終始素手で触らないように気をつけて作業してください。
巣を落として捨てる
棒などで巣を落とし、ほうきとちりとりやトングなどを使って死んだ蜂と巣を集めます。
新聞紙などで包み、足で踏みつぶしてからゴミ袋に入れると、殺虫剤が直接かかっていない幼虫まで殺すことが可能です。
巣と死骸は燃えるゴミに出せます。
蜂の巣を取り除いたあとに働き蜂が巣のあった場所を飛ぶことがありますが、数日でいなくなります。
ここまでアシナガバチを駆除する方法をまとめました。
詳しくはアシナガバチの駆除方法をまとめた記事をご覧ください。
アシナガバチの巣を予防する方法
アシナガバチにまた巣を作られるのは避けたいですよね。
一度巣が作られたということは、蜂にとって住みやすい環境といえるでしょう。
今後巣を作られないためにできる予防方法を時期ごとにご紹介します。
4~5月は女王蜂を駆除する
4~5月は越冬から目覚めた女王蜂が巣を作り始める時期です。
女王蜂1匹で巣作りを始めるので、この時期に女王蜂を退治することで巣を予防できます。
ハチトラップを設置して女王蜂を捕まえる
ハチトラップを設置することで、巣作り前や巣作りを開始した女王蜂を捕まえられます。
ハチトラップの中身は蜂が好きな糖分など。
蜂が巣を作りそうな場所や、巣を作られたことがある場所の近くに設置すると効果的です。
ただし蜂が寄ってきやすくなるため玄関やベランダ、人通りの多い場所から離れた場所に設置し、不用意に近づかないようにしましょう。
参考価格 | Amazon:601円 |
特徴 | 蜂の好きな匂いで素早く誘引、捕獲 2つの入り口で蜂が入りやすい 入ったら2度と出られない仕組みで逃がさない 約1ヵ月効果が持続 |
※参考価格は2024年5月3日時点のAmazonでの価格(税込み・東京都への送料込み)です。
6月以降は蜂の嫌いなもので遠ざける
6月以降に巣を撤去した後には殺虫剤、木酢液で予防できます。
蜂が嫌いな匂い、成分で寄せ付けないようにできるのです。
4~5月ごろの春にも効果があります。
巣のあった場所に殺虫剤をスプレーする
巣のあった場所や、巣を作りそうな場所に殺虫剤をスプレーすることで予防することができます。
蜂は殺虫剤を嫌がるので、あらかじめスプレーしておくことで近寄れなくなります。
巣を取り除いた直後に巣のあった場所の近くを飛ぶ働き蜂や、巣作りをする女王蜂を約1ヵ月寄せ付けなくすることが可能です。
殺虫剤は雨で落ちてしまうので、1ヵ月経っていなくても雨が降った後はスプレーし直すといいでしょう。
参考価格 | Amazon:1,409円 |
特徴 | 羽ばたき停止成分と行動停止成分で蜂の動きを止める 超強力バズーカ型ノズルで遠くまで届く 巣作りを防止、蜂を1か月寄せ付けない |
※参考価格は2024年5月3日時点のAmazonでの価格(税込み・東京都への送料込み)です。
木酢液を設置する
木酢液(もくさくえき)とは、木から炭を作るときに発生する煙を冷却するとできる液体のことです。
焦げた匂いと酸っぱい匂い、薄い黄色や茶褐色が特徴で、ドラッグストアやホームセンターで販売されています。
蜂は木酢液の匂いが嫌いなので、木酢液を設置するかスプレーすることで蜂を寄せ付けないようにできます。
蜂を予防するには大きく分けて3つの方法が効果的です。
- スプレー容器に入れて吹きかける
-
軒先、床下、天井裏、など隙間
- ペットボトル上部に穴を開け、木酢液を入れて設置
-
物干し竿、ベランダなど狭い場所
- バケツに入れて設置
-
ベランダ、庭など広い場所
いずれも雨が降った後や1ヵ月経った頃に交換するだけなので、簡単に予防できます。
参考価格 | Amazon:880円 |
※参考価格は2024年5月3日時点のAmazonでの価格(税込み・東京都への送料込み)です。
蜂の巣予防の詳しい方法はこちらの記事をご覧ください。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
アシナガバチの巣は放置していいときもある
アシナガバチは益虫としての側面を持ち、基本的にはおとなしいため、巣を放置してもいいのか気になりますよね。
その結論をまとめました。
- 春~9月に巣を見つけた場合は駆除する
- 10~11月以降の巣は放置していい
- 空っぽの巣は放置していい
ここからは詳しい理由を解説していきます。
春~9月に巣を見つけた場合は駆除する
巣を見つけた時期が春~9月頃の場合、駆除せずに放置は危険です。
蜂の数がどんどん増え、巣も大きくなっていきます。
巣を守ろうとする防衛本能が高まり、行動範囲も広がっていき、近所の人や通行人が刺される可能性も……。
巣の場所によってはトラブルに発展してしまうかもしれません。
マンションやアパートの場合、駆除する前に管理会社や大家さんに確認しましょう。
賃貸契約条件によって誰に駆除する責任があるのか異なります。
10月以降であれば巣を放置しても大丈夫
巣を見つけたのが10月以降であれば巣を放置しても大丈夫です。
アシナガバチは秋~冬頃から女王蜂は冬眠し、それ以外の蜂は死にます。
巣は空っぽになるので、わざわざ駆除する必要はありません。
気になるなら巣だけ撤去しましょう。
巣は1年しか使われないので、二度と使われることはありません。
蜂がいなくなった巣は放置しても大丈夫
女王蜂まで完全に退治したあとの巣は放置しても大丈夫です。
生き残った働き蜂が戻ってくることもありますが、巣に殺虫剤を吹きかけていれば数日でいなくなります。
しかし蜂が巣を作ったということは蜂にとって住みやすい環境ということ。
今後近い場所に巣を作られないとは限りません。
殺虫剤などで予防対策をしましょう。
アシナガバチのお悩みはハチ110番にご相談ください
アシナガバチの生態や危険性についてまとめてご紹介しました。
条件を満たしていれば自分で対処することは可能です。
しかし無理に近づいて刺されてしまったり、事故につながってしまったりすると、大変危険です。
「巣が大きすぎた」「巣の位置が高すぎた」「やっぱり自分で対処するのは怖い」など、少しでも危険や不安を感じたらプロに相談することをおすすめします。
ハチ110番では24時間365日お電話にて相談を受け付けています。
ご相談いただければ、多くの実績がある加盟店の業者をご紹介させていただきます。
お気軽にお問い合わせください。
#アシナガバチ
-
ハチ110番の編集者として、ユーザーの皆さまに正しい情報をわかりやすく提供できるよう、記事の構成案の …
-
専門文献や駆除業者・専門家への調査をもとに、蜂の駆除・予防法や駆除業者の選び方など様々なテーマで情報 …