蜂みたいな虫14種!外見の特徴と簡単に見分けるポイントを徹底解説

蜂みたいな虫の特徴と見分け方

「家の近くで見かけた蜂みたいな虫の正体を知りたい!」「蜂みたいに毒針で攻撃してくるのかな?」などと気になっていませんか?
毒針で攻撃する危険な蜂なのか、見た目が蜂に似ているだけで危険性のない虫なのか、はっきりさせたいですよね。

じつは蜂みたいな虫はアブや蛾の仲間で、天敵から身を守るために毒針を持つ危険な蜂にそっくりな見た目をしています。
そのため実際は毒針は持っておらず、毒針で攻撃することはありません。

蜂みたいな虫と蜂を見分けられれば、「蜂かもしれない」などと過剰に心配したり対策したりする必要がなくなるでしょう。

この記事では蜂みたいな虫の正体や生態についてご紹介します。
この記事を読むと蜂みたいな虫に遭遇したときに、焦らず安全に対処できます

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目次

蜂みたいな虫の正体はアブや蛾

蜂の黄色と黒色の派手な色としま模様は警告色といって、毒を持っていて危険であることを示し、天敵から身を守っています。
蜂みたいな虫は、蜂のフリをすることで天敵から身を守っているのです。

蜂みたいな虫はハナアブ科のアブや、スカシバ科の蛾などです。
蜂みたいな虫の正体と、似ている蜂の写真をそれぞれご紹介していきます。

蜂に似た虫【ハナアブ】

ハナアブはハナアブ科に属する虫です。
種類によっては、ミツバチスズメバチと見た目がよく似たハナアブがいます。

ミツバチ

ミツバチ

コガタスズメバチ

コガタスズメバチ

アブというと吸血する種類を思い浮かべるかもしれませんが、ハナアブ科のアブは吸血しません。
ハナアブ科のアブは益虫とされており、幼虫は植物の健康を阻害する害虫であるアブラムシやカイガラムシ、成虫になると花の蜜や花粉、樹液を食べて受粉を助けます。
そのため、見つけても駆除する必要はないでしょう。

蜂とアブのおもな違い
  • 蜂の翅(はね)は前後合わせて4枚、ハナアブは翅が2枚
  • 蜂は顔の前面につり上がった目があるが、アブは顔全体を覆うような大きさ
  • 蜂はホバリングできるがアブはできない。さらに素早く、大きな音を立てて飛ぶ
  • 蜂は毒針で刺すが、アブは噛む

ハナアブのなかでも、特に蜂に似ている種類は以下のとおりです。

ナミハナアブ

ナミハナアブ

ずんぐりとした丸い体形で毛が生えており、ミツバチに似ているハナアブです。
黒くて大きな目に、黒っぽい色をした胸部、黄金色の胴体を持っています。

体長は14〜16mmで、生息場所は平地や畑の周辺です。
全国に出没し、4~12月まで活動します。

オオハナアブ

オオハナアブ

黒くて丸く、毛が生えた体に黄色くて太い横縞模様がついており、複眼にきれいな灰色の模様が付いたハナアブです。ミツバチに似ています。
大きさは11〜16mmで、活動期間は4〜11月です。
全国に分布して、都市周辺でも見られます。

キゴシハナアブ

キゴシハナアブ

その名のとおり、腰の部分が黄色いハナアブです。
胸部は黒色と黄色の縦縞模様、腹部は黄色の幅が広い横縞模様がついています。
ミツバチのように丸い体で、模様や色はスズメバチに似ています。

本州・四国・九州・沖縄で見られ、4〜11月に活動します。
大きさは9〜12mmと小さいです。

マツムラナガハナアブ

引用 マツムラナガハナアブ
出典:岐阜聖徳学園大学 教育学部|昆虫図鑑(最終閲覧日:2023年6月23日)

すらっとした体でスズメバチに似たハナアブですが、毒や毒針は持っていません。
胸部は黄色い斑点に似た模様を、腹部は黒色に中央で途切れた黄色の横縞模様をしています。

体長は20mmとスズメバチと同じくらいの大きさをしています。
数が少なく、あまり見ることのできないアブです。

ホソヒラタアブ

ホソヒラタアブ

こちらも、スズメバチによく似たハナアブです。
スズメバチに似ていますが、腹部が細長く平たく、胸部は黒色に黄色のまだら模様をしています。
赤みがかった大きな複眼が特徴です。

北海道・本州・四国・九州に分布しており、3〜11月に活動します。
大きさは8〜11mmと、他のアブよりも小さいです。

フタスジヒラタアブ

引用 フタスジヒラタアブ
出典:岐阜聖徳学園大学 教育学部|昆虫図鑑(最終閲覧日:2023年6月23日)

他のヒラタアブとの違いとしては、腹部にある黄色い波打つ縞模様です。
ミツバチのように丸みがかった体で、模様や色はスズメバチに似ています。
胸部の側面に毛が生えています。

4月頃に出現し、花の蜜や花粉などをエサにします。
体長は12~14mmと大きく、本州・四国・九州・対馬で発見することが可能です。

キンアリノスアブ

キンアリノスアブ

他のアブとは違い、腹部が金色で光沢を放っています。
体長は11~13mmで丸く、ふさふさとした体毛を持っており、ミツバチに似ています。
本州と九州でしか姿をあらわさず、活動時期も5~6月と短い期間でしか活動しません。

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蜂に似た虫【スカシバガ科】

ハナアブの他にも、スカシバガ科の虫も蜂に似ているのです。

スカシバガとは、鱗翅(りんし)目スカシバガ科の昆虫の総称を言います。
つまり蛾の仲間なので、毒も攻撃する針も持っていません。

この項目では、蜂に似ているスカシバガ科の虫について説明します。
似ている蜂も一緒にご紹介しますので、見比べてみてください。

コシアカスカシバ

コシアカスカシバ

コシアカスカシバ

キイロスズメバチ

キイロスズメバチ

キイロスズメバチによく似た虫です。
キイロスズメバチとよく似た外見をしていますが、違いとしては翅の色です。
キイロスズメバチは茶色い翅、コシアカスカシバは透明な翅をしています。
幼虫はクヌギやコナラなどの木を食べます。

開張した大きさは26.5〜43mmと大きいです。
本州と九州でしか姿をあらわさず、8~9月という短い活動期間で活動します。

クビアカスカシバ

クビアカスカシバ

クビアカスカシバ

オオスズメバチ

オオスズメバチ

オレンジがかった色味がオオスズメバチによく似た外見をした虫です。
コシアカスカシバと同様、透明な翅の持ち主です。
体長は約30mmで、全体的にふわふわとした毛並みで覆われています。

クビアカスカシバの幼虫は地中で蛹になるまでの間はぶどうの木に寄生し食べるため、木がぼろぼろになるほど食害を起こしてしまいます。
6〜8月頃に羽化し、産卵します。
参考:果樹技術普及センター|クビアカスカシバの発生生態と対策について(最終閲覧日:2023年6月23日)

ヒメアトスカシバ

ヒメアトスカシバ

ヒメアトスカシバ

ドロバチ

ドロバチ

ドロバチによく似た種類の虫です。
前の翅は茶色ですが、後ろの翅は透明です。
頭部と胸部は真っ黒で、腹部は黄色い横縞模様がついています。
開張した大きさは21〜29mmです。
本州・四国・九州で見つかり、6〜9月に活動します。

カシコスカシバ

カシコスカシバ

引用 コスカシバ
出典:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所|森林生物 コスカシバ(最終閲覧日:2023年6月23日)

ムモンホソアシナガバチ

ムモンホソアシナガバチ

ホソアシナガバチに似ている虫です。
他のスカシバガ科の虫とは違い、頭から胸部、腹部まで黄色い横縞模様が連なっています。
腹部の先端や足にもふさふさとした毛が生えています。
本州・九州・対馬・屋久島で見つかります。

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その他の蜂みたいな虫

ハナアブ科のアブやスカシバガ科の蛾以外にも、蜂みたいな虫はたくさん存在しています。
ここではハナアブ科とスカシバガ科以外の蜂に似た虫を3種ご紹介します。

オオスカシバ

オオスカシバ

オオスカシバという名前ですが、スカシバガ科の生き物でなく鱗翅目スズメガ科の生き物です。
スカシバガ科の虫と同じく蛾の仲間なので毒針はありません

花の蜜をもとめて、昼間は花から花へと飛び移りながら蜜を吸います。
空中で停滞しながら移動する「ホバリング」という飛び方をするので、ハチドリと勘違いする人もいます。

ふさふさと毛が生えたうぐいす色の胸部と、赤、黄色、黒色の腹部、お尻の先端には黒っぽい毛が特徴です。
翅は透明で、白い鱗粉をまとっており、開張した大きさは50〜70mmです。

本州・四国・九州・沖縄で見つかり、6〜9月に活動します。

ホウジャク

ホウジャク

ホウジャクは先ほど紹介したオオスカシバと同じく、スズメガ科の蛾です。
漢字名を「蜂雀」と書くほど蜂によく似た蛾です。
毒針は持っていません。

胸部は茶色や灰色、腹部は茶色やオレンジ色、お尻のあたりに白色の模様があります。
体毛はふさふさしています。
前の翅は茶色く、後ろの翅は鮮やかなオレンジ色で、透けていません。

全国で見つかり、6〜10月に活動します。
越冬することで年中見かけることができるといわれます。

オオハチモドキバエ

オオハチモドキバエ
出典:岐阜聖徳学園大学 教育学部|昆虫図鑑(最終閲覧日:2023年6月23日)

オオハチモドキバエはハエ科の虫で、毒も針も持っていません。

黄色と黒、茶色のまだら模様で、翅は茶色で透けています。
体毛はなくつるつるしています。
あまり見つかることのない珍しい虫で、区分も不明です。

蜂みたいな虫も危険につながる

ここまで蜂に似た虫を紹介しましたが、遠目から蜂であるかどうかを判断することは難しいと思います。
蜂に似た虫だと判断して不用意に近づくと、「本当に蜂だった……」という事態もありえるでしょう。

また、スズメバチのように昆虫を食べる肉食の蜂もいます。
蜂はエサが取れる場所の近くに巣を作るので、家の近くでアブや蛾の仲間を見かけた場合は近くに蜂がいるかもしれません。
「蜂に似ているけど、この虫は蜂じゃないから大丈夫!」などと油断しないようにしてください。

もし家の近くで蜂が飛んでいたり巣を発見したりしたら、駆除や巣の調査を業者に依頼することをおすすめします。
自分で巣の場所を探して駆除することも不可能ではないですが、うっかり巣に近づき蜂を刺激してしまうと攻撃されてしまい危険です。

まとめ

飛んだり動いたりしている小さい虫を少し見ただけでは、「蜂」か「蜂にみたいな虫」かどうか判断しづらいはずです。
虫の正体がわからなければ、不用意に近づかず静かに離れましょう。

蜂みたいな虫の種類や特徴、似ている蜂の種類などについてご紹介してきました。
最後にご紹介した内容をまとめます。

  • 蜂みたいな虫の正体はアブや蛾の仲間が多い
  • 蜂蜂みたいな見た目をすることで身を守っている
  • 見た目が蜂に似ていても毒や攻撃する針は持っていない
  • 蜂かどうか判断できなければ不用意に近づかない
  • アブや蛾の近くにはスズメバチの巣がある可能性がある

「家の近くにいたのは蜂かもしれない……」「蜂だと思う!」といった場合は、当サイト【ハチ110番】にご相談ください。
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参考:岐阜聖徳学園大学 教育学部|進化する昆虫図鑑(最終閲覧日:2023年6月23日)

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