ご自宅に和室がある方も多いと思います。ご自宅に限らなくても、宿泊施設や飲食店で和室を取り入れているところも、よく見かけますよね。
日本人にとって身近な和室で仕切りになっているのが、襖です。じつは襖にも寿命があって3年が目安といわれているので、定期的に張替えをするのが良いようです。
しかし、これはあくまで目安。張替えには手間もかかりますし、気に入っているものであれば、できるだけ長く使いたいですよね。そのために、掃除をまめにすることも大切です。とは言え、襖の正しい掃除方法は意外と知らないものです。
今回は、襖の掃除方法について詳しく見てきましょう。
こまめなお手入れが基本
襖は自然の素材を使っていることが多く、襖がある環境や扱いの方法によって汚れ方や度合いが変わってきますが、日ごろから行う掃除はどのくらいの頻度で行えばいいかご存知ですか?
基本的には週に1回程度、和室など襖が使われている部屋の掃除と一緒にやってしまうのがいいでしょう。
はたきなどを使って埃を払ったり、襖の縁や引き手を拭くときは乾拭きをしたりしましょう。
そして忘れてはいけないのが換気です。できれば毎日行っていただきたい作業になります。1日に1回、30分程度風を通してあげることが襖を長持ちさせるポイントにもなります。
湿度が高くなる梅雨時期はカビを防ぐためにも湿気が気になる度に換気を行ってください。ただし注意しなければならないのが“必要以上にしてはいけない”というところ。
実は襖に使用される和紙には、湿度が高いときには湿気を放出し、乾燥してくると湿気を放出してくれる温度調節機能があるのです。
乾燥させ過ぎると傷みや変色の原因にもなるということを忘れずに、毎日の換気をしてください。
あとは直射日光が当たるのもよくないので、日が当たる時間帯などによってカーテンを閉めたり障子を使ったりして遮光しましょう。
引き手周辺の掃除は入念に
襖の中で一番汚れやすい場所は引き手まわりでしょうね。つい汚れた手や濡れたままの手で触ってしまうと、年月が経つにつれ汚れが目立つようになってきてしまいます。襖の開け閉めにも気をつけるに越したことはないのですが、やはり使っていると汚れてきてしまいます。
引き手自体は自然素材のものでなければ水を絞った雑巾に洗剤をつけて軽く拭いてもらっても大丈夫です。そのあとは雑巾をきれいな水で洗って固く絞り、二度拭きしましょう。最後に乾拭きもしてください。
ただし引き手の周りは濡らしてはダメです。襖は紙でできていることがほとんどなので傷めてしまう原因にもなります。
襖周りについた手垢を落としたいときは“白のやわらかい消しゴム”を使いましょう。
それでも汚れが気になる場合はいっそ引き手をとってしまいご自分の襖に合う新しい引き手にしてしまいましょう。もしくは応急処置として、外した引き手の周りに合う図柄の襖紙を貼るのもいいでしょう。
襖紙の汚れにはこの方法で
襖紙は基本和紙でできているので水や洗剤には弱いので水拭きはできません。日ごろからはたきなどを使って上から下にほこりを払いましょう。ブラシを使っての掃除もいいですが、あまり強くこすると表面が毛羽立ったり破れたりするのでやさしく行ってください。乾いたやわらかい筆などを使うのもおすすめです。
あとはちょっとしたシミや汚れであれば襖用の補修紙を使って貼り付けて隠してしまうのも一つの手です。
ビニール製の襖なら目立つ汚れを水拭きしても大丈夫です。その際に洗剤を使った布を使うのもいいですが、重曹水を使うのも効果的です。重曹はアルカリ性なので酸性の手垢汚れを落とすのにいいでしょう。拭いたあとに乾拭きすることもお忘れなく。
襖の下にたまったゴミのとり方
襖の下の敷居の部分もゴミがたまりやすい部分ですね。溝の部分にホコリやゴミが溜まると黒ずんで滑りが悪くなるので、日ごろからホウキで掻き出したり、ブラシのついた掃除機で吸い取るなどのお手入れが大切。細かいところは竹串や楊枝を使ってみるのもいいでしょう。
あとは大掃除のときにでも役立てていただきたいのが“輪ゴム”を使ったお手入れです。掃除機をかけても拭いても取れないホコリが襖と敷居の間にある場合にはこの輪ゴムが活躍します。少し襖を持ち上げ、輪ゴムを襖に踏ませます。そして何度かゴロゴロと開け閉めすると、中に溜まったホコリがボロボロと出てきます。ゴムにホコリと一緒に汚れも吸着するのでお掃除がしにくい部分のお手入れができます。
こんなときは襖の張替えを
襖を使っていて何かをこぼしてしまったり、汚れが広範囲に及んでしまった場合や、長年使っていて劣化して黄ばんでしまった場合などは張替えましょう。
襖は紙や織物でできていることが大半なので、使っていくと褪せや退色、陽に当たる所での使用で色が変化していきます。それが襖の味を感じることができる部分でもありますが、3年・5年・10年で張替えのタイミングがくると思っていてください。これは使っている材質によって様々なので一概には言えませんが5年というのが目安だそうです。
- 襖紙がつっぱてしまった、またはたるみやシワがある
- カビが生えている
- 黄色や茶色のシミが目立つ(全体的に茶色っぽくなる)
- 襖紙が剥がれてきた、または浮いてきた
- 襖を閉めても隙間が開いている
- 動かすとすぐに外れる、または外れない
- 襖の縁が折れてしまった
- 最後に襖を張替えてから10年は経った
上記に挙げたような理由も襖の張替えを考えるタイミングになるでしょう。
そして一度きれいにした襖は、防水スプレーをかけておくと汚れと変色の防止になるほか、ついてしまった汚れが拭きとりやすくもなるようです。
まとめ
襖についてしまう小さなシミや汚れなどは、気にし始めるといっそう気になるものです。日常生活で使われる用具であり、生活空間にあるものなので次第に汚れていくのは仕方ないと考えましょう。
しかし、今回紹介したような日ごろのこまめなお手入れによって長持ちさせることができる襖は、張替えと補修を繰り返すことによって、いつまでも新鮮な仕切りとして使える日本ならではの建具です。
壁紙や畳、天井などと同様にお部屋の中でも大きな面積を占めるので、襖を張替えることによって模様替えも楽しめます。
最近では洋室にも設置できるモダンなデザインもでてくるなど、素材やグレード、図柄も多種多様になってきています。
襖は糊と霧吹きを使って障子紙を貼れば直せる障子とは違います。枠や引き手を外したり張替えあとはまた組み直したり、紙や下地の状況にあわせた施工が必要だったりと、技術や知識が求められます。襖の張替えを検討されるのであれば、襖張替えのプロに相談することがいいでしょう。