い草の青々した香りや、寝転んだときの気持ちよさ、畳と障子やふすまといった日本特有の和室空間は懐かしくもあり、ホッと落ち着かせてくれます。
しかし、畳の掃除が面倒くさい、とおろそかにすると思わぬトラブルにつながることもあります。畳で寝ていたら虫にかまれた、なんだか小さな虫が湧いてきた、そんな経験はありませんか。
今回は、畳の虫について気になることや、駆除方法などの役立つ情報を解説していきます。毎年、畳の虫に悩まされている方、すでに今困っている方、畳を持っている方はぜひいちど読んでみてください。
畳から出てくる虫一覧!中には有害な虫も・・・
虫は家中、どこにでもいます。そのなかでもとくに畳でよく見かける虫についてご紹介します。どのような種類がいてどんな特性があるのか、そして人間への影響はあるのか、について説明します。
目には見えないダニ
ダニの大きさは0.3~0.4㎜ほどで、肉眼でとらえるのは難しいです。もし目で見えたら、おそらくダニではありません。
ダニは、昆虫ではなくサソリやクモの仲間です。国内の室内に生息しているのは「チリダニ」「コナダニ」「ツメダニ」「イエダニ」です。このなかでも、チリダニ類だけで80%前後を占めていて、ほぼ一年中存在しています。
人体へ影響があり、もっとも注意が必要なのがチリダニとツメダニです。チリダニは死骸や糞がアレルギーを引き起こすといわれています。また、ツメダニは人を刺し、強いかゆみが出ます。
小さな白いチャタテムシ
チャタテムシは、見た目がシロアリのような1㎜ほどの大きさの虫です。日本の家の90%にはこのチャタテムシが存在しています。チャタテムシは英語で「ブックシラミ」と言われていて、その名のとおり、本や標本に多くみられます。カビが好物なのでチャタテムシがいたらカビもあることがわかります。
チャタテムシ自体は、人を刺すことはありません。しかし、チャタテムシはツメダニのエサになるので、チャタテムシが大量に発生すると、ツメダニも増えるということです。チャタテムシがいたら、カビとツメダニもいる、と考えてください。
茶色で丸いシバンムシ
体長2㎜ほどで、茶色、赤褐色の丸いフォルムをした虫がシバンムシです。「死番虫」と書き、これは畳から建築材、タバコ、また乾麺や小麦粉といった人の食べ物もエサとします。
厄介な特徴としては、タバコを食べるということはニコチンも平気であるところです。ニコチンはよく殺虫剤に使用される成分ですが、ニコチンを食べるほどですから、殺虫剤が効くわけがありません。
見た目が気持ち悪いシミ
このシミは、「紙魚」と書きます1㎝ないくらいのサイズで、銀色で魚のフナのような見た目です。この見た目から、ゴキブリ以上に気持ち悪いと言われており、大量発生したときは絶望感に襲われるほどだそうです。見た目こそ、気持ち悪いですが、人体への影響はありません。困るのは本をかじることくらいでしょう。
小さな甲虫カツオブシムシ
キクやマーガレットの花にもよく見かけるこの虫は、2.5㎜~3.0㎜ほどのサイズで年中生息しています。この虫は畳からというより、外から人の体にくっついて室内へ入ってきます。畳を好んで食べるわけではなく、シルクやウールといった衣服を好んで穴を開けます。なぜ畳にいるかというと、湿気のあるところで生息するため、クローゼットをはじめ畳の裏にいることがあるからです。
アリに似ているアリガタバチ
名前のとおり、ハチです。しかし見た目はアリに似ているためこのような名前となっています。ハチですから、人を刺します。体長1.5㎜~2.5㎜です。この虫は、シバンムシの幼虫に寄生するので、シバンムシが増えるとアリガタバチも増えるので注意が必要です。アリガタバチに刺されると、赤く腫れてかゆくなり、ひどいと化膿することもあります。
畳についた虫の駆除方法はこれ
畳に虫が発生したら、気分のよいものではありません。また、中には人を刺すような虫もいるため早く駆除をしたいです。駆除法はいろいろありますが、自分でできる駆除方法を説明します。
- スプレー式殺虫剤
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直接、虫に噴射するタイプです。ダニのような小さすぎて目で見えない虫は殺虫効果を確認できませんが、ある程度の大きさの虫であれば、目視できるため効果をその場で確かめられます。
- 煙式殺虫剤
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殺虫成分のある煙を焚いて、部屋ごと殺虫するタイプです。部屋全体に殺虫成分がいきわたるので、手の届かない範囲までしっかり殺虫してくれます。
- 掃除機
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手っ取り早く、吸い取れるので簡単です。掃除機でも、紙パックタイプの方がすぐにパックごと捨てられるので便利です。殺虫剤を使用したら大量の虫の死骸も出ます。放置せず、死骸もきれいにしてください。死骸によってアレルギーなどの原因にもなり、死骸から他の虫を寄せ付けるかもしれません。
- 除湿をする
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畳に住む虫というのは、総じて暗くジメッとしたところが好きです。畳の湿気対策のため窓を開ける、除湿器があれば利用する、なければエアコンの除湿機能でかまいません。気温25°以下、湿度55%以下にすると多くの虫は成長できなかったり、動きがにぶくなります。
- カビを取る
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湿気と同じですが、湿気を好む虫が多いということはカビも同じく発生しています。カビを好む虫もいるので、カビが生えているのなら取り除きましょう。人間の食材をエサにする虫もいます。カビの生えた食材は速やかに捨て、また湿気の多い季節なら冷蔵庫に保管するなどしておきましょう。
- アルコール消毒
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人間のフケやアカ、ホコリをエサにしている虫に効果的です。アルコールで消毒すると除菌されるのでエサがなくなれば、自然と虫も減っていきます。
畳に虫が寄り付かないための予防対策
虫の駆除の方法をお伝えしました。そもそも虫が発生しなければ悩むことはありません。次に、予防対策の方法をお伝えします。
掃除機は毎日かける
掃除は基本です。1畳につき30秒ほど時間をかけて、ゆっくり畳の目に沿って掃除機をかけてください。虫の好物である、フケ、アカ、髪の毛、ホコリ、食べカスを排除しましょう。
拭き掃除をしよう
雑巾を固く絞ってください。できれば洗濯脱水した状態のものが望ましいです。1~2週間に1度は拭き掃除をしましょう。こちらも掃除機と同じように、畳の目に沿って丁寧に拭いてください。畳は湿気に弱いので、ベタベタ濡れた状態は厳禁です。注意してください。
畳干しと畳下も掃除をする
上の2つは畳の表面をきれいにする方法です。虫は裏にもしっかり生息しています。裏の方が、より湿気が多く暗いので、虫が安全に過ごしているかもしれません。晴れて、乾燥した気温のときに畳を干してください。あまり外干しをすると畳が日焼けをしてしまうので、黒いビニール袋などカバーをして外に干すとよいでしょう。そして、畳を敷いていた畳床も掃除機と拭き掃除をしましょう。
カーペットを敷かない
畳の上にカーペットを敷くダブル敷きは、虫の温床となります。湿気もたまりやすいのでできればやめましょう。
虫が出にくい畳もあります
以上が、自分でできる畳の虫駆除と、予防対策でした。しかし、虫は案外しぶといものです。掃除機をかけても、虫は異変を察知して裏側へ潜りこむことがあります。日干しをしたらだいぶいいですが、畳の奥の中に潜り込んでしまうこともあるため、なかなか素人では難しいこともあります。
もし、畳そのものが古くなっていて、とくに人を刺すダニが大量発生しているのなら張り替えることも検討してください。また、畳の下に敷く防虫シートもあります。専門業者に頼むと張り替えと一緒に防虫シートを敷いてくれるところもあります。
畳のなかには、虫がでにくい種類もあります。天然のい草よりも、和紙でできた天然素材の畳は虫が出にくいと言われています。気になる方は畳張り替えのプロへ相談してみるとよいでしょう。
まとめ
最初にもお伝えしましたが、家の中には虫が必ずいます。根絶することはできません。しかしできる限り、数を減らしたいです。
畳の虫はすべて小さいサイズですが、これが大量となると気持ち悪く、ストレスです。人に刺す虫、アレルギーを引き起こす虫は注意が必要です。小さなお子様がいる家庭では、とくに気をつけたいです。
発生している場合は駆除を、発生を防ぐためには対策をして、快適な畳を維持していきましょう。