「畳が傷んできた……」「畳の汚れが目立つ……」というときには、畳替えをおこないます。その際には、使用年数や状態を確認しましょう。畳替えには3種類あり、畳の状態によって適した交換方法が異なります。また、交換方法によっては費用も大きく変わってきます。より効果的な交換方法をとるためには、畳の状態を見極めることが大切です。
このコラムでは、畳替えを検討の方に向けて3つの交換方法の解説や、ご自宅の畳にあった畳替えの方法をご紹介しています、費用相場の解説、畳の選び方や長持ちさせる方法についてもまとめましたので、よろしければ参考にしてください。
畳替えには3つの方法がある
畳替えには、「裏返し」「表替え」「新畳」の3つの方法があります。畳の使用している年数や状態によって方法は異なりますので、どの方法がご自宅の畳に合うのかチェックしてみましょう。
1.裏返し
裏返しとはその名のとおり、畳の使われていない裏面を表にだすことによってきれいな面を使用することをいいます。畳表と呼ばれている表面のイグサ部分を取り外して、裏から表にひっくり返して使用するのです。その際、畳縁(たたみべり)と呼ばれる畳の端に付いている布は新たに付け直します。
表面の傷みが少なくても、数年使っていて日焼けなどによる変色が出てきたら裏返しましょう。畳表は両面で、あわせて10年ほど使用できるとされています。
2.表替え
畳表を両面使用したときには、畳表のみ新しいものに交換することでまた使用することが可能です。畳は、畳床と呼ばれている板に畳表を巻き付けています。畳床はカビや劣化などの傷みがなければ長くて30年使用することができるのです。畳表が擦り切れたり、黒ずんできたりして傷んでいたら畳表の交換の合図です。
3.新畳(畳の取り換え)
畳表が波打ってきたり、畳同士のすき間が目立ってきたりすることがあれば、畳床の傷みが考えられます。このようなときには、新しい畳に取り換えましょう。
畳を交換する際には、最近の機能性の高い畳床から、昔ながらの稲床のなかから選ぶことができます。また、デザイン畳を選び部屋の雰囲気を変えることも可能です。
畳替えにかかる料金の相場
畳替えの種類によって費用は大きく変化します。また、表替えは新畳の場合には、どのような畳表・畳床を選ぶのかによって大きく価格が変動するので、業者に依頼するときには見積りをしましょう。この項目では、相場としての費用をご紹介いたします。
1.裏返し
畳表の裏返しは、1畳あたり約3,000~6,000円が費用の相場となります。裏返しの費用のなかに畳縁の交換費用が含まれている場合と、そうでない場合がありますので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
2.表替え
表替えは、1畳あたり約4,000円~10,000円が相場となります。裏返しと同じく、畳縁の交換費用が含まれていない場合があるので、確認しておきましょう。畳表はその素材によって安価なものから高価なものまでさまざまです。高級なイグサを使用しているものだと、10,000円以上することもあります。
3.新畳(畳の取り換え)
新しい畳に新調するには、1畳あたり約10,000~20,000円が相場です。畳床がどのような素材を使用しているのかによって費用は大きく変わってきます。部屋ごとの用途によって、畳の種類を変えれば費用を抑えることができます。
たとえば、仏間は来客があるからグレードの高い畳にする、子ども部屋は子どもたちが飲み物をこぼすことなどを考えてお手軽価格にするとよいかもしれません。
これらの費用のほかにも、表替えや新畳の場合には古い畳表や畳の廃棄費用がかかる場合があります。依頼する際には、業者に確認しておきましょう。
畳替えをするときの【畳表・畳床・畳縁】の選び方
畳替えをするときに、畳表・畳床・畳縁それぞれどのように選ぶのか、種類が豊富で迷うことと思います。先ほども紹介しましたが畳表とは、私たちが思う畳であるイグサを織った畳の表面部分です。畳床とは、畳表を巻く板状の部分(芯材)、畳縁は畳表と畳床を固定する縁の部分となります。
畳表の種類
畳表は、使用されるイグサの種類や量によって費用が大きく変化します。畳は色に統一感があり、耐久性に優れて香りがよいものが評価されます。現在は、おもに国産・中国産・化学製品の3つが使用されているので、それぞれの特徴をご紹介します。
- 国産
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国産のイグサは品質が高く、弾力性や耐久性に優れ、手触りや見た目もよいです。イグサの代表的な産地としては、熊本県・佐賀県・福岡県・広島県・岡山県などで、とくに熊本県は国内で一番の生産量をほこります。このなかでも高品質と評価がよく、さらに高価格なのは、広島県の備後表です。さわやかな香りも特徴的です。
- 中国産
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現在、1番普及している畳が中国畳です。国産表より品質は劣りますが、価格が安いことが魅力となっています。近年では中国表の品質も変わってきており、よいものも流通するようになりました。しかし、色や状態など品質にばらつきがあります。
- 化学製品
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化学製品で畳を作っています。樹脂と和紙を用いて、天然イグサのように作られており、カビに強く変色がないところが魅力となっています。汚れにも強く、カビも発生しにくいように樹脂加工してある畳表があります。ダニなどが発生しにくいため、アレルギーが気になる方にもおすすめです。
畳床の種類
畳床は、踏み心地や弾力性が大切です。さらに耐久性も求められています。おもに、藁、藁サンド、建材の3種類の畳床が使用されています。
- 藁床
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昔からある作り方で、藁を何重にも積み上げて圧縮したものを縫いあわせます。藁は吸湿性や放湿性に優れており、適度なクッション性があります。縫い目の間隔が細かいものが高級品とされています。
藁床が傷んだ場合には、修理によってふたたび使用できるため長持ちです。しかし、しっかり手入れをしておかないとダニの繁殖の原因となりますので、注意が必要です。
- 藁サンド床
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藁とポリスチレンを合わせた畳床です。表面は藁を使用し、中心はポリスチレンを使用することによって、藁床の風合いを保ちながら軽量化されました。また、ポリスチレンの断熱性が藁床に加わったことで、より機能性が高くなりました。
- 建材床
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細かい木材を圧縮させた畳床です。建材床、畳ボードともいわれます。軽く、断熱性があるため、藁床とは別の天然の素材を使用したいという場合にはおすすめです。建材とポリスチレンなどの人口樹脂とあわせた畳床もあります。軽量化や価格の安さ、害虫予防となることが人気の秘訣です。
畳縁の種類
畳縁は綿や麻はもちろんこと、最近は化学繊維でできたものも出回っています。昔は、畳縁の模様や色によって身分をあらわされることもありました。柄が身分を表す名残は現在にもあり、ひな人形の飾られる畳は天皇や三宮、上皇などに許された畳縁が使われています。
しかし、近年では自分好みの素材や柄、色のデザインを用いて、オリジナルの畳にすることが人気です。草花や動物、水玉などのポップなデザインのものも増え、自分好みの部屋にあった畳縁を選ぶことが大切です。しかし、畳縁には多くのメーカーがあり、業者によっては好みのデザインのものがないかもしれません。
そのため、畳替えには自分の目指す部屋作りに近い感性をもつ業者を選ぶことが大切となります。ホームページの確認や口コミサイトの経験談を見ると参考になりますので、チェックしてみてください。弊社でも、お客様のご相談に適した業者をご紹介できるよう努めております。お気軽にご要望をお申し付けください。
畳を長持ちさせる普段のお掃除方法
畳はお手入れをしっかりしておくと、長持ちさせることができます。日ごろからできる畳のお掃除方法について最後にご紹介します。
1.畳の基本的なお掃除方法
普段のお手入れの方法としては、掃除機と月に1度の拭き掃除をおこないます。掃除機のかけかたにはコツが必要で、畳の目にそって掃除機をかけます。目に逆らったり、強く押し付けたりすると傷みの原因となるため、やさしく掃除機をかけましょう。
ゆっくり掃除機をかけることによって、畳の目の間に入り込んだほこりやダニなどを排除できますので、1畳につき1分ほど時間をかけるとよいとされています。
拭き掃除は月に1回ほど、から拭きでおこないます。マイクロファイバークロスだと畳のすき間にも入りこむことができるためおすすめです。から拭きも掃除機と同じく、畳の目にそっておこないましょう。
2.汚れが付いたときの掃除方法
畳に汚れが付いてしまったときには、マイクロファイバークロスを水で濡らして固く絞り、汚れた場所だけふき取りましょう。ベタベタした皮脂汚れが気になるというときには、水200mlにクエン酸小さじ1を加えたものをマイクロファイバークロスに含ませ、固く絞ります。そのクロスで畳をふき掃除したら、最後にから拭きをしてください。
ただし、まだ交換したばかりの新しい畳では、クエン酸を使用すると畳が変色してしまうかもしれないため注意が必要です。新しい畳のうちは、できるだけ汚さずに早めに水拭きで汚れを取り除くようにしましょう。
畳をキレイに保つためにできること
畳はカビやダニが繁殖しやすいため、換気や除湿をおこないこまめに湿気対策をおこないましょう。つゆなどの湿気の多い季節ではエアコンを使用して除湿をすることを心掛けると、長くもちます。
また、畳は年に2回ほど干してください。春や秋などの気候のよいときに、コンクリートやテラスなどで畳を裏に向けて4~5時間ほど寝かして乾燥しましょう。カビやダニの予防になります。乾いたら畳を立てかけて、はたきを使用しホコリ落としをします。
湿気対策は畳にとって大切です。畳の部屋で洗濯物を干すと畳が吸湿してしまうので、厳禁です。畳干しでは畳の裏を日光に当てますが、日ごろは畳表が日光にあたると乾燥しすぎてしまい、変色の原因となりますので直射日光があたらないように気をつけましょう。
まとめ
畳替えには、3つの種類があることをご紹介しました。裏返し・表替え・新畳、それぞれ畳の状態にあった畳替えをおこない、畳を長く使いましょう。畳も種類が豊富です。場所や使用状況によって畳の使い分けをすると、とても効率的に使用することができるのです。
畳も種類が豊富であるため、自分で選ぶのは難しいときにはプロに相談し、アドバイスをもらうのもひとつの手です。設置する場所によっても適した畳は異なります。見積りをしてもらい、ご自宅に適した畳替えをおこないましょう。
また、畳を長持ちさせるには、日ごろのお手入れが大切です。畳はとても便利ですが、ダニやカビが発生しやすいので、しっかりと手入れをおこない、長く使用しましょう。