鳩の死骸を見つけてしまうことは、だれしもあることです。かわいそうですし、できれば見なかったことにしたい……と感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、鳩の死骸をそのまま放置しておくことは、鳩のもつ病原菌によって感染症にかかるリスクが高まる危険な行為です。
このコラムでは、鳩の死骸をみつけてしまったときの対処法についてご紹介しています。鳩がどんな病原菌をもっているのか、どう処分すれば安全なのかをしっかりと理解することが安全で快適なくらしづくりの第一歩になります。
鳩の死骸が家の近くに……どうやって処分すればいいの?
みなさんは、鳩の死骸を家の近くで見つけたことはありませんか?そのままにしておくのもかわいそうだから、処分をしてあげようと考える方もいるかもしれません。しかし、鳩の死骸の処分には、さまざまな危険がともないます。一体、どんな危険がひそんでいるのかをここでご紹介していきます。
場合によっては自分で処分しなくてはならないときもある
鳩の死骸を家の近くや道端で発見した場合は、自力で処分しようとせず、保健所や役場の環境事業化、または大家さんなどに連絡して処分を依頼しましょう。鳩の死骸は、人間にも有害な菌やウイルスを持っていることが多く、むやみに触れると感染症を引き起こす危険性もあるからです。
しかし、ときに自分で死骸の処分をしなければならない場合もあります。連絡した時間帯などによって、保健所がその日中に鳩の死骸を処分することが難しい場合や、死骸が発見された場所が自宅の敷地内であった場合などは、保健所や役場の力を借りられないことも。
「保健所の人が処分してくれるのを、翌日まで待てばいいのでは?」という方も多くいると思いますが、鳩の死骸をそのまま放置しておくことはとても危険で、飼い犬や飼い猫が病気に感染してしまう可能性があるのです。
自分で処分をするときの注意ポイントは?
どうしても自力で鳩の死骸を処分しなければならないときは、気をつけなければならないポイントがいくつかあります。死骸のもつウイルスに感染しないためにも、細心の注意をはらって処分をおこなうようにしましょう。
〇死骸に触れるときは、必ずゴム手袋とマスクを着用する
〇死骸を回収した袋はしっかりと封をする
〇処分したあとは手洗いとうがいをする
鳩の死骸には、まちがっても素手で触れることがないように注意してください。死骸は一般の可燃ごみとして処分することになるので、しっかりと封をして、広範囲に感染するようなことがないようにしましょう。また、処分後の手洗い・うがいは丁寧におこなう必要があります。
鳩の死骸を道路などの公共施設で見つけたらどうすればいいの?
鳩の死骸を道路や公共施設で発見した場合は、自分の家の近くではなかったとしてもすぐに市役所に連絡しましょう。死骸を放置しておくことは、目の当たりにした方を悲しい気持ちにさせてしまうだけでなく、近隣に住む動物や子どもたちを感染症の危機にさらすことになってしまいます。
すみやかな処理が必要になりますが、もしも保健所や役場が迅速に対応できる状況でなかった場合は、近くに住む人々と協力して処分してもいいかもしれません。その際は上記にあるような注意事項を必ず守っておこなうようにしましょう。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
鳩にはおそろしい病原菌がいっぱい!不用意に触らないようにしよう
鳩の死骸に注意しなければならない理由のひとつとして、さまざまな病原菌をもっていることがあげられます。鳩がどんな病原菌をもっているのかしっかり把握し、むやみに近づいて感染することがないようにしましょう。
鳩にひそむ病原菌たち
鳩はさまざまな病原菌をもっている鳥獣です。鳥インフルエンザウイルスは、よくニュースでも取りあげられていて有名ですよね。ほかにも多くの病原菌をもっていますが、なかには人体に大きな影響をあたえるものもあります。
病原体が活発に活動するためには、適温な環境があるかどうかが重要なポイントになってきますが、鳩を含む鳥類は体温が高いため、とくに作用することなく糞とともに体外へ出されます。
それを人間が触れたり、空気中にまいあがったものを体内に取り込むことで、感染症を引き起こすのです。そう考えると、死骸だけでなく糞の処理にも注意が必要になることがおわかりいただけると思います。
人間にうつる恐れのある病気
鳩の死骸や糞を介して、人間にも感染することがある病原菌やウイルス、その病状についてご紹介します。死骸の処分にも注意が必要ですが、鳩の糞を掃除するときや、糞の近くを通るときにも注意が必要です。
トキソプラズマ症
鳩の糞に含まれる「トキソプラズマ」という寄生性の単細胞生物は、人間の身体に入るとトキソプラズマ症という病気を引き起こします。健康な成人の場合は、感染しても免疫系が押さえ込んでくれるので、これといった症状もなく終わることが多いです。
しかし、妊娠初期の妊婦さんが感染すると、お腹の中の子どもに影響を及ぼす可能性があるので、細心の注意が必要になります。
クリプトコックス症
鳩の糞に含まれているクリプトコックス属のカビが引き起こす病気が、クリプトコックス症です。空中に舞いあがったこのカビを吸引すると喘息などの症状があらわれますが、通常は免疫力によりカビの増殖を防ぐことができます。
ただし、免疫力が低下している場合には、中枢神経に侵入することで髄膜炎や脳炎といった病気に発展することもあるおそろしい病原菌です。
ヒストプラズマ症
鳩の糞に含まれるカビの一種が引き起こすヒストプラズマ症は、肺結核に似た症状があらわれる病気です。体内組織の炎症反応を引き起こすので、インフルエンザのような発熱・筋肉痛が症状としてあらわれるでしょう。
数週間で収まることが一般的ですが、免疫力が低下している場合は深刻な状況に陥りかねないので注意が必要です。
オウム症
鳩の糞に含まれるオウム病クラミジアが引き起こす感染症が「オウム症」です。体内に潜伏して1週間ほど経過すると、咳・発熱・関節痛など、インフルエンザに似た症状があらわれます。
クリプトコックス症と同じく、空中に舞いあがったところを吸引してしまうことで感染してしまいます。治療が遅れると、咳が悪化し、肺炎や気管支炎のような疾患が出てくるようになります。
鳥インフルエンザ症
鳥がもつ病原菌による感染症のなかでもっとも名の知れたものが、この「鳥インフルエンザ」ではないでしょうか。基本的には、人間には感染することはごくまれなウイルスではありますが、油断は禁物です。
新型のインフルエンザウイルスが発見されているように、徐々に変異していくのがウイルスというもの。いつか鳥インフルエンザが、あたりまえにように人間にも感染する日が来る可能性もあります。むやみに接近しないことにこしたことはないでしょう。
※1 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。※2 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。
放置すると鳩の死骸に害獣が寄ってくる場合も!
鳩の死骸を放置しておくことが危険な理由は、感染症のほかにもうひとつあります。それは、鳩をエサとしている害獣がそこに集まってきてしまうからです。鳩の死骸にはどんな害獣が寄ってくるのか、またその危険性についてご説明します。
普段から鳩を食べる害獣としてあげられるのがハクビシンやアライグマといった害獣です。また、雑食であるカラスも鳩を食べることがあります。鳩の死骸を放置してしまうと、鳩のもつ病原菌やウイルスに感染する危険性があることはすでにご説明しました。
しかし、鳩をエサとする害獣が集まってくることは、さらに人間が感染症にかかる可能性を高めるだけでなく、害獣を媒介として広範囲に病原菌が広まってしまう危険性もあります。鳩の死骸を発見した場合は、できる限り迅速な対処が必要ですね。
まとめ
鳩の死骸を放置することの危険性や、万が一見つけてしまったときの対処法についてご説明しました。動物が死んでいるのを目の当たりにすることはとても悲しいことです。いつも目をそらしてしまうという方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、鳩の死骸を放置してしまうことは、人間が感染症にかかるリスクを高めてしまうという危険性があります。それだけでなく鳩をエサとする害獣が集まることで、近隣の方の生活がおびやかされたり、より広範囲に病原菌が広まってしまったりと二次被害を招きかねません。
家の敷地内で鳩の死骸を発見したときなど、自分で死骸の処理をおこなわなければならないときがあるかと思います。もしも、自力での処分が困難だったり、感染症が怖いときは専門業者に依頼してみるという手もあります。