ディンプルキーの構造はなぜピッキングに強い?合鍵作製の価格や注意点

マンション・アパートに引越しをするときは、間取りや立地環境のほかにも「できるだけセキュリティの高い物件にしたい」と考える方も多いでしょう。

防犯性の高い鍵のひとつには、ディンプルキーが挙げられます。ただし、ディンプルキーは他の鍵に比べて「費用が高い」「簡単に複製できない」などの注意点があることも知っておかなくてはいけません。

当記事では、ディンプルキーに交換する際の注意点や鍵選びのポイントを解説します。これから引越しや鍵の交換を検討されている方は、安全な生活を続けるためにもぜひ参考にしてください。

鍵選びをするときのポイント

鍵を選ぶときは、登録制シリンダーやCP(防犯)マークのある鍵を選びましょう。
ただし、防犯性が高いディンプルキーであってもピッキングされる可能性がゼロになるわけではなく、安全が保証されるわけではありません。

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目次

ディンプルキーはくぼみのある鍵

ディンプルキーは、一般的な鍵山のあるタイプとは異なり、丸みのある平たい形をしています。鍵の両面や側面に大きさの違う丸いくぼみがいくつもあるのが特徴です。

ちなみに、ディンプルは丸いくぼみのことをいいます。ほとんどのディンプルキーは表裏がなく、鍵穴を確認せずに鍵を差し込めるので便利です。

ディンプルキーの防犯性が高い理由

ディンプルキーは、一般的に普及している鍵よりも防犯性が高いのが特徴です。防犯性が高い理由は、構造の複雑さと仕様による違いにあります。ディンプルキーを解説する前に、ピンシリンダー錠を例に挙げて解錠の仕組みを解説しておきましょう。

ピンシリンダーの仕組み

鍵を差し込む鍵穴(シリンダー)内には、内筒と外筒があります。鍵がかかっている状態では、ピンが内筒と外筒を貫通してロックされるため内筒は回りません。

鍵穴に合鍵を差し込むと、鍵山の形にピン全体が押し上げられます。そして、ドライバーピンとタンブラーピンの境界(シアライン)が1列に揃うことで内筒を回せるようになるわけです。

一般的なピンシリンダー錠やピンが板状になったディスクシリンダー錠は、ピンの数や配列などによって数千通りの組み合わせがあるとされています。しかし、鍵違い数を越えたため防犯性能が保てないことを理由に廃番になったものもあります。

また、中古物件の購入を検討している方や古いシリンダー錠を長く使い続けている方も注意しなくてはいけません。防犯性の低いシンプルな構造の鍵の場合は、特殊な工具を鍵穴に差し込んで鍵を使わずに解錠するピッキングによって不正開錠されるおそれがあるのです。

鍵の構造が複雑でピッキングしにくい

ディンプルシリンダーの仕組み

ディンプルキーの場合は、ピンが両面と側面に18本前後あり構造もピンシリンダーやディスクシリンダーより複雑になっています。

ピンの数やくぼみの大きさなどの違いで、数百億通りから数千億通りの組み合わせがあるといわれています。また、両手を使っても物理的にピッキングによる不正開錠が困難なため防犯性も高いのが特徴です。

耐破壊性のある鋼板の採用

不正開錠はピッキングだけでなく、ドリルなどを使って鍵穴を破壊して開錠される可能性もあります。ほとんどのディンプルキーでは、耐破壊性のあるドリリング防止板を使用しているので、破壊による解錠には高い防犯性があります。

ディンプルキーに交換するときの注意点

ディンプルキーの交換をするときは、他の鍵にはない注意点がいくつかあることも知っておかなくてはいけません。注意点を知らないままディンプルキーに交換すると、予想よりも費用がかかったり無駄な手間がかかったりするおそれがあります。

一般的な鍵よりも交換や合鍵の作成に費用がかかる

ディンプルキーは、ピンシリンダーやディスクシリンダーなど、一般的なシリンダー錠よりも交換や複製の作成に費用がかかるデメリットがあります。ドリリング防止板の採用や内部構造の違いによって価格には幅があります。

ディンプルキーの交換費用の相場や合鍵作成の料金相場はあらかじめチェックしておくのがおすすめです。

店頭では合鍵の複製ができない場合がある

合鍵の作成は、鍵の業者をはじめホームセンターなどでも取り扱いがあります。しかし、ディンプルキーの合鍵作成には専用の機材が必要になるため、鍵屋によっては取り扱っていない場合があるので注意しなくてはいけません。

また、ディンプルキーのなかには高精度な切削技術で特許取得をしているメーカーがあり、鍵屋の店頭で合鍵が複製できないケースもあります。店頭で受け付けたあとに合鍵をメーカーから取り寄せるには1カ月近くかかる場合もあるので注意しましょう。

定期的にメンテナンスが必要

ディンプルキーは繊細な構造をしているため、経年で鍵穴にほこりやゴミがたまると鍵が差しにくい・回りにくくなるなどの不具合が起きやすくなります。他にも不具合には、摩耗によるわずかなズレが起きただけでシリンダーが回らないケースもあるようです。

ディンプルキーの不具合を防ぐには、くぼみに水分や汚れがたまらないようしておかなくてはいけません。鍵のメーカーによっては、不具合が起きないように専用のクリーナーを使って定期的に鍵穴のメンテナンスが必要になる製品もあります。

鍵を紛失した場合は破壊による解錠になる

鍵を紛失した場合、シリンダーがシンプルな構造であれば、鍵業者のピッキングによって解錠できることもあります。

他のドアやドアスコープ(のぞき穴)から解錠できるケースを除けば、内部構造が複雑なディンプルキーは鍵を破壊して開錠する方法になります。ディンプルキーを紛失した場合は、シリンダーごと交換が必要になることを覚えておかなくてはいけません。

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新しく鍵を選ぶときのポイント

新たに鍵を交換または取り付けるときには、2つのポイントがあります。価格の安さだけで鍵を選んでしまうと、防犯性の低いものになる可能性があるので注意が必要です。2つのポイントを押さえたうえで鍵を選べば、より防犯性を高めることができます。

登録制シリンダーを選ぶ

鍵には、それぞれ鍵番号が振り分けられていて、合鍵を作るときは番号を鍵屋に知らせる必要があります。しかし、鍵番号を盗み見されてしまうと合鍵を作られてしまうおそれがあるため、防犯性を高めるには登録制シリンダーを選ぶとよいでしょう。

登録制のシリンダーは、合鍵を作成するとき登録者情報や事前に設定したパスワードが必要になります。自分で設定したパスワードや登録者情報がわからなければ合鍵の作成ができないため、不正対策に効果的です。

CPマークのある鍵を選ぶ

CP(Crime Prevention=防犯)マークとは、警察庁などの省庁と建物部品関連団体で構成された官民合同会議によって認定された製品にのみ表示できるマークです。

防犯性能試験で侵入に5分以上かかる基準をクリアした防犯性の高い建築部品なので、ピッキングなどの不正対策の防止には、CPマークを取得している製品を選ぶのがおすすめです。

参考:住まいる防犯110番(警察庁ホームページ)

ディンプルキーでも安全が保証されるわけではない

ディンプルキーであっても、ピッキングされる可能性は決してゼロではないため、完全に安全が保証されるわけではありません。例えば、近年は自転車の鍵にもディンプルキーが使われていますが、構造は簡素な場合が多く鍵ごと切断されるケースもあります。

鍵はメーカーや製品によってピッキングや破壊に対する防犯性が異なるため、使用する環境に適した鍵を選ぶことが大切です。ディンプルキーに交換を検討する場合も、どれくらい防犯性が高いのか確認しておいてください。

また、防犯性をより高めるために他の方法も視野に入れながら考えてみるのもよいでしょう。

鍵を増設して二重ロックにする

防犯性を高めるには鍵を二つに増やすのもひとつの方法です。鍵を二つに増やしておけば、空き巣犯がピッキングで解錠して家の中に侵入するまでに時間がかかることになります。鍵の解錠に時間がかかるほど、家主が帰って来たり近所の人に目撃されたりする可能性が高くります。二重ロックにしてあるだけで、侵入をあきらめる空き巣犯は多いようです。

ピッキングアラームを設置する

ピッキングアラームは、鍵穴に器具を入れると振動を感知して警告音が鳴り威嚇するものです。なかには、鍵穴の振動を感知するとスマートフォンなどにお知らせが届く機能をもったものもあります。とくに家を空けることが多い方には、おすすめの防犯対策です。

鍵を使わない電子錠に交換する

ディンプルキーに交換してもピッキングが不安な方は、電子錠に変えるのも防犯性を高める方法のひとつです。指紋認証や番号で解錠するオートロックであれば、ピッキングや盗難などによって鍵を悪用される心配がありません。

鍵を持ち歩く必要がなく合鍵を作らなくても簡単に管理ができるメリットもあります。鍵を紛失しやすい方は電子錠への交換を検討してみてはいかがでしょう。

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