スーパーラットという名前から、「どれほど強いネズミなのか?」「何がスーパーなのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
スーパーラットとは、ワルファリン系の殺鼠剤に耐性を持つネズミのことです。
毒エサが効かないネズミは、新宿や渋谷など都会のビルに出没して問題となっています。
この記事では、駆除が難しいとされるスーパーラットの特徴や効果的な対処策をわかりやすく解説しています。
スーパーラットの知識を深め、本当に効果のあるネズミ駆除対策をしましょう!
スーパーラットはワルファリン系の殺鼠剤に耐性を持つネズミ
スーパーラットとは、ワルファリン系の殺鼠剤(さっそざい:ネズミを駆除するための薬剤)に耐性を持つワルファリン抵抗性ネズミです。
ワルファリンは、世界でもっとも使用量が多い殺鼠剤です。
ワルファリンには血液をサラサラにする作用があり、ネズミが大量に摂取すると血が止まらなくなって死に至ります。
しかし、スーパーラットはワルファリン系の殺鼠剤に耐性があり、本来死ぬべき量を食べても死なない特徴を持っています。
スーパーラットがワルファリン系の殺鼠剤に対してどれくらい耐性があるのか、薬剤への感受性が高い(薬剤がよく効く)クマネズミと、スーパーラットに毒餌を与えて比較した実験では、以下のような結果が出ています。
試験対象のクマネズミ | 平均致死日数 |
---|---|
感受性が高い クマネズミ | 1週間前後 |
スーパーラット (クマネズミ) | 160日 (最長で441日) |
スーパーラット (クマネズミ)の子孫 | 204.7日 (最長で649日) |
参考文献
谷川 力.安心して住める ネズミのいない家.講談社,2006
感受性の高いネズミが1週間前後で死亡しているのに対して、スーパーラットは殺鼠剤を食べても160日間(最長で441日)生き続けていたそうです。
家に住み着くネズミの寿命は1~3年なので、殺鼠剤を使う効果はほぼありません。
そしてスーパーラットの子孫にも毒餌への抵抗性が遺伝するようでした。
都会のネズミがスーパーラット化した理由
スーパーラットは、都会のビルのネズミ駆除で長年殺鼠剤を使い続けた結果、ネズミがワルファリン系の殺鼠剤に適応して誕生したと考えられています。
ただし、スーパーラットは都会のビルだけの問題ではありません。
スーパーラットはどこにでも生息するおそれがあり、ワルファリン系の殺鼠剤を使用する頻度が高い場所は注意が必要です。
実際に郊外の養鶏場、蒲田や練馬などの住宅街でもスーパーラットが見つかっています。
このように、ネズミ駆除はワルファリン系の殺鼠剤が効かないネズミが誕生したことによって、より困難になものになってきています。
参考:環境毒性学会誌|国内におけるワルファリン抵抗性ネズミの現況:
いわゆるスーパーラットについて(最終閲覧日:2023年12月8日)
スーパーラットのほとんどはクマネズミ
人の生活に入り込むネズミは、クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミの3種類ですが、スーパーラットのほとんどが「クマネズミ」です。
クマネズミがスーパーラットになったのは、知能と運動能力の高さが関係しています。
クマネズミは他のネズミに比べて知能が高く警戒心が強いです。
殺鼠剤を見つけてもすぐには摂取しなかったり仲間の様子を見て判断したりと慎重な行動もとります。
そのため、連続摂取を必要とする殺鼠剤は効きにくいのです。
ドブネズミはクマネズミよりどう猛で食欲旺盛な性格です。
警戒せず大量摂取したり連続摂取をしたりするので、薬剤が効きやすいです。
クマネズミは運動能力が優れていて、高いところへ登ることもできます。
都会のビルや屋根裏に侵入するクマネズミは殺鼠剤に触れることが多く、耐性をつけやすい環境にあったのです。
ドブネズミは高所や乾燥が苦手なので、屋根裏や高層階ではなく地面近くの下水配管周りに生息しています。
ハツカネズミは近年都会で発見されることはほとんどなく、郊外に生息しています。
そのため、この2種は殺鼠剤に触れる機会が少ないです。
クマネズミとドブネズミの特徴を下にまとめました。
クマネズミ | ドブネズミ |
---|---|
慎重で連続摂取しづらい | 食欲旺盛で連続摂取しやすい |
殺鼠剤に触れる機会が多い | 殺鼠剤に触れる機会が少ない |
スーパーラット化 しやすい | スーパーラット化 しづらい |
このように、高い知能と運動能力を持ったクマネズミが都心のビルで生き残ることで、ワルファリンへの抵抗性を獲得し、スーパーラット化したと考えられます。
またスーパーラットの大きさや見た目は通常のネズミと同じです。
スーパーラットと聞くと巨大でマッチョなネズミを想像するかもしれませんが、見た目だけでスーパーラットなのかはわかりません。
クマネズミについて詳しい情報はこちらの記事で解説していますので参考にしてください。
スーパーラットの駆除には第二世代の殺鼠剤が必要
スーパーラットの駆除には、ワルファリンよりも駆除効果の高い第二世代の殺鼠剤が必要です。
日本では2005年にスーパーラットに効果がある、第二世代の殺鼠剤「ジフェチアロール」が医薬部外品として登録されています。
- 1回の投与で効果を発揮する
- 1回の摂取で致死量に足らなくても、不足分を翌日以降に摂取すれば効果を発揮する
- スーパーラット(ワルファリン抵抗性ネズミ)に効果がある
参考:日本衛生動物学会|殺虫剤研究班のしおり(1.新規抗凝血性殺鼠剤ジフェチアロールの有効性)
ジフェチアロールは、実際スーパーラットにどのくらい効果があるのでしょうか。
第二世代の殺鼠剤「ジフェチアロール」を、スーパーラットとワルファリン感受性クマネズミに与えた実験では、以下のような結果が出ていました。
わが国のスーパーラットでその効果を調べたところ、ジフェチアロール毒餌を1日間与えた結果、41.7%が死亡した。2日間与えた結果では、91.7%が死亡、4日間与えた結果では、すべての個体が死亡した。
一方、ワルファリン感受性クマネズミにジフェチアロールを与えたところ、1日ですべてが死亡した。
出典:谷川 力.安心して住める ネズミのいない家.講談社,2006
この実験結果から、ジフェチアロールはスーパーラットにも有効であることがよくわかります。
スーパーラット駆除におすすめの殺鼠剤
海外では、スーパーラット対策として多くの第二世代の殺鼠剤が使われていますが、日本で使われているのは「ジフェチアロール」のみです。
日本の家屋で使用する殺鼠剤は、厚生労働省管轄の防除用医薬部外品(人体に対する作用が緩和なもの)に分類されるため、承認のハードルが高くなっているのだと考えられます。
アース製薬から販売されているジフェチアロール配合の殺鼠剤には、トレータイプと投げ込みタイプがあります。
こちらはトレータイプの殺鼠剤です。
防水トレーになっているため、水回りなど濡れるおそれがある場所でも設置できます。
殺鼠剤を設置するなら、トレータイプを選んでおけば問題ないでしょう。
もし、屋根裏など見えない場所に殺鼠剤を設置したい場合は、下の投げ込みタイプがおすすめです。
こちらの商品は殺鼠剤が分包されているため、投げ込むだけでOKです。
ネズミの駆除に苦戦しているようでしたら、ジフェチアロール配合の殺鼠剤をぜひ使ってみてください。
スーパーラットは薬剤に頼らない環境的な対策も重要
スーパーラットを駆除するには、薬剤に頼らない環境的な対策も重要です。
殺鼠剤でスーパーラットを駆除しても、ネズミが住みやすい環境が整っていれば再び被害に遭ってしまうおそれがあるからです。
環境的な対策には以下の方法があります。
- 餌を与えない
- 巣を作らせない
- 侵入口を封鎖する
順番に詳しくご説明します。
エサを与えない
ネズミが住みにくい環境にするには、食べ物を撤去するのが効果てきめんです。
ネズミはエネルギー消費が激しく、1日に体重の約3分の1から4分の1の食料を必要とします。
2~3日エサを食べないと死んでしまうため、エサのある場所へ侵入を繰り返す生き物です。
エサがないとわかれば来なくなるので、まずは食べ物を片づけておきましょう。
- 食べ物は戸棚や蓋つきの容器に入れて保管する
- 生ごみは蓋つきのごみ箱に入れる
- 残ったペットフードは片づける
- 仏壇の花やお供え物は夜片づける
ネズミは雑食性で、何でも食べるので油断禁物です。
巣を作らせない
ネズミに巣を作られてしまわないように対策するのも大切です。
寒い時期になるとネズミは暖かい場所を求めて侵入し、暖かそうな素材を集めて巣を作るためです。
特にクマネズミは寒さが苦手で、床の上で直接寝ると凍死してしまいます。
毒が効かないスーパーラットも寒さには弱いので巣材の撤去は効果的です。
ネズミは以下のようなものを巣の材料にしますので、片づけておきましょう。
- 新聞紙
- ビニール袋
- 小枝
- 段ボール
- ティッシュ
- 服やタオルなどの布類
侵入口を封鎖する
ネズミに侵入されないよう、穴やすき間の徹底的な封鎖も大切です。
ネズミが侵入できる穴がそのままになっていると、また新しいネズミが入り込んでしまうおそれがあるからです。
ネズミは10円玉大の穴があれば通り抜けるので、小さな穴やすき間をしっかり塞いでおきましょう。
屋内では、以下のような場所がネズミの侵入口になりやすいです。
- 換気扇
- ガス管のすき間
- 排水管のすき間
- ブレーカー付近のすき間
- 出入り口の框(かまち)下
- トイレの配管(ドブネズミの場合)
- エアコン導入口
- 鴨居や長押(なげし)のすき間
- 押し入れの天板
- ネズミにかじられた穴
スーパーラットの駆除はプロに依頼するのがおすすめ
「いろいろためしてもネズミが減らない!」
「もしやスーパーラットでは?」
そんなときにはプロのネズミ駆除業者に任せるのが確実です。
スーパーラットは知能が高く、従来の薬剤が効かないため、罠を上手に避けられていたり、殺鼠剤を食べても効かなかったりします。
しかし、プロのネズミ駆除業者ならうまくいかないネズミ駆除も効率よく解決してくれます。
ネズミ駆除業者はネズミのことを熟知しているため、スーパーラットに効果がある殺鼠剤を使用したり、ネズミが通りやすい場所に罠をしかけたりするなど、より効果が出やすい方法で作業します。
ネズミ駆除に苦戦している方は、プロのネズミ駆除業者に依頼してみてはいかがでしょうか。
ネズミ駆除業者に依頼する費用相場は約5万円
「スーパーラットの駆除は料金が高くなるのでは?」と思われるかもしれませんが、どのネズミの種類でも料金は同じです。
手ごわいネズミの駆除ほど安いと感じるでしょう。
ただ、ネズミ駆除は実際いくらかかるのか気になりますね。
そこで、弊社運営サイトにご相談いただいたネズミ駆除の費用の相場を出してみました。
以下のグラフは、ネズミ駆除の価格帯の割合をグラフにしたものです。
グラフを見ると、全体の8割の人が6万円未満であることがわかりました。
ネズミの駆除費用は、ふん尿の除去のみ、ネズミの捕獲のみであれば、比較的安く済むことが多いです。
しかし、ふん尿の被害が多くて清掃や消毒が大変だったり、侵入口をふさぐ箇所が多かったりする場合は高くなることがあります。
実際にかかる費用は、現場の状況を見てみないとわからないため、どれくらい費用がかかるのか気になる方は、まず見積りから依頼してみましょう。
まとめ
最後に、この記事の内容を振り返りましょう。
- スーパーラットとはワルファリン系の殺鼠剤に耐性を持つネズミ
- スーパーラットのほとんどはクマネズミ
- スーパーラットにはジフェチアロールが有効
- 薬剤に頼らない対策はスーパーラットにも有効
スーパーラットは厄介なネズミですが、そのほかのネズミも一度住み着けば駆除は簡単ではありません。
ネズミの正体にかかわらず、不安だったり自力での対策に限界を感じたりしたら、無理をせずにプロを頼りましょう。
当サイトねずみ110番では、ネズミの駆除や対策をおこなっている業者をご紹介しています。
現地調査のあとのお見積りは無料※なので、費用に不安を抱いている方にも安心のサービスです。
ネズミ駆除業者をお探しの際は、ぜひご相談ください。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
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