クルミの木は枝張りもよく、大きく成長します。より大きく育てたい、実をたくさん生らせたいときは、剪定するとよいでしょう。クルミは湿気を嫌うため、剪定することで風通しをよくすることができます。また、クルミの木を荒らす病害虫の予防にも役立ちます。
しかし、剪定はどの枝でも切ればよいのではありません。また、剪定する時期にもポイントがあるのです。これらを間違ってしまうと実がならないどころか、成長そのものにまで影響してしまいます。当コラムでは、クルミの木を上手に剪定するポイントをご紹介します。
クルミを剪定する前に知っておこう!クルミってどんな植物?
私たちがお菓子や料理として利用するクルミは、とても栄養価の高い食べ物です。抗酸化作用のある「ポリフェノール」や質の良い睡眠をとるためのホルモン「メラトニン」を多く含んでいます。そのため、クルミはときに「スーパーフード」と呼ばれることもあります。
クルミの特徴
クルミの種類は多く、世界中に数百種類あるといわれています。日本にも「ヒメグルミ」や「オニグルミ」といった種類が自生しています。しかし、これらの自生したクルミの収穫量は多くありません。
私たちが食べているのは、収穫量の多い「ペルシャグルミ」や「カシグルミ」という種類のクルミです。クルミは、別名ウォールナッツとも呼ばれています。私たちが食べている部分は、クルミの実の中にある種の部分です。これは意外と知られていない事実でしょう。
このほかにも、クルミの実は高級油といわれる「ウォールナッツオイル」の原料にもなっていて食用のみならず化粧品や塗料としても利用されています。種類も豊富で用途もさまざま。クルミには、私たちがあまり知らないことがたくさん存在していたのです。
クルミは育てやすいの?
クルミの栽培難易度は5段階でいえば中間の3くらいです。育てるのは簡単ではありませんが、とくに難しいということもありません。ほかの果樹と比べて育てやすい木といえます。
クルミは寒さに強く、休眠期間中には-25℃くらいまで耐えることができるといいます。しかし、暑さには弱いため、南部の気候が温暖な地域よりも、東北地方などの寒冷地での栽培が適しています。植え付けは地植えだけでなく、鉢植えで育てることもできます。
地植えの場合は、根がしっかり張れるよう広い場所があればよいでしょう。鉢植えの場合は、成長に合わせて定期的に大きな鉢に植え替えることが必要です。覚えておいてくださいね。
クルミの剪定方法について
剪定には余分な枝や葉を切り成長を促したり、風通しをよくしたりする目的があります。剪定することで、病気や害虫を防ぐことができるでしょう。一般的にいえば「木は剪定が必要なもの」とされています。しかし、木の中には剪定が必要である木と必要ない木があります。
クルミの木は今まで剪定があまり必要ない木といわれていました。しかし最近は、病害虫を予防するためや実を多くつけるために剪定が必要であると考えられるようになったのです。
クルミの剪定時期
クルミの剪定は葉が落ちた後、12月から1月にかけておこないます。木に葉がない時期に剪定するのには、下記でご紹介するような2つの理由があります。
- 葉がない時期は枝が見やすい
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クルミの木は、葉も大きく枝もしっかり張ります。葉が茂っているときに剪定すると、枝目が見えづらくなります。きちんとした枝の大きさを把握するために、時期選びは大切です。
- 木に与えるダメージが少ない
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落葉中は、クルミの休眠時期です。木が休眠している時期に剪定をするということは、活動期間より切り口から流出する樹液が少なくてすむということです。流出する樹液の量が少ないということは、木にとってもダメージが少ないということになります。
クルミの剪定方法
クルミの木を剪定する場合は、ある程度枝を整えるだけでよいでしょう。植えてから5年目までは、その年に伸びた枝を枝先から1/4ほど切ります。6年目から実が成りはじめたら、枝先は切らないようにしましょう。不要な枝がある場合に限り、剪定します。
不要な枝かどうかを判断する基準は、一番太い幹から主枝(直接伸びている枝)の邪魔をしていないかという点です。また実が成らない枝も不要な枝です。剪定してしまいましょう。
剪定の注意点
剪定するときのポイントとして、その年に伸びた枝を1/4だけ切るということです。切り過ぎてしまうと、花をつける芽まで切ってしまうことになります。花をつける芽を切ってしまうと実が成らないので注意しましょう。
樹高をあまり高くしたくない場合は、幹の先を剪定することである程度高さを抑えることができます。すでに樹高が高くなった木を剪定する場合は、高所での作業となります。しっかりとした足場を作り、落下などの事故が起こらないように注意しましょう。
クルミを剪定するために知っておきたいクルミのお手入れ方法
クルミを植える時期は、12月から2月の休眠期間です。5月頃に花を咲かせた後、実をつけます。実が収穫できるのは、9月から10月頃になるでしょう。
実を多く詰めるためには肥料を撒(ま)くことが必要です。肥料を撒く時期は、地植えの場合は休眠期から活動期に入る2月と、休眠期に入る10月の2回です。鉢植えの場合は、休眠期から活動期に入る2月と活動期の7月、休眠期に入る10月の3回が目安でしょう。
クルミの木は枝や葉に蛾(が)の幼虫が付きやすいため、注意が必要です。放っておくと、幼虫に木の養分をとられてしまうため、枝が伸びなくなってしまいます。さらには、幼虫に花をつける芽を食べられてしまうと、実がならなくなってしまうおそれもあるのです。
木に幼虫を見つけた場合は、早めに駆除しましょう。また、クルミは落葉樹です。冬になると葉を落とします。もし庭先で栽培するのであれば、落とした葉が隣家の庭に落ちてしまわないような配慮も必要です。せっかく育てるのであれば、不用意なトラブルは避けたいでしょう。
クルミの剪定に困ったらプロに相談を
クルミの木の剪定は実が増えるというメリットだけでなく、病気や害虫の発生を防ぐ目的もあります。しかし、間違って花がつく花芽を切ってしまうと花が咲かず、実もつきません。
剪定する場所は、慣れていないとなかなかわかりづらい場合があります。そんなときは、業者に剪定を依頼するという方法もあります。剪定の必要があることはわかるけど、自身でするにはちょっと……というときは、技術と知識を兼ね備えた業者に依頼しましょう。
まとめ
私たちが知っているクルミは、栄養分をたくさん含む「スーパーフード」です。クルミの種類は多く、世界中には数百種類あるといわれています。日本でも「ヒメグルミ」や「オニグルミ」が自生しています。クルミといっても、その種類はさまざまにあるのですね。
クルミを育てるのは、さほど難しくありません。しかし、暑さに弱く寒さに強いという性質があるため、栽培は寒冷地が適しています。栽培は地植えでも鉢植えでも可能です。地植えの場合は土地選びを、鉢植えの場合は定期的に大きな鉢に植え替える必要があります。
クルミの剪定は病害虫予防に効果があることから必要であると考えられています。剪定時期は、12月〜1月にかけてやるのがよいでしょう。この時期、クルミは休眠します。休眠時期は落葉しているので枝も見やすく、木に与えるダメージも少なく抑えることができるでしょう。
また、不必要な枝がある場合は思い切って剪定してしまいましょう。とはいえ、慣れていない人が剪定をおこなうと花をつける芽まで切ってしまうことがあります。花をつける芽を切ってしまっては実が成らず、クルミ本来の姿を楽しむことができなくなってしまいます。
大きくなったクルミの木を剪定する場合は高所での作業になり、危険な場合があります。無理せず業者に依頼するとよいでしょう。このほかにクルミを大きく育てるためには、剪定だけなく肥料をあげることも必要です。相談可能な業者を探してみてはいかがでしょうか?