ムラサキシキブの剪定は簡単ですが、剪定の季節を間違えると花が咲かなくなってしまうこともあります。正しく剪定するためには、植物の特性に合った方法でお手入れをする必要があります。
この記事では、ムラサキシキブの剪定方法と、日ごろのお手入れのコツ、ムラサキシキブの実の活用法について、わかりやすくご説明します。
このコラムを活用した剪定と育成で、お家にあるムラサキシキブの魅力を余すことなく感じてみましょう。
ムラサキシキブの剪定時期と方法
まずは、ムラサキシキブの剪定方法と時期について解説します。
ムラサキシキブの剪定時期
剪定時期を決めるのは、ムラサキシキブの生長の性質です。まずは、ムラサキシキブの特性を簡単に見ておきましょう。
ムラサキシキブは6月に花を咲かせる植物で、高さ2~3メートルほどまで育ちます。暑さにも寒さにも強く、栽培が比較的簡単な植物です。
ムラサキシキブの特徴としてとくに有名なのは、花よりも実です。9~11月ごろになると、ツヤのある紫色の小さな実が、葉っぱの付け根にまとまってつきます。
6月に開花し、9~11月に実をつけるため、それらが観賞できる時期を終えた12~2月頃が剪定に適した季節となります。
間違って春夏に剪定をすると、ムラサキシキブの醍醐味ともいえる花や実を楽しめなくなることもあるので、十分に注意しましょう。
ムラサキシキブの剪定方法
ムラサキシキブは、剪定をしなくても生長する植物ではありますが、生長のスピードが速いため、油断すると枝が伸び放題になります。伸びすぎた枝を剪定することで、樹形をより美しく保つことができるので、ムラサキシキブをきれいに育てるには剪定は不可欠です。
樹形を整える際におこなうのは「切り詰め剪定」です。
切り詰め剪定の方法
切り詰め剪定では、枝の途中で剪定をします。
枝の付け根から3分の1くらいの場所でカットします。次の年に芽吹く予定の芽がついている部分のすぐ上あたりを切るのがコツです。このとき残す芽は、木の幹側についている「内芽」ではなく、木の外側の方向についている「外芽」です。
剪定に使用するのは、1.5センチメートル以内の枝を切るのに適した「剪定ばさみ」がよいでしょう。
切り詰め剪定は、大胆に枝を切るため、木そのものにも負担がかかります。ムラサキシキブの活動が穏やかになる冬の時期に剪定をすると、木へのダメージを最小限に抑えることができます。
ムラサキシキブを増やす方法
ムラサキシキブは、1本から複数本へ木を増やすことができる植物です。増やし方には、「挿し木」と「種まき」の2種類があります。
- 挿し木で増やす
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挿し木とは、切った枝を土に挿して木を増やす方法のことです。ムラサキシキブの挿し木は、3~4月頃におこなうのがおすすめです。
前年に伸びた枝のなかでも太さのあるものを、10~15センチメートルの長さで切ります。それを、鹿沼土・赤玉土にピートモスを少し混ぜた土へ挿しましょう。
ムラサキシキブは乾燥が苦手なので、鉢に挿し木をする場合は、根腐れを起こさない程度にこまめに水をやるとよいでしょう。
- 種まきで増やす
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ムラサキシキブは種から木を増やすこともできます。
ムラサキシキブの実がついたら、実を洗って中から種を出しましょう。このとき、種が乾かないうちにすぐにまくことがコツです。
自然に生えているムラサキシキブも、偶然種が地面に落ちたことによって芽吹く「こぼれ種」によって増えていきます。種まきからでも育てやすい植物といえるでしょう。
剪定や手入れ法で不安を感じたら……
剪定方法やお手入れの方法がよくわからず、不安を感じた場合は、剪定のプロに相談してみるのもひとつの手です。
剪定せずにも育つ植物とはいえ、樹形を整えながら育てるには不要な枝を適度に切り落とす必要があります。とくにお庭の景観を大切にしている方は、ムラサキシキブを剪定せずに放っておくと、お庭全体のバランスが崩れる要因にもなりかねません。
また、園芸をしていると、剪定のタイミングを逃してしまったり、木が大きくなりすぎてしまったり、花や実がつかなくなってしまったりと、自分ひとりではどうしてよいかわからない事態に陥ることもあるでしょう。
そんなご不安・お悩みをお持ちの方には、剪定のプロへの相談をおすすめします。プロの知識を借りれば、お庭をきれいに保ちながら、ムラサキシキブの花実の魅力を存分に楽しむことができますよ。ぜひ一度、剪定110番にお問い合わせください。
ムラサキシキブの特徴とお手入れのコツ
剪定の方法がわかったところで、ここからは、ムラサキシキブを普段どのように育てたらよいかについてご説明します。
せっかく美しい花実をつける植物ですから、旬の季節にめいっぱい魅力を感じられるよう、日ごろから上手に育ててみましょう。
わかりやすくご説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ムラサキシキブとコムラサキは似ている?
ムラサキシキブの特徴としてよく話題に上がるのが、コムラサキという植物との違いです。
ムラサキシキブとコムラサキは実も葉もとてもよく似ていますが、別の植物になります。
- 葉っぱのふち全体がギザギザしている
- 葉っぱの付け根に実がつく
- 実はかたまってつくが、ややまばら
- 枝が枝垂れず、上や横に伸びる
- 葉っぱの先のほうだけがギザギザしている
- 葉っぱから少し離れたところに実がつく
- 実はかたまってつき、密集している
- 枝が枝垂れる
ムラサキシキブはもともと日本の自然界に生えていた植物ですが、コムラサキはムラサキシキブを園芸用に品種改良した種類です。
もともと同じ種類の植物のため、育て方はほとんど変わりません。
ムラサキシキブが好む環境
ムラサキシキブは、日当たりのよい環境でよく育ちますが、西日が強く当たる場所には置かないようにしましょう。
ムラサキシキブには、日陰で育てるよりも、日当たりのよい場所に置くほうが、花や実がつきやすくなるという性質があります。しかし、強い直射日光が当たる場所だと逆効果で、葉っぱが日焼けして白く変色したり、枯れたりすることも考えられます。
きれいなムラサキシキブを育てるためには、適度な日当たりが大切なのです。
ムラサキシキブは乾燥に弱いので注意!
ムラサキシキブを育てるうえでもう1点大切なのが、ムラサキシキブが乾燥にとても弱い植物だということです。
乾燥した環境にムラサキシキブを置いておくと、すぐに水不足になり葉っぱが縮んでしまいます。それを放置すれば、悪い場合は枯れてしまうこともあります。
1年中じめじめしている場所で育つのがちょうどよいくらい、湿度を必要とする植物です。庭植えのムラサキシキブは、日がよく当たる場所にある場合はとくに注意して水をやりましょう。
ムラサキシキブは根の生長が早く、鉢植えで育てるとすぐに水が足りなくなります。これからムラサキシキブを育ててみようとお考えの方は、できれば庭に植えて、こまめに水をやるとよいでしょう。
ムラサキシキブに肥料は与える?
ムラサキシキブはもともと、それほど肥料をあげる必要のない、育てやすい植物なので、必要最低限の肥料をあげれば十分元気に育ってくれます。
- 鉢植えムラサキシキブに肥料をやる方法
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鉢植えムラサキシキブには、緩効性化成肥料(ゆっくり吸収される肥料)をやります。新芽が芽を出したときや、紅葉時期・冬などに、木の根元に肥料を撒きます。
- 庭植えにムラサキシキブに肥料をやる方法
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庭植えの場合は、肥料はやらなくても問題ありません。お好みで、冬の寒肥がわりに緩効性固形肥料を与えます。
病害虫に注意しよう!
ムラサキシキブには、植物に起こる病害虫被害のなかでもとくに「うどんこ病」「カイガラムシ」による被害が起きやすいです。
- うどんこ病
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うどんこ病は葉っぱに白い粉のようなものがつく病気で、植物にカビ菌が寄生することで起こります。5~6月、9~11月に起こりやすい病気です。
葉っぱの白くなった部分では光合成ができないので、白い部分が広がれば広がるほど、植物は養分不足になり弱っていきます。うどんこ病を放っておくと、枯れた葉っぱが地面に落ち、地面伝いに菌が繁殖してほかの植物にも病気が移ります。
早めに発見したら薬で対処ができますが、対処が遅れると葉っぱを多量に除去しなければならなくなり、木にとって大きな負担になります。白くなった部分が自然に治ることはないので、発症している葉っぱを見つけたらすぐに取り除きましょう。
- カイガラムシ
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カイガラムシは菌ではなく、昆虫の一種です。種類によって大きさも色もさまざまですが、木から養分を吸い取ることと、何匹ものカイガラムシが木の幹に群がる様子は、多くの種類にも共通しています。
たくさんのカイガラムシに養分を吸い取られた木は栄養不足になり、弱ってしまいます。カイガラムシの排せつ物によってほかの病気が起こることもあるため、注意が必要です。
固い甲羅を持つ種類もおり、薬剤がうまく効かない場合もあります。駆除が難しいので、歯ブラシなどを使いながら、木を傷つけないようにこそぎ落して駆除するのが効果的です。
白や茶色の小さな虫を見つけたら、注意して見てみましょう。
ムラサキシキブの実はいろんなことに使える!
ムラサキシキブの実は、さまざまな場面で活用することができます。実際にどのように使うことができるかを、具体例をあげてご紹介します。
せっかく美しい実がつく植物ですから、ムラサキシキブの実の魅力を最大限に堪能してみましょう!
ムラサキシキブの実は食べることはできる?
ムラサキシキブの実には毒がないので、食べることは可能です。しかし、多少の甘みはあるものの、好んで食べようと思うほどおいしいものではないようです。
お子様のいるご家庭では、実のきれいな見た目を活かしておままごとなどに用いることもあるようですが、実際に料理に応用するのは難しいといえるでしょう。
【活用法1】生け花
ムラサキシキブの実や枝は、生け花に使うことができます。
ムラサキシキブの美しさは、規則正しく並んだ葉っぱの緑色と、まとまってついている実の紫色の、和風の美しさが生み出す造形と色彩のコンビネーションにあるといえます。その魅力を最大限に生かせる場が、生け花なのです。
実が落ちやすいので気をつけながら、花を活けてみましょう。個性的な形と、独特の色彩が、生け花の主役にも引き立て役にもなります。
また、焼き物など和風の花器があれば、一輪挿しにするとよく映えます。ほかの植物とともに洋風の花瓶に入れても美しくまとまり、独特の魅力を醸し出します。
剪定で間引いた不要な枝を一工夫して、ムラサキシキブの美しさを楽しんでみましょう。
【活用法2】ドライフラワー
ドライフラワーと聞くと少し色褪せたお花を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ムラサキシキブの実をドライフラワーにすると、美しい紫色を保つことができるといいます。
実際にお花屋さんで売られることもあるほどで、おしゃれなインテリアとしてうってつけといえます。
ムラサキシキブのドライフラワーを自作する場合は、実が取れやすいため、気をつけながら作るようにしましょう。ムラサキシキブの美しさを枯れない花の姿で保存して、お家の雰囲気づくりのアクセントにしてみてはいかがでしょうか。
【活用法3】リース
ムラサキシキブの枝をリースにして、インテリアとして飾る方法もあります。
リースはいまやクリスマスの飾りだけではなく、玄関のドアに飾るなど日常生活を彩る装飾品として取り入れられています。ムラサキシキブの枝の長さと、まとまってつく華やかな実を活用して、素敵なリースを編んでみましょう。
玄関や壁に飾るだけで、お家が華やかでナチュラルな雰囲気になります。緑の葉っぱを全部取ってみたり、ドライフラワーにしたりしてリースを編むと、それぞれ違った印象で生活空間を彩ってくれることでしょう。
実がつかない……何が理由?
ムラサキシキブの実がつかなくなるのには、肥料の量や剪定ミスが関係しています。
肥料を与えすぎると花が咲かなくなり、花が減っただけ実も少なくなるのです。また、剪定を間違えて、花が咲くはずの部分を切ってしまえば、当然花も実もつかなくなってしまいます。
これだけ用途の多いムラサキシキブの実ですから、ムラサキシキブを育てている方には、その恩恵をめいっぱい感じてほしいもの。「ちゃんと手入れや剪定をして、しっかり花実をつけさせたい」「あまりつかなくなってしまった花実を、もう一度きちんとつくようにしたい」とご希望のお客様は、プロの業者に相談してみるとよいでしょう。
剪定110番では、お客様の植木のお悩み解決のお手伝いをしております。お客様のご不安やご要望を、弊社の現地スタッフがしっかりと解決いたしますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
まとめ
ムラサキシキブはとても美しい実をつける植物で、枝や花実の美しさはさまざまな場面で活用できます。
剪定いらずで育つうえ生命力が強く、育てやすい植物ではありますが、手入れをしなければ結果的に見栄えは悪くなり、お庭の景観の調和を乱すことも考えられます。
お庭の景観を保ち、美しい樹形と花実を最大限に生かして楽しむためにも、お手入れは必須です。この記事を参考にして、少しでもムラサキシキブ剪定をスムーズにおこなっていただけたらと思います。
また、自分で正しく剪定する自信がなかったり、花実のつきが悪く悩んだりしている場合は、いつでもお気軽にご相談ください。プロの知識と技を借りることで、お客様のムラサキシキブとお庭が一回りも二回りも魅力的になることでしょう。