庭木などの樹木を健康に育てるためには、定期的に剪定することが必要で、手入れすべき枝にはさまざまな種類があります。樹木の根元に生えるひこばえと呼ばれる枝もそのひとつで、主幹への養分も取ってしまうことから、剪定するべき不要な枝とされています。ただし品種によっては、ひこばえを剪定せず残したほうがよいケースもあるのです。
こちらのコラムでは、ひこばえを残すべき理由や剪定する際の注意点などについて解説します。ひこばえのほかにもある不要な枝についてもふれていますので、これから庭木などの剪定を検討されているかたは、ぜひご覧ください。
「ひこばえ」は必ず剪定するべきとはいえない
ひこばえは「ヤゴ」や「シュート」ともいわれ、樹の根元から生えている若枝のことをいいます。放置しておくと生い茂って見た目が悪くなる場合や水分・養分を取られて主幹が弱ってしまうため不要といわれることもあります。しかし、ひこばえは必ずしも剪定すべき不要な枝とはいいきれないのです。ここでは、ひこばえを残すべき理由について解説します。
木を若返らせるには「ひこばえ」が必要
ひこばえは、樹木の主幹が古くなってきた場合に、あえて残すこともあります。新しいひこばえを育てたところで主幹を剪定すれば、株を若返らせることができるのです。ただし、ひこばえが成長していない段階で、主幹を切り落としてしまわないよう注意しなくてはいけません。場合によっては、ひこばえがあまり成長しないケースもあるためです。
またブルーベリーやラズベリーなどの果樹では、ひこばえが必要になることもあります。果実がなった枝は秋ごろに枯れてしまうため、春から夏に伸びたひこばえを翌年に果実をならせる枝として使うのです。さらにひこばえを切り詰めることで多くの花芽がつき、果実をたくさん収穫できるようになります。
人間が鑑賞するには「ひこばえ」を利用することもある
品種によってはひこばえを残したほうが見栄えがよくなるものもあります。たとえば鮮やかな紅色や白の花を咲かせるサルスベリは、ひこばえが伸びやすい中高木です。とくにサルスベリを鉢植えで育てる場合は、ひこばえを残しておいたほうが花の咲いたときにボリュームが出やすくなります。
また品種に関わらず、ひこばえを切り落としてしまうと樹形が変わってバランスが悪くなることもあります。とくに、大きく成長したひこばえを剪定する場合は注意しなくてはいけません。これらの理由からも、ひこばえは必ずしも剪定するべきとはいえない枝なのです。
しかし、大きな木で剪定に失敗すれば、もとに戻るまで数年かかることもあり、場合によっては樹勢が弱まり枯れてしまうこともあるのです。もし自分で剪定することに不安がある場合は、剪定をおこなうプロの業者に相談してみるのがよいでしょう。
剪定するべき枝はひこばえ以外にも種類がある
剪定する際に切る枝は、どれでもいいというわけではありません。枝を切りすぎてしまえば、樹に負担がかかりすぎて株自体が衰弱してしまうおそれがあります。とくに若い樹の場合は、光合成するための葉が重要な役割を果たしているので、枝葉を落としすぎると枯れるリスクが高くなってしまうのです。
このため、必要な枝と剪定するべき枝を見極めなくてはいけません。実際に不要枝といわれるものは、ひこばえ以外にも以下のようにさまざまな種類があります。
- 枯れ枝
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栄養不足で枯れてしまっている枝
- 衰弱した枝
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今後成長が見込めない枝
- 徒長枝
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勢いよく上や横に伸びている枝
- 逆さ枝
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幹に向かって伸びている枝
- 下り枝
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下に向かって伸びる枝 など
ほかにも、病害虫の被害を受けた枝などの場合によっては伝染することがあるので、重症の場合は切り落としておくことをおすすめします。また不要枝は、切りかたについてもコツがあります。
不要枝の剪定方法とポイント
不要枝の剪定は、枝の根元から切るのが基本です。枝の途中で切ると樹形が乱れるだけでなく、枝の先端からさらに芽や枝が出てくることもあります。だたし樹木全体のバランスを見て枝を増やしたい場合は、あえて枝の途中から切って樹形を整える方法もあります。
また、芽の出方を意識して切ることも大切です。内芽から生えた枝は、内側に伸びていくので切り落とすようにしましょう。そして外芽から出た枝を残しておけば、自然な樹形に仕立てやすくなります。
混みあった枝を切る間引き剪定の際は、枝の付きかたでどう切るかを考えるのもポイントです。枝の生えかたには、互い違いに生える「互生」と対になって生える「対生」、そして1箇所から数本の枝が伸びる「輪生」があります。枝の付きかたを見極めて重ならないように剪定すれば、見た目が自然でバランスよく間引きができるでしょう。
不自然に伸びた枝でも残してよいケースがある
不要枝は、全部切ってしまわずに残すこともあります。不自然な伸びかたをしていても、バランスを整えるためには切らなくてもよい枝もあるのです。たとえば1箇所から輪生して伸びた「車枝」は、全体のバランスを見て数本残しておいてもかまいません。また近い場所で同じ方向に伸びている「重なり枝」も、どちらか一方を切るだけでよいでしょう。
しかし、自分で剪定をおこなうのは初めての場合は、どの枝をどこまで切るべきか悩むこともあるでしょう。もし不要な枝かどうかを自分で判断できない場合は、業者などに相談してみることをおすすめします。
剪定するには知識や技術が必要
ここまで解説したように、樹木の剪定には不要枝の見極めや切りかたのコツなども身につけておかなくてはいけません。間違った方法で剪定しないためにも正しい知識や技術も必要です。また剪定には、ほかにも注意すべき点がいくつかあります。
剪定時期は木の種類や地域によって異なる
剪定時期は、樹木の種類によっても異なることも知っておかなくてはいけません。たとえば常緑樹なら4~6月もしくは9月~10月、落葉樹は12月~2月といったようにそれぞれに適した時期があるのです。剪定時期を間違えて手入れしてしまうと、樹木が弱ってしまう可能性があります。
また花を楽しむ樹木の場合は、花芽ができる前に剪定するため花が咲き終わったタイミングが適期になります。さらに同じ種類の樹木であっても、気候などの環境条件によっては剪定時期をずらさなくてはいけないこともあるのです。剪定をするには樹木に適した剪定時期も知っておく必要があるといえるでしょう。
大きな木を切るときはリスクもある
生垣や庭木として人気のある樹木の中には、屋根の高さ近くまで大きく育つ高木もあります。こうした高木を剪定しないまま放置した場合は、手入れをするために高所での作業が必要になります。
高い場所での剪定作業は、慣れていないと落下などによるケガのリスクをともない大変危険です。また近隣に倒木してしまえば、人に被害を与えることや家屋などを破損させてしまうおそれもあります。これらのことからも、手に負えなくなるほど大きく育ってしまわないようにするためには、定期的に剪定することが大切といえます。
剪定はプロの業者に任せるのがおすすめ!
もし、庭木が自分で手入れできないくらいに大きく育ってしまった場合や、高所での作業に不安を感じるときは、無理をせずプロの業者に依頼しましょう。プロの業者なら、樹木の種類を見極めて、正しい方法で確実に剪定をおこなってくれるはずです。何より自分を危険にさらすことなく、手間や時間も書ける必要がないのは大きなメリットといえます。
弊社では、樹木の剪定をおこなうプロの業者をご紹介しております。庭木の剪定や伐採などでお悩みの場合は、まずはお気軽にご相談ください。