大きくなり過ぎた椿を一回り小さくする剪定方法が知りたいと思っていませんか?
椿は成長が遅く大きさの変化がわかりづらいため、気づいたら大きな木になっていますよね。
じつは、椿を小さく整える剪定は初心者でも簡単におこなうことができるんです!
なぜなら椿は剪定に強く、やり方もそれほど難しくはないからです。
当記事では椿の剪定方法や剪定時期、切る枝の選び方、枝の切り方などを紹介します。
お読みいただければ誰でもキレイに椿を剪定できるようになります!
単純に小さくするだけでなく、来年の花つきを良くして病害虫の予防もできる方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
椿を小さくするには透かし剪定がおすすめ
剪定の仕方には大きく「透かし剪定」と「刈り込み剪定」の2種類がありますが、椿におすすめなのは「透かし剪定」です。
透かし剪定とは、不要な枝を切ることで木全体の枝葉のボリュームを均一にする剪定方法です。
木を一回り小さくしながらも、自然な樹木の形を残すことができます。
また、樹木の風通しが良くなり病害虫の予防にもなるんです。
そのため、椿を剪定するときは透かし剪定がおすすめとなります。
刈り込み剪定もできるが透かし剪定のほうが仕上がりは美しい
椿は剪定に強い木のため、刈り込みバサミでバリバリと全体を整える「刈り込み剪定」をおこなうこともできます。
刈り込み剪定では丸や四角など理想の形に刈り込むだけですので、剪定初心者の方でも比較的簡単です。
しかし、刈り込み剪定よりも透かし剪定のほうが仕上がりは美しいです!
椿は葉の形も魅力的なので、できるだけ葉の形を残したいところですが、刈り込み剪定だと葉を途中で切ることになってしまいます。
透かし剪定であれば、葉の形を残して剪定ができるためキレイな仕上がりとなります。
そのため、できるだけ見栄えのよい椿にしたい場合は、刈り込み剪定ではなく透かし剪定をやってみましょう!
椿の剪定で切るべき3つの枝
ここからは、椿を透かし剪定するにあたってどのように枝を選び切っていけばよいのかを解説します。
透かし剪定で切るべき枝は大まかに3つです。
- 理想の樹冠からはみ出た「長い枝」
- 風通しを悪くする「混み合った枝」
- 樹形を乱す「不要枝」
上記3つの枝を切るだけで、椿を好みの大きさに仕立てることができますし、見た目も美しく健康的な樹木にすることもできます。
具体的にどのような枝なのか1つずつ説明していきましょう。
理想の樹冠からはみ出た「長い枝」
椿の剪定で切るべき枝の1つ目は、理想の樹冠からはみ出た「長い枝」です。
樹冠とは枝や葉が茂っている部分のことをいいます。
透かし剪定をするときには、どのくらいの大きさにしたいのか、仕上がり後のイメージを最初に考えますが、イメージした理想の樹冠からはみ出ている長い枝は切ってしまいましょう!
長い枝を切ることで椿全体が小さくなっていき、自分の理想の大きさに近づいていきます。
長い枝をどこで切ったらよいかについては、のちほど枝の切り方で詳しく説明しますので、先に残り2つの切るべき枝をみておきましょう。
風通しを悪くする「混み合った枝」
椿の剪定で切るべき枝の2つ目は、風通しを悪くする「混み合った枝」です。
混み合った枝は木の内側にあるため、切っても木の大きさ自体は変わりません。
しかし、放っておくと風通しが悪いことで枯れ枝になってしまったり、病害虫が発生してしまったりします。
そのため、剪定時に切り取っておくことが大切です。
どの程度の枝を切り取ればよいのか迷うと思いますが、目安としては木の向こう側が透けて見える程度まで切ってください。
以下イメージ図となります。
樹形を乱す「不要枝」
椿の剪定で切るべき枝の3つ目は、樹形を乱す原因となる「不要枝」です。
じつは、木には明らかに不要な枝というものがあります。
不要枝を残しておくと、ほかの枝の成長をさまたげたり病害虫の発生原因となってしまったりして、最終的に樹形を乱す要因となります。
そのため、不要枝はできるだけ早く切り取っておかなければいけません。
不要枝は全部で12種類あります。
- ①枝の切り残し
-
以前剪定した枝の根元が少し残ってしまったもの。
放っておくとそこからまた枝が生えてきて樹形を乱す原因になります。 - ②徒長枝
-
上方に勢いよく伸びた枝。
徒長枝には栄養が集中するため、ほかの枝の成長が遅くなってしまいます。 - ③交差枝
-
枝同士が交差しているもの。
枝が混みあうと通気性や採光性が悪くなり、樹勢が弱ったり病害虫の原因になったりします。
ほかの枝とのバランスを考えて、不要なほうの枝を切りましょう。 - ④ふところ枝
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枝元から生える弱々しい枝。
枯れてしまったり、蒸れて病害虫の原因になったりします。 - ⑤ひこばえ
-
幹の根元から生えている枝。
放っておくと木の上部に栄養が渡りづらくなり、ほかの枝の成長が遅くなってしまいます。 - ⑥下り枝
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下に向かって生えている枝。
日光が当たりづらく光合成ができないため、枯れ枝になりやすいです。 - ⑦腹切枝
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幹と交差している枝。
見栄えが悪くなるうえに、枯れ葉が溜まり害虫の温床になってしまいます。 - ⑧平行枝
-
複数の枝が平行して生えているもの。
日当たりや風通しが悪くなり、木の健康を損なってしまいます。
ほかの枝とのバランスを考えて、不要な枝を切りましょう。 - ⑨車枝
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1箇所から複数の枝が生えているもの。
車枝から下の幹が太くなってしまい、見栄えが悪くなります。
ほかの枝とのバランスも考慮して、左右対称にならないように切りましょう。 - ⑩絡み枝
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ほかの枝と絡んでいるもの。
見栄えが悪くなるうえに、通気性や採光性も悪くなり、樹勢が弱ったり病害虫の原因になったりします。 - ⑪逆さ枝
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木の内側に向かって生えている枝。
樹形の形成には関係がないうえに、日が当たらないことで枯れ枝にもなりやすいです。 - ⑫胴吹き枝
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幹の途中から生えている枝。
ひこばえと同様に、放っておくと木の上部に栄養が渡りづらくなり、ほかの枝の成長が遅くなってしまいます。
今すぐ全部を覚えるのは大変ですので、まずはザックリとこのような枝があるということを知っておきましょう!
実際に剪定するときに再度確認しながら切る枝を選んでください。
椿をキレイに見せる枝の切り方
切るべき枝の説明はここまでになります。
ここからは、椿をよりキレイに見せるための枝の切り方を解説していきます。
知っておくべきことはたった2つです!
- 枝は「分岐点のつけ根」で切ろう
- 短くなりすぎる場合は「外芽の上」で切ろう
これらを守るだけで、切り口が目立たず見栄えの良い状態になります。
上手な剪定とは「どこを切ったのかわからない剪定」だといわれますが、そのような剪定をするためには枝の切り方が重要です。
これから図を使いながら具体的に説明していきますので、よく見ておきましょう!
枝は「分岐点のつけ根」で切ろう
枝を切るときは、枝の分岐点のつけ根で切ってください。
上図の✕印箇所のように、枝の途中で切ることは基本的にはありません。
切るべき枝を見つけたら、その枝が分岐している箇所までたどり、つけ根の部分で切るようにしましょう!
短くなりすぎる場合は「外芽の上」で切ろう
木を理想の大きさにしたいときに、枝の分岐点までさかのぼると少し短くなりすぎてしまう場合もあります。
そのようなときは、枝についている外芽の上で切りましょう!
芽は成長すると枝になるため、将来的には芽の部分が枝の分岐点となります。
ではなぜ内芽ではなく外芽なのかというと、枝の成長の仕方が関係しています。
外芽は横に伸びるため、樹形を作る大切な枝へと成長していきます。
一方、内芽は縦に伸びたり木の内側に伸びたりする可能性が高く、樹形を作る枝にはなりづらいです。
もちろん実際にどのように成長するかはわかりませんが、可能性として外芽は重要な枝になりやすいため、外芽を残すことが剪定の基本となります。
椿を理想の形に仕上げる4つの剪定手順
枝の切り方の説明はここまでとなります。
では、ここからは実際に剪定をするときに、どのように進めていけばよいのかを解説します。
椿の剪定手順は全部で4つです。
手順1.仕上がりのイメージを考える
手順2.不要枝を切って枝数を減らす
手順3.長い枝を切って理想の大きさに近づける
手順4.混み合った枝を切って全体の風通しをよくする
上記の手順で進めていけば、不要な枝から切っていくことになるため、枝を切りすぎて失敗してしまうことは少なくなります。
これからイメージ図なども踏まえながら、手順1から順番に説明していきますので覚えておきましょう!
手順1.仕上がりのイメージを考える
最初にやるべきことは、剪定後にどのような木にしたいのか仕上がりのイメージを考えることです。
具体的には木の高さ・幅・形の3つを考えます。
これらをイメージしておくと迷うことなく剪定ができ、キレイな木の形を作りやすくなります。
反対に、イメージがないとどこまで切っていいのかがわからず、まとまりのない木になってしまうかもしれません。
うまくイメージするコツは、樹形が半球形の形になるように考えることです。
上図のように木の形にはさまざまな型がありますが、椿の成長の仕方や枝の生え方などを考えると、おすすめの型は左上の半球形です。
そのため、まずは半球形を目指して椿の高さや幅をどのくらいにするのか、イメージを考えてみましょう!
剪定に慣れてきてほかの型にも仕立ててみたいと思ったときは、別の型にも挑戦してみてください。
手順2.不要枝を切って枝数を減らす
仕上がりのイメージができたら実際に枝を切っていきましょう。
最初に切るべき枝は12種類の不要枝になります。
椿を全体的に見渡して、上図のような不要枝があればすべて切ってしまいましょう。
切る場所は枝の分岐点のつけ根です!
手順3.長い枝を切って理想の大きさに近づける
不要枝を切り取ったら、今度は長い枝を切っていきましょう。
椿の枝を上から順番に確認して、手順1でイメージした半球型からはみ出ている枝を切ります。
長い枝を切るときは基本的には分岐点のつけ根ですが、もし短くなり過ぎてしまう場合は外芽の上で切ってください。
この作業をおこなうことで、木全体を理想の大きさに近づけていきます。
手順4.混み合った枝を切って全体の風通しをよくする
長い枝を切りある程度イメージ通りの大きさになったら、最後に混み合った枝を切りましょう。
風通しがよくなりますし、見た目もスッキリと美しくなります。
木の向こう側が透けて見える程度まで枝を切ってください。
これが終われば剪定は完了です!
もし枝を切るべきか残すべきか、どうしても迷ってしまうことがあったら、その枝は一旦残しておいてください。
切ってしまった枝は元に戻すことができませんが、残しておいた枝はあとから切ることもできます。
剪定を繰り返しおこなうことで迷うことは減っていきますので、焦らず少しずつ慣れていきましょう!
椿の剪定は花が咲き終わる4~5月がベスト
椿の剪定方法についてはここまでになります。
次は椿の剪定に適した時期の解説です。
椿は花が咲き終わる4~5月に剪定するようにしてください!
一般的に椿は11月下旬~4月にかけて花が咲きますが、その後の花が散り終わった頃が剪定に適した時期になります。
現在まだ花が咲いている場合は、花が咲き終わるまで待って剪定するようにしましょう。
すでに6月以降になってしまっている場合には、できれば翌年の4~5月まで待つことをおすすめします。
では、なぜ4~5月が剪定時期になるのかを説明しましょう。
6月以降に剪定すると翌年に咲く花が減ってしまう
椿は6月以降になると、翌年に咲く花の芽が枝につきはじめます。
そのため、6月以降に剪定をすると花芽を切ることになり、翌年に咲く花の数が減ってしまうのです。
4~5月に剪定をしておけば、残った枝の中に花芽が作られるため、翌年の開花には影響がありません。
どうしても6月以降に剪定したい場合は、花芽を残すように剪定する方法もあります。
不慣れな方には難しいうえに切る枝が限られてくるため、理想の樹形にするのは大変ですが、その方法についても次で説明します。
6月以降に剪定したい方や花芽の見分け方が知りたい方は参考にしてください。
椿の花芽と葉芽の見分け方
椿の芽には花になる花芽のほかに、葉っぱになる葉芽があります。
どちらの芽なのかを見分けるためには、芽の形に注目しましょう!
花芽はぷっくりとふくらんだ楕円形の形をしていますが、葉芽は細長くとがった形をしています。
ただし、6~7月の芽ができたばかりの頃はどちらも同じような見た目をしており、見分けることが難しいです。
8~9月頃になると上図のように特徴的な見た目になってきます。
そのため、見分けられない場合は少し芽の成長を待ってみてください。
花芽を見分けることができたら、丸く膨らんだ花芽がついた枝は残すように剪定しましょう!
椿の花芽を見分ける方法を動画でわかりやすく紹介しているものもありますので、そちらもよかったら参考にしてください。
【ツバキ】刈込みと【花芽の見分け方】 造園パートナーズ庭師の教科書
椿の剪定に必要な道具
最後になりますが、剪定に必要な道具を紹介します。
椿の剪定にはおもに8つの道具を使用します。
道具 | 用途・詳細 |
---|---|
剪定バサミ | 直径1.5cmほどまでの枝を切るためのハサミ。 使用頻度がもっとも高いため、できるだけ手になじみ使いやすいものを選びましょう。 |
植木バサミ (木バサミ) | 葉や茎を切るためのハサミ。 剪定の仕上げに使用します。 |
手袋 | ケガをしないために着用する手袋。 ゴムつきのものだとすべりづらく、より安全です。 |
ノコギリ | 太い枝を切るための道具。 ※直径1.5cm以上の太い枝を切る場合に必要です。 |
脚立 | 高い位置の枝葉を切るための道具。 4点脚立と3点脚立があるが、剪定では設置場所が限られるため3点脚立の方が使いやすいです。 ※手が届かないような高い木を剪定する場合に必要です。 |
養生シート | 剪定前に木の周辺に敷くためのシート。 切り取った枝葉が養生シート上に溜まりまとめやすいため、後片付けが楽になります。 |
熊手・ ホウキ | 切った枝葉を片付けるための道具。 手で拾い集めてもよいですが、熊手やホウキがあるとより効率的に後片付けができます。 |
癒合剤 | 剪定後に枝の切り口に塗るための薬剤。 枝の切り口に癒合剤を塗ると、切り口から腐朽菌が浸入するリスクを低下させることができます。 |
上記のなかで必須といえるものは、剪定バサミ・植木バサミ・手袋の3つです。
それ以外はなくても剪定できますが、太い枝を切る場合や背の高い椿を剪定する場合には、ノコギリと脚立も必須になります。
あなたの家の椿の大きさに合わせて必要な道具を用意しましょう!
また、剪定後の後片付けを楽にしたい場合は養生シートや熊手、ホウキを準備しておくことをおすすめします。
定期的に剪定していれば1回でそれほど多くの枝葉を切ることはないですが、初めて剪定する場合には思ったより多くの枝葉を処分することになるかもしれません。
できれば養生シートやホウキなど後片付けを楽にする道具も準備しておいてください。
詳しくは剪定道具をまとめた記事をご覧ください。
癒合剤も必須というわけではありません。
癒合剤があることで腐朽菌侵入のリスクが下げられるため、できるだけ木を健康に保ちたい場合は用意するようにしましょう。
※腐朽菌:木を腐らせる菌。
まとめ
もう一度当記事の内容を簡単にまとめておきましょう!
重要なポイントは3つです。
長い枝や混み合っている枝を切ること。
枝を切るときはつけ根か外芽の上で切ること。
時期は4~5月におこなうこと。
これらを守るだけで、今よりも小さくキレイな椿に仕立てることができます。
あなたもご自宅の椿を理想の大きさや形にできるよう、ぜひ挑戦してみてくださいね!