ゼラニウムは育て方が簡単で、初心者にもおすすめの植物です。
しかし、育て方を知っておかないと、花を十分に楽しめなくなってしまうおそれがあります。
この記事では、水やりや肥料の与え方などのゼラニウムの正しい育て方はもちろん、増やし方もご紹介していきます。
また、きれいな樹形を保つため、病気を防ぐためにゼラニウムの剪定についてもご紹介しますよ。
これからゼラニウムを育てる方も、すでに育てている方も、ぜひ参考にしてみてください。
ゼラニウムの剪定時期と方法
まずは、ゼラニウムの剪定時期と方法についてご紹介します。
剪定時期や方法を間違えると、十分に花が咲かなくなってしまうおそれがあります。
以下でご紹介する方法を参考に、適切に剪定をおこないましょう。
剪定に適した季節は初夏と秋
ゼラニウムの剪定に適している時期は、初夏または秋だといわれています。
この時期が適しているのは、剪定しても成長する時期であるため。
つまり、樹形が乱れている株を剪定したあとでも、すぐに樹形が整うのです。
また、初夏や秋は気候が穏やかであるため、剪定をおこなってもゼラニウムへのダメージが少なくて済みます。
剪定方法は切り戻し&花がら摘み
ゼラニウムは、樹形が大きくなる種類は少ないといわれているため、必ずしも剪定が必要な植物ではありません。
ただし、剪定をすることできれいな樹形にすることができるため、「樹形が乱れてきた」「株が大きくなって管理が大変になってきた」という場合には、剪定をするとよいでしょう。
ゼラニウムの剪定は、「切り戻し」や「花がら摘み」と呼ばれる方法でおこないます。
切り戻しとは、コンパクトな樹形にしたいときや、樹形のバランスを整えるためにおこなう剪定です。
切り戻しでは、花を咲かせたい場所よりも少し低いところの、わき芽(葉や茎の付け根から出る芽)の節の上で切っていきましょう。
花がら摘みとは、咲き終わった不要な花を取り除く剪定作業です。
不要な花が生えていると、これに養分が奪われてしまいます。
その結果、必要な花にいきわたる養分が少なくなり、花つきが悪くなってしまうのです。
必要な花に養分を十分に与えるためにも、花がら摘みをおこないましょう。
ゼラニウムは、花房(花が集まって房状になっている部分)の中心から小花が咲き終わっていきます。
花がら摘みでは、その咲き終わった小花から手で取り除いていきましょう。
また、花房にあるほぼすべての小花が咲き終わったら、すべての小花が咲き終わった花房の茎を根元から切り落としてしまいましょう。
この他、黄色くなった葉やカビが生えて枯れた葉も、定期的に取り除いていきましょう。
ゼラニウムの育て方
ここからは、ゼラニウムの育て方についてご紹介していきます。
ゼラニウムのきれいな花を咲かせるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
植え付け|真夏と真冬は避ける
ゼラニウムの苗の植え付けは、真夏と真冬を避けた3月~5月、9月におこなうのが適しているといわれています。
植え付けの方法としては、まず鉢に鉢底石や軽石を敷きましょう。
これにより通気性をよくなります。
次は、その上から草花用の培養土を入れます。
そこに苗を植え、水を十分にあげれば完了です。
植え付けが完了した苗は、日当たりや風通しがよい場所で管理しましょう。
水やり|季節で水の与え方を変える
ゼラニウムは乾燥気味の土を好むため、水の与えすぎには注意しましょう。
鉢植えの場合、夏には表土がしっかりと乾燥してから、鉢底からあふれるくらいにたっぷり水をあげます。
冬には、土が乾燥してから約3日後に水を与えましょう。
冬はゼラニウムが水を吸収する力が低下するので、土の表面が乾燥していても内部は湿っていることがあります。
もし土の内部が湿った状態で水を与え続けると、根腐れ(酸素を吸えなくなって根が腐ること)を起こすおそれがあるのです。
庭植えの場合、根付いたあとには水やりは不要です。
しかし、真夏に高温・乾燥した日が続くようなら水を与えましょう。
肥料|成長時期にはしっかり与える
肥料は、生育が盛んになる時期にあげるのがよいといわれています。
そのため、ゼラニウムの生育期である春から秋にかけての花が咲く時期に肥料を与えるとよいでしょう。
春から秋にかけて、数週間に1回程度肥料をあげるのが目安です。
ただし、真夏にはゼラニウムが弱っているので施肥は控えておきましょう。
また、与える肥料はゆっくりと効果を現す緩効性肥料がよいでしょう。
土|水はけ水持ちのよいものを使う
基本的に、ゼラニウムは市販の培養土で育てても問題ありません。
土を選ぶときには、ゼラニウムが好む、水はけや水持ちのよいものを選びましょう。
また、ゼラニウムは弱酸性の土を好むので、酸性の強い土で育てるときには、苦土石灰(炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムが含まれる石灰)を多めに混ぜて弱酸性にしておくことをおすすめします。
置き場所|季節ごとに変える
1年を通して、ゼラニウムが好む日当たりや風通しのよい場所で育てましょう。
ただし、気温が高すぎるとゼラニウムが弱ってしまい、花付きが悪くなってしまうかもしれません。
そのため、夏には西日の当たらない涼しい場所で育てるとよいでしょう。
ゼラニウムは寒波が来ると傷んでしまうおそれがあります。
その場合は、ゼラニウムを軒下などに移動させましょう。
ただし、霜が降りるほど寒い地域では屋外で冬を越すのは難しいため、室内に入れることをおすすめします。
植え替え|根腐れや根詰まり対策をする
ゼラニウムを健康に育てるためにも、1~2年おきに植え替えをおこないましょう。
植え替えをおこなわないと根詰まりが起こる可能性があります。
根詰まりとは、鉢の中で根が伸びる場所がなく、根が詰まっている状態のこと。
根詰まりが起こると、水はけが悪くなって根腐れを起こしてしまうのです。
ゼラニウムの植え替えは、植え付けと同じ真夏と真冬以外の時期におこないます。
植え替えでは古い土を落とし、伸びた根を3分の1程度切って新しい鉢に植えつけましょう。
ゼラニウムを増やす方法は2種類
ゼラニウムは「挿し木」または「種まき」と呼ばれる方法で増やせます。
ここからは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
挿し木で増やす方法
挿し木とは、株の一部分を切り取ってそれを発芽させることで、株を増やす方法です。
ゼラニウムの挿し木は1年中できますが、春と秋が適しています。
その理由は、ゼラニウムが発芽する温度が20~25℃程度だからです。
挿し木の詳しい方法は以下のとおりです。
- ゼラニウムの茎を10cm程度に切り取る
- 茎に花がついている場合は花を取り、葉は数枚残して残りの葉は取っておく
- 半日~2日ほど日陰に置いて乾燥させる
- 鉢などの容器に土を入れて水を与えて湿らせる
- 土に穴を掘って挿し穂(切り取ったゼラニウムの茎)を入れる
- 挿し穂が倒れないように土をかけておく
1~6までの作業をおこない、あとは乾燥させておくことで2~3週間で発根します。
そして、1~1.5ヵ月程度経過したら根が定着してくるので、挿し穂を鉢に植え替えましょう。
種まきで増やす方法
ゼラニウムは、種まきでも増やせます。
先ほどご説明したとおり、ゼラニウムの発芽する温度は20~25℃程度なので、春または秋(5月か9月)におこなうとよいでしょう。
種まきの具体的な手順は、基本的には植え付けの方法と同じです。
そのため、先ほどご紹介した植え付けの方法を参考にしてください。
ゼラニウムを育てる際に注意すべき病気・害虫と対策
ゼラニウムを育てる際には、注意しなければならないことがあります。
その1つが、病気や害虫です。
ここからは、ゼラニウムで気をつけたい病気や害虫について見ていきましょう。
かかる病気
ゼラニウムで気をつけたい病気について、以下にまとめました。
茎腐病
茎腐病(くきぐされびょう)とは、土から菌が感染し、茎が腐る病気です。
茎腐病にかかると、まず地際の茎の表面から腐敗していき、内部にまで浸透していきます。
放置しておくと上のほうも腐っていき、最終的には枯れてしまうおそれもあるのです。
茶色く腐っている茎を発見したら、茎の付け根から切り落としてください。
茎腐病は湿度が高いときに発病しやすいため、風通しや日当たりのよい場所にゼラニウムを置き、多湿を避けることで予防できます。
土壌中にいる菌は薬剤で駆除しておきましょう。
灰かび病
灰かび病とは、花・つぼみ・茎・葉が腐ってカビが生える病気で、低温多湿の環境で起こりやすいといわれています。
この灰かび病を放置すると、最終的に枯れてしまうといわれています。
灰かび病を発見したら、その都度被害箇所を取り除くことが大切です。また、灰カビ病の菌は湿度が高い場所を好むため、そのような場所を避け、風通しがよい場所で生育することで予防することができるでしょう。
モザイク病
モザイク病とは、アブラムシなどの虫が媒体となって、ウイルスに感染する病気です。
モザイク病にかかると、葉や花にモザイクのような模様が現れ、株が弱ってしまいます。
モザイク病にかかった部分は治療することができないため、被害箇所を取り除くことが大切です。
また、一度モザイク病にかかった部分に触れたハサミは、モザイク病のウイルスが付着しているおそれがあります。
ウイルスが付着したハサミを使用すると、健康な部分もウイルスに侵されてしまうおそれがあるので、熱処理をおこなってから使いましょう。
気を付けたい害虫
ゼラニウムで気を付けたい害虫を、以下にまとめました。
ヨトウムシ
ヨトウムシとは、ヨトウガと呼ばれる蛾の幼虫で、秋から初冬にかけて発生しやすいといわれています。
そんなヨトウムシは、植物の葉や実を食い荒らす被害をもたらします。
また、ヨトウムシは新芽を好むため、放置しておくと新芽をすべて食べられ、株が枯れてしまうおそれがあるのです。
ヨトウムシは、葉に糞をしたり卵を産み付けたりします。
そのため、葉に糞や卵があったら、ヨトウムシの被害にあっている可能性があります。
その場合は、1つ1つ葉を取り除くか、ヨトウムシに効果のある殺虫剤を散布することで駆除が可能です。
ただし、成虫になると殺虫剤の効き目が弱くなるため、定期的に糞や卵がついていないかチェックしましょう。
幼虫のうちに駆除することが大切です。
ハマキムシ
ハマキムシとは、葉を巻いて食べる害虫で、春から夏にかけて発生します。
ハマキムシの被害にあうと、食害によって見た目が悪くなるだけではなく、十分に光合成ができなくなり、株が弱ってしまいます。
ハマキムシを見つけたら、葉ごと取って捨てることで対策できます。
ハマキムシの数が増えてからだと被害が拡大するおそれがあるので、食害にあっていないかを定期的にチェックするとよいでしょう。
もし「ハマキムシが増えてしまった」という場合は、葉の内部まで浸透する薬剤で駆除するのが有効です。
詳しくは庭木の消毒方法をまとめた記事をご覧ください。
ゼラニウムはどんな植物?
ゼラニウムは、南アフリカを原産とする、フウロソウ科・テンジクアオイ属に分類される植物の総称で、200種類以上の品種があるといわれています。
ここでは、そんなゼラニウムの詳しい特徴についてご紹介しますね。
ゼラニウムをより楽しむためにも、ぜひ参考にしてみてください。
特徴1:香り
ゼラニウムの中には、香りの強い種類もあります。
その1つが「ハーブゼラニウム」と呼ばれる種類です。
ハーブゼラニウムは、アロマオイルやハーブティー、お菓子などに使われるようです。
また、色もきれいであることから、園芸としても人気を集めています。
特徴2:カラフルな花
ゼラニウムは、ピンクや赤、白などの花を咲かせる種類が多いですが、なかにはオレンジや紫の花を咲かせる種類もあります。
また、花は1つではなく何輪か集まって咲くので、華やかな様子を楽しむことができるでしょう。
特徴3:手入れが簡単
ゼラニウムは、基本的には手入れが簡単であるため人気な植物です。
しかし、病気や害虫などに気をつけておかないと、健康なゼラニウムを育てられないおそれがあります。
そのため、この記事でご紹介した内容を参考に、ゼラニウムを適切に育てていきましょう。
きれいな樹形を保つためには剪定作業も重要なため、欠かさずにおこなってくださいね。
なお、自分でゼラニウムを剪定する自信のない方は、剪定のプロである業者に依頼するのもよいでしょう。
まとめ
ゼラニウムは手入れが簡単なため、初心者でも無理なく育てることが可能です。
しかし、剪定や手入れ、害虫・病気対策などをおこなわないと、ゼラニウムの見た目が悪くなったり枯れてしまったりするかもしれません。
そうならないためにも、ゼラニウムの剪定や手入れ、害虫・病気対策はしっかりとおこないましょう。
ただし、剪定はやり方を間違えると、ゼラニウムが枯れてしまうおそれがあります。
もし自分で剪定をおこなうのが不安な方は、業者に依頼するとよいでしょう。