「剪定した木を守るために癒合剤(ゆごうざい)を使ってみたいけれど、種類が多いうえに違いもわかりづらくて選べない……」
そのようにお悩みではありませんか?
しかしご安心ください。
癒合剤でお悩みの方のために癒合剤の特徴をまとめて、おすすめ商品を選定しました。
ご紹介している商品を使用すれば、大切な庭木の保護にきっと役立ちます。
この記事ではおすすめの癒合剤に始まり、癒合剤の使い方や注意点をまとめました。
読んでいただければ、おすすめの癒合剤がすぐにわかり、適切な方法で剪定後の庭木を守ることができるようになります。
剪定を始める前にぜひご覧ください。
おすすめの癒合剤3選
さっそく、おすすめの癒合剤をご紹介します。
この記事では、以下の4点を基準に癒合剤ごとに点数と順位をつけました。
そのなかの上位3位の癒合剤をご紹介します。
- 内容量1gあたりの価格
- 殺菌効果の有無の表記
- 使用感
- 利用者数
あわせて、実際に剪定の際に癒合剤を使ったことがある方にアンケートをおこない、使ってみてよかった点や悪かった点もお聞きしました。
それらの口コミもまとめましたので、実際の使用感のイメージにお役立てください。
癒合剤使用者によるインターネット回答
調査期間:2023年9月19日~2023年10月3日、回答数:37件
これらの癒合剤はホームセンターだけでなく通販でも購入できます。
100~200g程度の小さいチューブタイプの商品も多いので、気になった商品があればぜひお試しください。
1位:トップジンMペースト
参考価格 | Amazon:696円 楽天市場:1,200円 Y!ショッピング:878円 |
内容量 | 200g |
殺菌効果 | あり |
癒合剤の色 | 橙黄色 |
有効年限 | 4年 |
※参考価格は2023年10月11日時点のAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングでの価格(税込み・東京都への送料込み)です。
37名の回答者のうち、半数以上の21名が使用していた1番人気の癒合剤です。
色は鮮やかな橙黄色なので違和感を覚えるかもしれません。
しかし次第に色は薄れますし、塗った箇所がわかりやすいというメリットもあります。
また、トップジンMペーストには殺菌効果が含まれています。
有効期間は4年なので、殺菌効果が失われないうちに使い切りましょう。
ご紹介しているのは内容量200gの商品ですが、剪定する木の本数が多い場合は1kgの商品を購入すれば割安になります。
このあとご紹介するバッチレート、カルスメイトも同様に1kgの商品があるため、剪定する本数に応じて選択しましょう。
アンケート結果の口コミもこちらにまとめました。
- 殺菌効果がある
- 値段が安くて効果がある
- 伸びがよくて塗りやすい
- 枯れることが減った
- 色が目立つので塗った場所がわかりやすい
- 粘度が弱く液だれしやすい
- 少し独特の刺激臭がある
- 色が鮮やかすぎて違和感がある
2位:バッチレート
参考価格 | Amazon:888円 楽天市場:1,265円 Y!ショッピング:1,218円 |
内容量 | 200g |
殺菌効果 | あり |
癒合剤の色 | 黄緑色 |
有効年限 | 3年 |
※参考価格は2023年10月11日時点のAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングでの価格(税込み・東京都への送料込み)です。
使用者は少なかったものの、1gあたりの値段の安さと殺菌効果で2位となった癒合剤です。
バッチレートは黄緑色なので木の枝の茶色と区別しやすく、また落ち着いた色合いなので悪目立ちしづらいです。
- 塗りやすい
- 服につくと取れにくい
「服につくと取れにくい」という口コミもありました。
癒合剤は服につくと取れにくいものが多いため、使用時は汚れてもいい作業着に着替えることをおすすめします。
3位:カルスメイト
参考価格 | Amazon:712円 楽天市場:1,190円 Y!ショッピング:819円 |
内容量 | 150g |
殺菌効果 | ― |
癒合剤の色 | 茶褐色 |
※参考価格は2023年10月11日時点のAmazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングでの価格(税込み・東京都への送料込み)です。
37名の回答者のうち9名が使用していた2番人気の癒合剤です。
色が茶褐色なので木の切り口に色がなじみやすいのが特徴です。
1位のトップジンMペーストと比べると「殺菌効果はないが液だれしにくい」という意見が多くなりました。
- 色が茶色なので木になじむ
- 乾燥が早く使い勝手がいい
- 液だれしなくて使いやすい
- 安いのに効果がある
- 殺菌効果がない
- チューブの口の部分で固まる
- 少し硬めでべとべとする
ランキングの詳細と、4位以下の癒合剤については「癒合剤8商品の比較データ(PDFファイル)」をご覧ください。
※本ランキングは弊社独自の基準によってのものであり、また、その記載には細心の注意を払って掲載しておりますが、これらの商品の効果や情報の正確性・完全性・信頼性について保証するものではございません。
最初におすすめの癒合剤をご紹介しましたが、「そもそも癒合剤は必要だろうか?」と疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
そこで次の章からは癒合剤の効果をご紹介していきます。
癒合剤の4つの効果
ご紹介したように癒合剤にはいくつかの種類がありますが、基本的な効果は共通しています。
それは木の剪定後の切り口を保護することです。
- 切り口からの水や菌の侵入を防ぐ
- 乾燥による亀裂を防ぐ
- 切り口からの栄養の流出を防ぐ
- 切り口を保護してカルスの形成を促進する
人間の体で例えるなら、癒合剤は絆創膏(ばんそうこう)で、カルスはかさぶたのようなものです。
人間の体は菌が侵入しても戦う力を持っていますが、植物はそうではありません。
カルスの正しい形成には剪定方法も影響しますが、よい切り口なら組織がきれいに巻き込んで切り口がきれいにふさがり、悪ければ切り口がふさがらずに内部が空洞化してしまいます。
太い枝を切るほど切り口は大きくなり、カルスの形成に時間がかかってしまいます。
目安として、直径2cm以上の太い枝を切ったあとは癒合剤を塗りましょう。
しかし「本当に癒合剤の効果はあるのか?」と疑問をお持ちの方もいるはず。
そこで、実際の調査により癒合剤が効果を示した事例をご紹介します。
ケヤキ、ヤマザクラ、クリ、ゴンゼツについて枝打方法を変えて枝打ちを行い、枝打ち後3~5年までの癒合率とケヤキについての材の変色面積を調査した。枝打ち跡の傷への癒合剤の塗布は、癒合を早め、変色面積を小さくする効果があった。
出典:広葉樹の枝打ち試験(Ⅱ)-数種の広葉樹の枝打ち方法別の癒合および材の変色状況の違い-(最終閲覧日:2023年10月11日)
癒合剤の使い方
おすすめの癒合剤と効果がわかったところで、次は使い方を見ていきましょう。
癒合剤の使い方はシンプルで、簡単にまとめると切り口にハケで塗るだけです。
チューブ型の癒合剤なら直接塗りつけることもできるのでもっとお手軽です。
参考として、トップジンMペーストの使い方をご紹介します。
- 農業用マスク、手袋、長ズボン、長袖の作業衣などを着用する
- 切り口にトップジンMペーストを付ける
- ハケで丁寧に塗り広げる
- 作業後は手足、顔などを石けんでよく洗う
- ハケはよく洗い、使用した作業衣は他のものと分けて洗濯する
こちらが基本的な使い方です。
胴枯れ・枝枯れの場合は塗る前に病患部を削り取る作業が増えますが、それ以外の作業内容は変わりません。
また、チューブの場合は直接塗ることもできますが、1kgの商品の場合は事前によくかき混ぜることも必要です。
参考:日本曹達株式会社|トップジンMペーストカタログ(最終閲覧日:2023年10月11日)
ただし癒合剤によって細かい使用方法は異なるため、使う前にかならず使用方法を確認しましょう。
癒合剤に匹敵する代用品はない
癒合剤は100gあたり1,000円程度の価格の商品もあるため、「もっと安く済ませたい」「なにか代わりになるものはないだろうか?」と思われるかもしれません。
結論からいえば、木を守るならやはり癒合剤が1番です。
インターネットで調べれば、木工用ボンドや墨汁が代用品になるという情報も見つかります。
たしかに癒合剤より費用は抑えられますが、その効果は癒合剤には及びません。
癒合剤と代用品を比較した具体例として、愛知県植木センターの事例をご紹介します。
こちらのセンターでは、敷地内のサクラとヒトツバタゴの2種を実際に剪定し、その切り口に癒合剤や代用品を処置する実験をおこないました。
その結果をまとめたのがこちらです。
処置方法 | 総括 |
---|---|
トップジンMペースト | 雑菌侵入防止、カルスの形成促進、どちらにも効果が期待できる。 |
キニヌール | カルス形成が良好に進行することから塗布の効果は大きい。 |
木工用ボンド | 雑菌の侵入防止は期待できるが、カルスの形成を促進する効果はほとんど期待できない。 |
野外用墨汁 | カルス形成の促進効果はほとんど期待できない。 |
ペンキ(スプレー) | 他の代用品と同様、カルス形成の促進効果も期待できない。 |
家庭用アルミ箔 | カルスの形成を促進する効果はあるが、アリの加害による悪影響は重大であり、アルミ箔の取り付け方法を工夫するなど、アリの侵入・営巣を防止するための対策が必要である。 |
参考:愛知県植木センター|剪定切口の保護・回復についての調査(最終閲覧日:2023年10月11日)
代用品のなかで比較的評価が高かったのは木工用ボンドです。
被膜を作ることで雑菌の侵入防止には期待できるものの、カルスの形成促進はほとんど期待できないという結果でした。
その点、癒合剤のトップジンMペーストとキニヌールは使いやすさも癒合促進・雑菌侵入防止どちらも高評価でした。
木工用ボンドは50gほどの小さなものなら1個100円程度で購入できます。
切り口が小さかったり、あまり大切にする必要がない木なら代用品でもいいですが、そうでないなら専用の癒合剤を使いましょう。
癒合剤の効果を高めるための太い枝の剪定方法
切り口が太いほど必要になる癒合剤ですが、枝の切り方にもコツがあります。
それは、ブランチカラーとブランチバークリッジを残して幹に近い位置で切ること。
ブランチカラーとは、幹から生えている枝の付け根にあるふくらんだ箇所。
ブランチバークリッジとは、幹と枝の境目にあるシワ状の箇所です。
剪定する際は、この2箇所を結んだ線で切ることで内部の保護帯を傷つけず、菌の侵入を防ぐことができます。
正しく切ることで、きれいなドーナツ状にカルスが形成されて切り口がふさがります。
幹に沿って切るほうがきれいに見えるかもしれませんが、これはフラッシュカットと呼び、保護帯を切除することで菌の侵入を許してしまいます。
その結果、腐朽による空洞化やひび割れ、組織の壊死の広がりなどが発生してしまいます。
参考文献
ALEX L. SHIGO.現代の樹木医学 要約版.日本樹木医会,1996
剪定が不安な方は「剪定110番」にご相談ください!
癒合剤は木を守るために役立つ道具ですが、確実に守れるわけではありません。
前述のフラッシュカットのように間違った剪定をすれば、癒合剤を使っても木が弱ったり、回復が遅くなったりするおそれがあります。
「正しく剪定する自信がない」「自分の手で木を弱らせたくない」「体力的にも技術的にも自力で剪定するのが難しい」そのような不安があれば、業者に依頼するのがおすすめです。
剪定業者は正しい手順で剪定してくれますし、人や家より大きい木もプロの技術と装備で小さくしてくれます。
「近所に剪定業者がいない」「どの業者を選べばいいかわからない」そのようなときは、ぜひ剪定110番にお問い合わせください。
剪定110番には全国各地の剪定業者が加盟しているため、ご相談内容に応じた業者をご紹介できます。
まずはお見積りのご相談から始めることをおすすめします。
調査・お見積りは無料※ですので、依頼した際の費用が簡単にわかります。
現地スタッフと相談すれば費用以外の不安も解消されるでしょう。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
まとめ
最後に、この記事の重要なポイントをまとめました。
- 癒合剤はトップジンMペーストが特におすすめ
- 癒合剤の役割は木の剪定後の切り口を保護すること
- 癒合剤は切り口にハケで塗るのが基本的な使い方
- 代用品は安いが、効果は癒合剤に及ばない
- 太い枝を切る際はフラッシュカットに注意する
この記事を読み終えたことで買うべき癒合剤が決まり、正しく使って木が健やかに育てば幸いです。
庭木が枯れてしまえばお庭の見栄えが悪くなり、その木に費やした時間やお金が無駄になってしまうかもしれません。
大切な庭木を腐朽から守るためにも、ぜひ正しい癒合剤と剪定方法を確認してから作業を始めてください。
それが難しいと感じたら、無理をせずにプロの力を借りてください。