赤や青、白などさまざまな色の花を咲かせるパンジー。
そんなパンジーは、比較的育てやすいこともあり、ガーデニングの植物として人気です。
とはいえ、当然植物なので手入れは必要となります。
そこでこの記事では、手入れとして花つきに効果をもたらすパンジーの剪定について中心に紹介していきます。
また、肥料・水やりなどの日ごろの栽培管理方法から、種まきや苗の植え付けについても解説していきますよ。
パンジーをすでに育てている方はもちろん、これから育てるという方もぜひ参考にしてください。
パンジーの剪定のコツと時期
パンジーの剪定は、花つきをよくすること以外にもパンジーの健康を保つという意味でも重要な作業となります。
パンジーは生育期間が長いという特徴があり、剪定をしないまま放置すると大きくなりすぎ、やがて枯れるおそれがあるのです。
これらのことから、パンジーの剪定は忘れずにおこないましょう。
摘心|苗が若いときにおこなおう
パンジーの剪定方法の1つに、茎の先を切ることをいう「摘心(てきしん)」があります。
摘心をすれば茎が枝分かれしてわき芽が育ちやすくなるため、花の数を増やすことにつながるのです。
そのため、苗が若いうちにパンジーの摘心をおこないましょう。
切り戻し|徒長してきたらおこなおう
生長しすぎて間延びしてきた枝や茎などを適切な長さに切り落とす剪定方法を「切り戻し」といいます。
徒長したパンジーの茎を切り戻しすることによって、他の花に養分を届けることができるため、パンジーの花を長い間楽しむことができるでしょう。
また、摘心や切り戻しなどの剪定方法は「風通しをよくする」といった理由でも必要です。
パンジーが風通しの悪い環境にいると、病気や害虫による被害を受けるリスクが高くなるため、パンジーの剪定はしっかりおこなってください。
花がら摘み|花が咲き終わったらおこなおう
咲き終わったパンジーの花を剪定せず放置しておくと、無駄なところに栄養が使われてしまいます。
開花時期は新しい花芽にしっかりと栄養がいきわたるように、花がら摘みをおこないましょう。
新芽に栄養を回し、風通しもよくすることで病気の予防にもなります。
ただし、花がら摘みをするにあたって2点注意があります。
1つ目は、花びらではなく花がらの茎ごと切ること。
2つ目は、間違えて新芽を切らないことです。
他のパンジーの剪定方法にもいえますが、茎を切るときは本当に切って問題ないものかしっかりと確認しておきましょう。
育てる前に特徴を知ろう!パンジーはビオラとは違う?
最初にきれいな花を育てるために必要なパンジーの剪定についてご紹介しましたが、花を長く楽しむためには正しい方法でパンジーを育てることも大切です。
ただ育て方について解説していく前に、パンジーの特徴について知っておいたほうがよいでしょう。
なぜなら、あらかじめパンジーの特徴を知っておけば育て方についても理解しやすくなるからです。
パンジーに限らずその花の特徴を知ることはガーデニングをするうえで重要なことなので、とくに初心者の方はチェックしてみてください。
ビオラとの違い
パンジーと似た花が咲く植物に「ビオラ」があります。
基本的には同じ種類の花として扱われることが多いですが、花の大きさによって以下のように区別されます。
園芸店やホームセンターで苗を購入するときは、間違えて購入しないように確認しておくとよいでしょう。
- パンジー:花の大きさが約5cm以上
- ビオラ:花の大きさが約4cm以下
ビオラの育て方や栽培管理方法は基本的にパンジーと同じなため、この記事の内容通りの手順でビオラも育てることも可能です。
開花期間が長い
パンジーの開花期間は10月~翌年5月までとかなり長く、寒さに強い植物なので冬の時期でも花を咲かせることができます。
さらに、パンジーの花は色や模様のレパートリーに富んでいて、赤・黄色・紫・オレンジ・ピンクなど様々な色で庭の雰囲気をカラフルに演出してくれるのです。
また、種類によっては一般のパンジーとは少し違う、フリルのような形の花を咲かせる「フリル咲き」をする品種も。
さまざまな色・模様・形を組み合わせてパンジーの剪定をしたり、違いを楽しんだりするのもよいでしょう。
鉢植えと庭植えのどちらも可能
パンジーは植えるときの場所や対応する鉢植えの種類が豊富なところも魅力です。
門から玄関までの間などのちょっとしたスペースに植えて育てるのもよいですし、ほかの花と一緒の鉢に植えることをいう「寄せ植え」をしたりしやすいです。
また、「ハンキング」とよばれる方法で鉢を壁や天井に吊るしてオシャレに飾ることもできます。
もちろん単純に空いているスペースに庭植えをしてもよいでしょう。
このように花や植え方のバリエーションが豊富で、いろいろな育て方が可能だからこそパンジーはガーデニングの植物として人気なのです。
好む環境|日当たり・風通し・用土
パンジーは日当たりがよく風通しがよい環境を好む植物です。
そのためパンジーの花をきれいに咲かせるためには、できるだけパンジーの好む環境に合わせた栽培が必要になるでしょう。
たとえば、パンジーに使う用土を水はけのよいものや培養土にしたり、庭植えであれば川砂を使って水はけをよくしたりすることで、パンジーにとって風通しのよい環境を作りやすくなります。
「日当たりがよい」「風通しがよい」というこれらの点を踏まえたうえで次の章を見ていくと、パンジーの育て方について理解しやすくなりますよ。
パンジーの種まきと苗の植え付け
パンジーは人気の植物であり、園芸店やホームセンターで売っていることが多いので、他の植物よりも比較的に入手しやすいです。
まずはパンジーを育てるうえで必要なパンジーの種や苗を用意し、植え付けをおこなうことから始めましょう。
種まき|方法と時期
パンジーの種まきの時期は、発芽するために最適な土の温度になりやすい8月~9月が適期といわれています。
種まきの時期が遅れるとそのぶん花が咲くまでの時期が遅くなりやすいため、なるべく適期に種まきをしておきましょう。
なおパンジーの種まきは、トレーなどの容器や土を使って以下の手順でおこないます。
- 種を涼しい場所で保管
- 小鉢などの容器に土を入れる
- 重ならないよう種をまく
- 軽く土をかぶせる
- 乾燥に気をつけながら水やり
- 葉が3~4枚になったら新しい鉢に植え付け
パンジーの種まきをする際、土を入れる方法について注意点があります。
2番の手順では容器に対して平らに土を整えます。
4番の手順ではパンジーの種が完全に隠れないように気をつけながら土をかぶせましょう。
こうすることで、パンジーの種にとって日当たりと風通しのよい環境を作りやすくなるのです。
苗の植え付け|方法と時期
購入したパンジーの苗を植え付ける場合、3月~4月の春または10月~11月の秋が適期です。
鉢・鉢底ネット・鉢底石・土を用意して以下の手順で植え付けてください。
植え付けに使う鉢は、パンジーが根詰まりをおこさないように一回り大きなものを用意する必要があります。
- 苗の根に付いた土をほぐして取り除く
- 鉢に鉢底ネット・鉢底石・土の順で入れる
- 鉢の中央に苗を植える
- 水を与える
パンジーの苗の植え付けは、必要な道具や手順をあらかじめ理解したうえで、手際よくおこなうようにしましょう。
苗を取り出したあとの作業に時間がかかってしまうと、パンジーの根が乾燥して弱ってしまうおそれがあるためです。
パンジーは一年草なので植え替えは不要
パンジーは一年草とよばれる植物のため、基本的に植え替えの必要はありません。
パンジーのような一年草は種まきをした春に発芽して開花し、その後再度花を咲かせることなく種を付けて枯れるといったサイクルになります。
そのため、またパンジーを楽しみたいときは新しくできた種をまくか、新たに種や苗を購入してそれを育てることになるでしょう。
パンジーの栽培管理方法|水やり・肥料
パンジーの剪定だけでなく、水やり・肥料を与えるなどの栽培管理をすることも大切です。
しかし十分にパンジーを楽しむためには、ただ単に水や肥料を与えるのではなく、頻度や時期などに気をつけておく必要があります。
ここでは、パンジーの栽培管理で気をつけたいポイントについてご紹介します。
水やり
パンジーの水やりをするときは、土の表面が乾燥しているときにたっぷり与えるとよいでしょう。
水の与えすぎは根腐れを引き起こす原因となるので、頻繁な水やりはよくありません。
目安としては、表面の土が乾燥して白っぽくなったときが水やりのタイミングとしてベストです。
また水やりの時間帯は、なるべくその日の温かい朝~昼の時間帯におこなうのがよいでしょう。
特に冬の時期は水やりをした土が冷え込みやすく、夕方以降に水やりをすると夜の寒さで根が弱ってしまうおそれがあるからです。
ちなみにパンジーを庭植えしている場合、基本的に水やりは不要です。
ただし例外として、雨が降らず乾燥した状況が続いている場合は、土の状態を見ながら適宜水やりをするようにしてください。
肥料
パンジーの肥料を与える最初のタイミングは、「苗の植え付け時」です。
苗の植え付けをしたあとは、苗の生長がしっかりとサポートできるように緩効性肥料を与えておきましょう。
その後は、パンジーが開花した時期で定期的に肥料を与える必要があります。
ただし、植え付けの方法によって最適な目安頻度と肥料の種類が違うため注意が必要です。
- 開花時期の肥料と頻度
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- 鉢植え
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液体肥料を1週間~2週間に1回程度
- 地植え
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暖効性肥料を月1回程度
開花時期に追肥をするときは、株の様子を見てパンジーの剪定が必要ないかあわせて見ておくと効率的でしょう。
なお、冬の時期は生育のスピードが遅くなるため、基本的に追肥の必要はありません。
パンジーを育てるうえで気を付けたい病害虫
ここまでご紹介したとおり、パンジーは剪定や栽培管理が比較的簡単なため初心者にも育てやすい植物であるといえます。
しかし、そんなパンジーでも病気や害虫などの被害に遭うことは十分に考えられます。
ここでは、パンジーを育てるうえで注意しておきたい病気や害虫について詳しくご紹介します。
灰色かび病
灰色かび病とは、花・葉・茎などが灰色のカビで覆われてしまい、生育に悪い影響が出るだけでなく枯れてしまうおそれもある病気です。
他の箇所にうつる可能性もあるため、見つけ次第すぐに対処することが肝心です。
高温多湿の状況で育てていると発症しやすいので、日当たり・風通しのよい環境でパンジーを育てることが灰色かび病の予防になります。
またパンジーの剪定時に灰色かび病を発見したときは、ついでに発症箇所を園芸用のハサミで取り除いておきましょう。
うどんこ病
葉や茎の表面にうどんの粉のような白いカビがびっしり付いている場合は、うどんこ病に感染していることが考えられます。
うどんこ病によりカビに覆われると、その部分の光合成がしにくくなってしまうため、パンジーの生育が遅れる原因となるので注意が必要です。
うどんこ病も灰色かび病と同じく、高温多湿の環境で発生しやすい病気です。
特に、開花時期は風通しがよくなるようにパンジーの剪定や花がら摘みをこまめにして予防しましょう。
また、対策には園芸用の殺菌剤の使用も効果的です。
斑点病
葉や茎の表面に黄色や茶色などの斑点ができるのが、斑点病です。
発症してそのまま放っておくとパンジーが弱ってしまい、やがて枯れる可能性があります。
斑点病はカビや細菌が繁殖して広がっていくため、ほかの病気と同じく早めに対策をしましょう。
斑点病を発症した場合は、園芸用の薬剤を使用して対策をしましょう。
また、今後の予防のためには今までの栽培方法の見直しをおこなうことも大切です。
水はけのよくない鉢植えで育てていたり、水を与える頻度が多すぎたりしていないか振り返ってみましょう。
ナメクジ
ナメクジはパンジーの花や葉を食べてしまうため、栽培するうえで注意しておきたい害虫の1つです。
ナメクジは春から秋までの季節に活動する害虫で、梅雨の時期は動きが活発になりやすいので特に注意しなければなりません。
もしパンジーにナメクジが付いていた場合は、割りばしやピンセットなどでつまんで駆除しましょう。
パンジーを食べられた跡がみられる場合は、周りにナメクジが潜んでいる可能性が高いです。探して駆除するか、パンジーの株ごとほかの場所へ避難させるようにしてください。
アブラムシ
アブラムシは、パンジーの葉や茎などに集団で寄生し養分を吸汁する害虫です。
駆除しないまま吸汁され続けると、パンジーが弱ってしまいます。
さらに、アブラムシの排泄物により病気を引き起こすことも考えられるので、早めに対策しましょう。
アブラムシが発生したときは、歯ブラシやヘラなどを使って直接そぎ落としてください。
なお、何回もアブラムシに寄生されてしまう場合は、園芸用の薬剤を使うことも検討するとよいでしょう。
今後の予防策として、風通しをよくするためにパンジーの剪定をするのも大切です。
まとめ
パンジーは花の種類が豊富で初心者でも育てやすいことから、ガーデニングの植物として人気が高いです。
ただしきれいな花を長く楽しむためには、パンジーの剪定や育て方など覚えておくことはいろいろとあるので、本記事を参考にしながら適切な方法でパンジーを栽培してみましょう。
「なかなか剪定がうまくできない」「細かい剪定作業は苦手」などパンジーの剪定についてお困りであれば、プロに依頼するという手段もあります。
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