丸みを帯びた白っぽい葉をつけ、黄色の房状の花を咲かせるパールアカシアは、比較的育て方が簡単であることから庭木として、鉢植え・地植えの両方で人気を集めている植物です。なお、育てやすいとはいえ、手入れが不要というわけではありません。
というのも、なにもせずに放置しておくと、高さが3m~5mほどにまで大きくなってしまうため。そこで必要となる手入れが、剪定です。本記事では、そんなパールアカシアの剪定の方法や時期について紹介していきます。また、あわせて育て方のポイントも紹介するので、これから栽培することを検討している方はぜひ参考にしてくださいね。
パールアカシアの剪定方法と時期
パールアカシアの剪定は生長により樹高が高くなることを防ぐだけでなく、黄色の花をきれいに咲かせるために必要な作業でもあります。パールアカシアを健康的に育てるために、剪定の正しい時期と方法を知っておきましょう。
剪定は花後におこなう
パールアカシアの剪定は、花が咲き終わってからなるべく早めにおこなうのが最適です。開花時期は2月~4月となっているので、4月終わりごろからパールアカシアの剪定準備をしておくとよいでしょう。
また、遅くても6月ごろまでにパールアカシアの剪定を終わらせるようにしてください。剪定をするのがあまりにも遅いと、花がうまく咲かなくなる原因になってしまうため注意が必要です。
剪定方法とコツ
パールアカシアを剪定する場合、基本的には「切り戻し」という方法でおこないます。切り戻しとは、生長しすぎて伸びた枝(徒長枝)を短くカットすることです。切り戻しをするときは、パールアカシアを剪定用のハサミを使ってきれいにカットしましょう。
またパールアカシアの樹高を抑えたいときは、主幹とよばれる幹の先端を切る「芯止め」をおこなうのがコツ。一番生長が良くて高い枝が主幹であることが多いため、その枝を見つけて自分好みの箇所で切り取るようにしてください。
パールアカシアは本当に育てやすい?栽培管理方法まとめ
ここまでパールアカシアの剪定方法についてご紹介してきましたが、ガーデニング初心者の方にとっては難しく感じるかもしれません。そのため、「パールアカシアは本当に育てやすい植物なのか」と不安になる方もいることでしょう。
ですがパールアカシアは、基本的な栽培知識があれば育て方は簡単で、比較的丈夫な植物なのでそこまで心配しなくても大丈夫です。ここでは、パールアカシアを育てる上で基本となる栽培管理方法についてご紹介します。
好みの環境|耐寒性はあるが…
パールアカシアは、日当たりが良くて風通しのよい環境を好む植物です。そのため、庭や鉢に植え付けをおこなうときは日光が適度に当たり、湿度の高くない場所を選ぶようにしましょう。栽培するときの土は、水はけがよいものを選んでください。
またパールアカシアは耐寒性が高く、寒い地域でも枯れずに育てることができます。ただし、雪が降ることが多い環境で育てる場合は、積雪の重みで枝が折れないように気を付けましょう。
植え付けと植え替え
パールアカシアの植え付けに最適な時期は3月以降の春となっています。なお、植え付け方法は庭植えと鉢植えで違いがあり、さらに鉢植えの場合は定期的な植え替えが必要です。それぞれの植え付け方法と注意点をみてみましょう。
- 30cm程度の穴を掘り、その土に腐葉土を混ぜる
- 混ぜた土をある程度穴に埋め戻す
- 残りの土を使って苗を植える
- 支柱を立てて苗を固定、その後水を多く与える
庭植えの場合は簡単に栽培場所を変更することはできないので、植え付けを始める前に本当にこの位置でベストなのか確認するようにしてください。また、苗が幼いうちは強風にさらされて折れてしまうことも考えられます。丈夫に育ち、しっかりとパールアカシアが剪定できるように、植え付け後の支柱は必ず立てるようにしましょう。
- 苗より一回り大きい鉢に鉢底ネット・鉢底石を入れる
- 培養土・赤玉土を混ぜた新しい土を用意する
- ある程度の高さまで新しい土を鉢に入れる
- 鉢に苗と土を入れて植え付け、その後水を多く与える
鉢植えで使用する鉢は必ず大きめのものを用意するようにしてください。これからパールアカシアの苗が生長し、根も伸びてくると小さな鉢では根詰まりを起こし、水はけが悪くなってしまうからです。
植え替え
パールアカシアを鉢植えで栽培すると根がどんどん生長していき、現在の鉢では根を広げるスペースが足りずに「根詰まり」を引き起こしてしまうおそれがあります。根詰まりを放置すると生長が阻害されてしまうため、鉢植えの栽培では植え替えが必要です。
パールアカシアの植え替えは、生長して大きくなってきたタイミングでおこなうようにしてください。とくに「土の水はけが悪い」「鉢の底から根が出ている」という場合は根詰まりの可能性があるので早めの植え替えが大切です。
ただ、パールアカシアの植え替えは剪定と同じく、頻度が多すぎると弱ってしまうので、植え替え回数を抑えるためになるべく大きい鉢を用意してあげるとよいでしょう。
水やりと肥料
植え付け後の水やりは庭植え・鉢植えにかかわらず、土からあふれるほどたっぷりと与えましょう。その後の水やりは、植え方や季節によって適切な方法でおこなう必要があります。
また、水やりと合わせて肥料を管理することも大切です。庭植え・鉢植えの場合で最適な水やり方法と、適切な肥料の与え方について見てみましょう。
庭植え(地植え)の水やり
庭植えの場合は、苗が新しい環境に慣れるまで1~2週間ほどかかります。環境に慣れるまでは、苗が根付くのをサポートするために水を与えるようにしてください。それ以降は自然に降る雨だけで十分足りるので、基本的に水やりの必要はありません。
ただ、雨がなかなか降らない時期や、夏の乾燥しやすい季節は注意が必要です。植えた場所の土を確かめて、乾燥している場合は水を与えておきましょう。
鉢植えの水やり
鉢植えで栽培している場合は、土が乾燥しやすく水切れを起こす可能性があるため、やり過ぎない程度に水を与えることが大切です。なお、季節によって最適な水やりのタイミングが違います。以下で確認しましょう。
春~秋:土が乾いたときに水やりをする
冬:土が乾いた数日後のタイミングで水やりをする
また鉢植えで水を与える場合は、乾いた土を十分に湿らせるようにたっぷりと与えることがポイント。このとき、ついでに水はけが悪くなっていないか観察しておくと、植え替えのタイミングがつかみやすいでしょう。なお水やりをした後、鉢の受け皿に溜まってきた水は捨てるようにしてください。
肥料
基本的に肥料がなくとも十分に育てることは可能ですが、より樹木を成長させたいなら緩効性肥料を追加することも考えてみてください。肥料をおこなうタイミングとしては、開花後の5~6月あたりが最適です。パールアカシアの剪定とほぼ同時期なので、あわせて作業を済ませるとよいでしょう。
以上がパールアカシアの栽培管理方法になります。ここまでの説明で、パールアカシアは育てやすい植物だということはお分かりいただけたのではないでしょうか?耐寒性があるため比較的丈夫で、水やりの頻度もそこまで多くありません。
ただしパールアカシアが育てやすいとはいえ、水やりや植え替えの管理をおろそかにしてはいけません。どんな植物でも育て方を間違えれば枯れてしまう場合もあるので、この章のポイントをしっかり押さえて正しく栽培するようにしてください。
パールアカシアの栽培で気を付けたいこと
パールアカシアの剪定や栽培管理方法以外にも、育てる上では気を付けたいことがあります。それは、「病害虫」と「アレルギー」の2点です。どちらも重要な事柄なので、この章の内容をしっかりと覚えておきましょう。
注意1:病害虫
パールアカシアは、そこまで病害虫が発生しやすい植物ではありません。ですが、万が一被害に遭ったときのことを考えて、代表的な病害虫と対策・予防方法について知っておきましょう。
パールアカシアの栽培で気を付けたい病害虫
- カイガラムシ
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- 主な発生場所と影響
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- 木の枝や幹に発生
- 植物の養分を集団で吸汁
- 排泄物により植物が弱る
- 対策・予防例
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- 歯ブラシ等で取り除く
- 専用の殺虫剤で駆除
- 高温多湿の環境にしない
- コガネムシ幼虫
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- 主な発生場所と影響
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- 根の周辺の土に発生
- 根が食べられてしまう
- 対策・予防例
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- 周りの土を掘り駆除する
- 土用の殺虫剤で駆除
- カミキリムシ幼虫
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- 主な発生場所と影響
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- 穴の空いた幹の中に発生する
- 幹の中を食べてしまう
- 対策・予防例
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- 専用の駆除スプレーを使用
- 弱らせないように栽培する
また、上記の害虫は植物の養分や幹などを食べるだけでなく、うどんこ病などの病気を発生させる原因にもつながります。最悪の場合パールアカシアが枯れるおそれもあるため、早期発見と対応が大切です。
パールアカシアの剪定やメンテナンス時は、これらの病害虫についても、あわせてチェックしてくださいね。
注意2:アレルギー
パールアカシアなどの花粉はアレルゲン物質として指定されています。自分や家族が花粉アレルギーを持っている場合は、症状がひどくならないよう対策しましょう。たとえば、以下の対策方法があげられます。
- 樹木に近づくときはマスクを着用する
- 帰宅後のうがい手洗いを徹底する
- 早朝や夜間のタイミングで換気をする
- 衣服に付いた花粉を落とす
- 洗濯物は部屋干しにする
- 空気清浄機を導入する
また、家族だけでなく近所にも配慮してパールアカシアを栽培するようにしてください。パールアカシアの樹高が家の塀よりも高くなると、周囲に花粉が飛びやすくなります。そのため、樹高を高くしすぎないようにパールアカシアを剪定することも大切です。
パールアカシアの特徴
今回ご紹介したパールアカシアの剪定・栽培方法を押さえておけば十分に育てることができます。ただ、パールアカシアの特徴も知っておくと、育てる上で適切な方法や環境について把握しやすいでしょう。最後に、そんなパールアカシアの特徴について詳しくご紹介します。
パールアカシアはこんな植物!ミモザとは別の種類?
パールアカシアはオーストラリアを主とした熱帯地域を原産としており、マメ科アカシア属に分類される暑さに強い植物です。さらにアカシア属のなかでは珍しく、寒さに強いという特徴も。そのため、アカシアのなかでは比較的育てやすいのです。ただし生育旺盛なので、パールアカシアは剪定しないと5m以上にも大きくなってしまいます。
また、パールアカシアと似た「ミモザ」という植物があることはご存じでしたでしょうか?両者はどちらもマメ科であり、混同されやすいですが別の種類の植物です。ここで、パールアカシアとミモザの違いをまとめましたので、参考にしてみてください。
パールアカシアとミモザの違い
- パールアカシア
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- 分類
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マメ科アカシア属
- 花の色
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黄色
- 葉の形
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丸みを帯びている
- 葉を触ると?
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変化なし
- ミモザ
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- 分類
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マメ科オジギソウ属
- 花の色
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ピンク色
- 葉の形
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細かくて長い
- 葉を触ると?
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葉を畳むように縮む
アカシアの種類
パールアカシア以外にも、さまざまな種類のアカシアがあります。おもに家庭用でも育てることができる、代表的な品種を少しご紹介しましょう。
- ギンヨウアカシア
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パールアカシアと同じ黄色いきれいな花を咲かせます。国内でよくみられるアカシアが、このギンヨウアカシアです。公園樹や街路樹としても使われています。
- フサアカシア
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こちらも、パールアカシア同様黄色い花を咲かせます。葉の形はギンヨウアカシアと少し似ていますが、葉が深緑色のような濃い色になっているのが特徴です。
まとめ
パールアカシアの剪定・栽培管理方法は比較的簡単で、水やりや植え替えのコツを押さえればガーデニング初心者の方でもきれいな黄色の花を咲かせることが可能です。パールアカシアの剪定のタイミングは開花後早めにおこなう必要があるので、忘れないように注意しておきましょう。
また、パールアカシアの剪定が苦手な方や栽培自体が初めての方は、無理に自分でやろうとせずにプロの業者の力を借りるのもひとつの方法です。剪定110番ではパールアカシアをはじめとしたさまざまな植物の剪定依頼に対応しています。お困りごとがあれば、お電話にて弊社にご相談ください。