ピラカンサの剪定方法|正しくお手入れをして花や実を楽しもう!

ピラカンサ

「トキワサンザシ」「タチバナモドキ」「カザンデマリ」といった植物を、総称してピラカンサと呼びます。多くの植物の花や葉が落ち、冬に向けて庭の色合いが寂しくなっていく秋ごろに、庭にいろどりを添える鮮やかな実をつける植物です。

秋から冬にかけて見られる独特の実は、ピラカンサがもつ一番の魅力といっても過言ではありません。実は赤色のものが多いですが、なかには黄色の実をつける種類もあります。しかし、ピラカンサは正しく剪定しないと、実のつき具合が悪くなってしまうことがあります。

このコラムでは、ピラカンサの剪定方法と注意点、基本的なお手入れ方法、ピラカンサを鉢植えで育てる方法の3つについて、わかりやすくご紹介します。秋冬のお庭の美しさをめいっぱい味わえるよう、ピラカンサを正しく育ててみましょう。

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目次

ピラカンサの剪定方法と注意点

まずは、ピラカンサの剪定方法について説明します。

自分で剪定をすることに苦手意識のある方でも、ピラカンサの剪定方法を詳しく知ることで、ピラカンサをどのように育てたらよいのかがより明確に理解できるようになります。

わかりやすくご説明しますので、ぜひ栽培の参考にしてみてください。

ピラカンサの生長は早い

ピラカンサの剪定方法と注意点

ピラカンサは生長がかなり速い植物として知られます。そのため、剪定をしないまま放っておくと四方八方に枝が伸びてしまい、木の形(樹形)が乱れてしまいます。

ピラカンサの一種であるトキワサンザシは、手を加えられないまま放置されると、幅3メートル以上、高さ4メートル以上に伸びることもあります。

生長のスピードがとても速いうえ、樹高も幅も大きいので、少し気を抜くと手に負えないサイズになりかねません。

ピラカンサをまとまりのよい適度なサイズに保っておくには、剪定が不可欠となるのです。

ピラカンサの剪定時期

ピラカンサは、3~4月ごろに剪定しましょう。

ピラカンサの場合、花が咲くのは5月上旬から6月半ばごろまで、実がつくのは10月上旬から3月上旬ごろまでです。剪定は植物の開花や実つきに影響のない期間におこなうのが基本ですが、ピラカンサは実がつく時期が長く、花にも実にも影響の少ない期間が限られているため、剪定の最適期が短くなっています。

花が咲かなければ実もならないので、剪定のときは来年花が咲く枝を切り落とさないよう注意しましょう。3~4月の剪定では、前年11月ごろにできた花芽のついた枝を切りすぎないように注意が必要です。

ピラカンサの剪定方法

ピラカンサは、生垣にすることもできます。生垣にするときは、刈り込みすぎると花芽まで切ってしまうことになり、花の数が減ってしまいます。花を咲かせて実を花芽のある枝を切りすぎないように注意しましょう。

ピラカンサの剪定でとくに肝心なのは「徒長枝(とちょうし)」と呼ばれる枝を切ることです。徒長枝とは、植物の太い枝から垂直に上方向へ伸びる枝のことです。これを剪定せずに放っておくと、見栄えがとても悪くなるほか、木がもつ栄養分が余分に消費されてしまいます。

ピラカンサの徒長枝は太いため、剪定ばさみや刈り込みばさみではうまく切り取れないことがあります。ノコギリなど、太い枝でも切り落とせる道具を使って剪定しましょう。

ノコギリを使うときは、枝の付け根に刃を入れ、前後に動かして枝を切ります。ノコギリは押すときではなく、引くときに切るように意識しながら、けがのないように剪定しましょう。

剪定するときはトゲに注意しよう!

ピラカンサの剪定でとくに注意しなければいけないのが、枝についているトゲです。ピラカンサの若枝の芽はとても鋭く、太いトゲのようになっているのです。

このトゲは、剪定のときにも厄介です。何気なく枝に触れてしまったときや、切り落とした枝を処分するときに、けがをするおそれがあります。この特性を活かして、ピラカンサを部外者侵入防止のための生垣として活用している場所もありますが、そのぶん木の所有者もけがをしやすいため、注意が必要です。

枝を触るときは、厚手のゴム手袋などできちんと手を防護し、力を入れずにそっと触るようにしましょう。その結果、作業の効率が落ち、剪定やその後片づけに時間がかかってしまうこともあるかもしれません。それでも、けがを防ぐためには必要なことです。

どこを剪定したらいいかわからない場合は?

ピラカンサは花や実がつく時期が比較的長いので、どの時期にどの部分の剪定をしたらよいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

剪定をすべき場所がわからない場合は、剪定のプロに知恵を借りると安心です。とくに、ピラカンサのようにトゲをもつ植物は、剪定にコツが必要なこともありますので、いずれにせよプロの業者に協力を仰いだほうが、効率よく正確な方法で剪定ができるのです。

「切るべき枝がわからない」「自分で剪定をするのは不安だ」「トゲにわずらわされずにサッと剪定をしたい」という方は、いつでも剪定110番にご相談ください。どんな庭木でも1本から、丁寧にご依頼をお受けいたします

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ピラカンサの基本のお手入れ方法

次に、ピラカンサの基本的なお手入れ方法を見ていきましょう。

適切な剪定方法だけではなく、日ごろのお手入れ方法も知ることで、ピラカンサをより美しく健康に育てることができます。

ピラカンサが秋冬にしっかりと美しい実をつけてくれるように、日ごろから少し注意しながらお世話をしてみましょう。

ピラカンサの花と実の特徴

ピラカンサの花と実の特徴

ピラカンサは5~6月ごろに、5つの小さな花弁がかわいらしい、白い花を咲かせます。いくつもの花が寄り添うように咲くため、繊細で可憐な印象ながら、とても華やかな見た目になります。

ピラカンサの実は、花のしとやかさとは打って変わってとても派手で、真っ赤な小さい実をたくさんつけます。秋に実った赤い実は冬までそのまま成りつづけるため、多くの植物が落葉期を迎えることで殺風景になりやすい冬の庭にも、鮮やかな色彩を添えてくれます。

ピラカンサの種類によっては、赤ではなく黄色い実をつけるものもあります。

ピラカンサが育ちやすい環境

ピラカンサは生命力が強く、環境や土の状態を問わず育ちます。寒さにも強く、水分量で生長が左右されにくい、とても丈夫な植物です。

日当たりのよい環境を好みますが、明るい日陰(半日陰)でも育てることができます。まったくの日陰であっても栽培自体は可能ですが、花や実数が激減するため、観賞用の栽培では一定量日光にあてたほうがよいでしょう。

ピラカンサがとくによく育つのは、やや乾燥した場所といわれています。お庭のなかでも、日当たりと水はけのよい場所に植えるとよいでしょう。

ピラカンサのお手入れ方法

ピラカンサのお手入れで一番大切なのは剪定ですが、ここではそのほかの「水やり」と「肥料」についてご説明します。

庭植えだけでなく、鉢でピラカンサを育てる際のお手入れについても見ていきましょう。

水やり

庭植えのピラカンサには、普段の水やりは必要ありません。しかし、夏のもっとも暑い時期は土と空気が極端に乾燥するため、朝か夕のどちらかで水やりをしましょう。

鉢植えのピラカンサは、春から秋にかけてはしっかりと水を与えます。枝を十分に伸ばしながら大きく健康に栽培するには、十分な水分が不可欠だからです。

肥料

地植えのピラカンサは、花や実がつきにくい状況でもないかぎり、無理に肥料をやらなくても健康に育ちます。もしも木がなかなか育たなかったり、花や実のつき具合が悪かったりする場合には、遅効性肥料(油かすや骨粉など、肥料をやってから一定時間経った後で効果が出始めるもの)をあげましょう。

窒素分が多く含まれる肥料は、徒長枝がますます増える原因になるので、やりすぎには注意が必要です。

ピラカンサの増やし方

ピラカンサは、「挿し木」「種まき」の2つの方法で増やすことができます。

挿し木

挿し木とは、切った枝を土に挿すことで木を増やす方法です。ピラカンサの場合は、6~7月におこないます。

その年に発芽して十分に伸びきった枝を切り、土に挿しておきます。このとき、土は鹿沼土や赤玉(小粒)土でも、挿し木用の土でもよいでしょう。

種まき

ピラカンサの実のなかから、種を取り出して撒きます。おこなう時期は10月中旬~12月です。熟した実から種を取り出して、きれい洗い、土に植えます。

寒い季節に芽が出た場合は、冷たい風が当たらないよう室内に入れます。空調のかかっていない部屋で育て、暖かい季節になったら鉢に植え替えましょう。

ピラカンサの注意したい病害虫

ピラカンサは病害虫の被害を受けにくい植物ではありますが、とくに注意すべき害虫がいます。それが「ハマキムシ」です。

ハマキムシ
特徴

ハマキムシは4~11月頃に発生する虫で、イモムシ型の幼虫が植物に害を与えます。

葉っぱが不自然に丸まっていたり、葉のふちがちぢれていたりしたら、そのなかにハマキムシの幼虫が潜んでいるおそれがあります。さまざまな種類がいますが、年におよそ4~5回発生して、植物の葉っぱを食べます。

葉っぱのなかにくるまることで、幼虫の姿のままでも冬を越すことができるのがおそろしいところです。冬の寒さで死んでしまっただろうと安心していると、冬眠していた幼虫が春に再発生することもあります。

対策

ハマキムシの幼虫を発見したら、幼虫がいた枝を丸ごと切り取って処分しましょう。

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ピラカンサを鉢植えで育てたい

ピラカンサは地植えだけでなく、盆栽や鉢植えにして育てるのも人気です。ここからは、鉢植えでのピラカンサの育て方をご紹介します。

ピラカンサの種類

ピラカンサの種類

ピラカンサにはさまざまな種類があります。とくに鉢植えに使用される種類には、それぞれ特徴的な魅力があるので、ひとつずつ詳しくご紹介します。

トキワサンザシ

つやのある赤い実をたくさんつける種類のピラカンサです。放っておくととても大きくなるので、こまめな手入れが必要です。

ヒマラヤトキワサンザシ

カザンデマリとも呼ばれます。図鑑では、トキワサンザシとの区別が明確にされていないものもありますが、トキワサンザシよりもさらに密集した形で実が成ります。

タチバナモドキ

みかんをとても小さくしたような、黄色い実をつけるピラカンサです。痩せた土でもよく育ちます。

ハーレクイン

ピラカンサのなかでも珍しい品種です。樹高が低めでトゲが少ないのが特徴で、鉢植えに向いています。

葉っぱに白いまだら模様が入っており、おしゃれな雰囲気になります。空気が冷たくなると、葉っぱが赤く紅葉するのが美しいポイントでもあります。実はほとんどつかないため、葉の美しさを鑑賞したい人にのみおすすめです。

ピラカンサの土づくり

ピラカンサはどのような場所でも生長できる丈夫な植物ですが、とくに水はけがよい土を好みます。赤玉土(小粒)に腐葉土を少量混ぜて土を作り、ピラカンサを植えましょう。

山野草用や、草花用の培養土を園芸店などで購入し、使用することもできます。

ピラカンサ植え付け方法

ピラカンサを鉢に植えるときは、季節に注意しましょう。植えつけに最適の季節は年に2回で、3~4月と9~11月です。ピラカンサの苗を鉢に植えましょう。

苗を土に植えるときには、トゲが刺さらないよう、枝を素手で持つのはやめましょう。トゲのないところを選んで持ち、慎重に植えつけます。

鉢に植えつけてすぐのピラカンサは不安定な状態です。しっかりと土になじんで安定して根付くまで、風当りと日当たりのよい場所で栽培するようにしましょう。

1年に1度は植え替えをしよう!

ピラカンサはとても生長が速いので、鉢植えで育てている場合は少なくとも1年に1度のペースで植え替えをする必要があります。これをおこなわないと、土のなかいっぱいに根が詰まってしまう「根詰まり」が起こります。根詰まりが起こると健康に育たなくなってしまうため、ので注意が必要です。

植え替えは3~4月ごろにおこないます。ピラカンサの根を土ごと鉢から抜き取り、ひと回り大きな鉢に移し替えます。このとき、根がなかなか抜けない場合は、鉢の外側を手などで叩くと抜けやすくなります。

ピラカンサを植え替えるときは、トゲが刺さらないように、持ち方には十分注意しましょう。

また、鉢植えのピラカンサにも剪定は必要ですので、不要な枝は正しい時期にしっかりと切り落としましょう。とくに、樹高が高くなりやすい種類のピラカンサは、少し放っておいただけでも、鉢植えのなかで大きく育ってしまうことも考えられます。

鉢植えのピラカンサについて「植え替え方法がわからない」「自分で剪定をする自信がない」という方は、プロの剪定業者に作業を依頼しましょう。プロであれば、トゲのあるピラカンサの植え替えや剪定をスムーズにおこない、鉢植えでもうまく育つよう整えてくれます。

まとめ

ピラカンサは秋冬の庭をいろどってくれる鮮やかな植物ですが、生命力が強く生長が速いぶん、剪定を怠るとたちまち伸び放題になってしまいます。

ピラカンサは4メートルほどまで伸びるうえ、枝には鋭いトゲがあるので、木が大きくなればなるほど扱いづらくなり、剪定が難しくなります。

剪定のしづらさからついつい放置しがちという方もいらっしゃるかもしれませんが、なにもせず放っておくよりは、業者に依頼してスムーズにピラカンサのお手入れをしてもらうのが安心です。

自分で剪定をするときは安全第一でおこなうようにして、もしも自分で剪定できる自信がない場合は、業者への相談も視野に入れてみるとよいでしょう。

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