トマトは家庭菜園として栽培するうえで人気の植物です。
収穫できるようにするためには正しい栽培管理方法を知っておく必要があります。
そのなかでも収穫するうえで大切なのが、剪定という手入れです。
本記事では、そんなトマト剪定の方法やおこなう時期などを詳しく紹介します。
また、あわせて肥料や水やりなどの日々の栽培管理方法についても触れていきますよ。
正しい育て方を知って、おいしいトマトを収穫しましょう。
トマトを収穫するためには剪定が必要!
おいしいトマトを収穫するために欠かせない手入れが、トマトの剪定です。
品種によりますがトマトは生長が早い植物であり、剪定管理をしないと葉や枝が多くなってしまいます。
そうなると余計な葉や枝に養分が回るため、場合によっては実が成らないことも。
そこでここでは、家庭菜園を最大限楽しむために必要な、トマトの剪定方法について詳しくご紹介します。
トマトの剪定の種類と効果
トマトの剪定方法について順番に説明していきますが、まずはどんな種類の剪定方法があるのか簡単に把握しておきましょう。
下記の4種類があり、それぞれ効果と手順が違います。
トマトの剪定種類と効果
- わき芽かき
-
- 効果
-
余計な養分が回るのを防ぐ
風通しがよくなる - 手順
-
わき芽を摘み取る
- 摘心(てきしん)
-
- 効果
-
余計な養分が回るのを防ぐ
- 手順
-
不必要な幹の先端を摘み取る
- 摘果(てきか)
-
- 効果
-
実が大きくなりやすい
- 手順
-
育ちの良くない実を取る
- 摘葉(てきよう)
-
- 効果
-
病気が広がるのを防ぐ
風通しがよくなる - 手順
-
傷んだ葉を取り除く
病害虫の予防にもなる
トマトの剪定をして余分な枝や葉を少なくすれば、栽培するのに最適な「風通しのよい」環境をつくることにつながります。
病害虫による被害は風通しの悪い環境で起こりやすいため、トマトの剪定はこの予防という点からしても必要性が高いのです。
トマトに発生しやすい病害虫の例として、トマトハモグリバエというものがあります。
トマトハモグリバエは葉肉のなかに寄生し、葉の内部をがつがつと食べ荒らすのです。
このような病害虫被害が広がると植物の生育に悪い影響が出るだけでなく、やがて枯れてしまうことも。
トマトの剪定をしないせいで、せっかく育てたトマトを枯らしたくありませんよね。
トマトの剪定1:わき芽かき
トマトを育てているときに高頻度で生えてくるのが、茎と枝の間に生えてくる小さなわき芽。
これを放っておくと、他の葉に回るはずだった栄養分がそのわき芽に行ってしまい、トマトがうまく育たない原因となります。
おいしいトマトを作るためには、わき芽かきによるこまめなトマトの剪定をおこないましょう。
わき芽かきの方法
茎と葉の間に出てくるわき芽を素手で摘み取りましょう。
小さなわき芽であればまだ芯がしっかりしていないので、すぐに摘み取ることができます。
しかし、伸びすぎたわき芽はうまく摘み取ることが難しいので注意が必要です。
その場合はトマトの茎を傷つけてしまわないように、剪定鋏でわき芽を切り取りましょう。
わき芽かきをおこなう時期・タイミング
トマトのわき芽は、栽培している間ずっと伸び続けます。
そのため、苗を植えて生長してきたときから収穫期が終わる9月~10月あたりまでがわき芽かきが必要な時期です。
わき芽が伸びるスピードは早いため、たとえば2~3日に1度など高頻度でわき芽かきをおこなうようにしましょう。
また、切り取ったわき芽の切り口から雑菌が入ることも考えられるため、晴れた日の午前中にわき芽かきをおこなうのがベストです。
トマトの剪定2:摘心(摘芯)
摘心(摘芯)はわき芽かきと同じく、栄養素が無駄にならないよう一部分を切り取る剪定方法のことです。
トマトの場合は、伸びすぎた茎をある程度の長さまで調整することをいいます。
おいしいトマトを栽培するために、わき芽と同じく茎の状態にも気を付けましょう。
摘心(摘芯)の方法
摘心は、鉢植えに立てている支柱よりも伸びている茎をカットするだけで簡単にできます。
茎が少し太く切り取りにくいため、かならず剪定鋏を用いて摘心をおこなうようにしてください。
摘心(摘芯)をおこなう時期・タイミング
摘心は、トマトを固定している支柱よりも高く茎が伸びたらおこなうようにしてください。
頻度についてはトマトの生長次第なため、これといって決まった目安はありません。
わき芽かきをすると同時に、摘心の必要があるか茎の長さを見ておくと、効率的にトマトの剪定をおこなえるでしょう。
トマトの剪定3:摘果
摘果とは、1ヵ所に多く実っているトマトのうち状態のよいものを残して、それ以外の実を摘み取ることをいいます。
「せっかく実が成ったのにもったいない」と感じてしまう方もいるかもしれませんね。
もちろん摘果をしなくてもトマトを作ることは可能で、たくさんの実を収穫できます。
しかし数が多いぶん生育に必要な栄養が少なくなってしまうので、栄養満点で大きなトマトを作りにくくなるのです。
おいしいトマトを作りたい場合は、摘果もしっかりとおこないましょう。
摘果の方法
一房に数個着果済の熟していないトマトのうち、小さすぎるものや害虫に食べられているもの、病気により状態が悪くなっているものを優先的に取り除きましょう。
大きく育っているトマトはなるべく残していくことが大切です。
また残すトマトの目安は、3~4個/房ほどがちょうどよいです。
摘果をおこなう時期・タイミング
摘果の場合は、その房に着果しているトマトの一部が、ある程度大きくなったタイミングでおこなうようにしてください。
なぜかというと、着果しているトマトが全体的に小さいときは、大きく育つ良質なトマトと、あまり育たないトマトの見分けがつきにくいからです。
間違えて前者のよいトマトを切らないように、トマトの剪定は適期を見極めておこないましょう。
トマトの剪定3:摘葉
摘葉とは、病気や害虫により傷んできた葉や多くなってきた葉を取り除くトマトの剪定方法のことをいいます。
傷んでいるトマトの葉は光合成がしにくくなるため生長が悪くなるだけでなく、病気がほかの健康な葉にうつるおそれもあるのです。
また、摘葉をすることで、病気・害虫以外にも過繁茂(かはんも)という葉が生長しすぎる状態も対策することができます。
摘葉の方法
まずは摘葉が必要な葉がないか、トマトの葉をくまなく確認してみましょう。
以下に当てはまる状態の葉を見かけた場合、病気や害虫の被害に遭っていると考えられるので、注意深く見るようにしてください。
- 表面に変な模様や焼けたような跡がある
- カビのようなものにおおわれている
- 虫食いによりボロボロになっている
- 全体的に葉の数が多すぎる
摘葉しなければいけない葉があった場合は剪定鋏で切り取りましょう。
その後、極端に葉の数が多い場合は、健康で大きい葉を優先して残しつつ15~20枚ほどになるまで摘葉することが大切です。
葉が多すぎるとトマトの実が成らない原因にもなるため、摘葉はしっかりとおこなう必要があります。
摘葉をおこなう時期・タイミング
摘葉は病気や害虫の被害にあったり、葉が多く生長したりしたタイミングでおこなうもので、適切な時期というのは特に決まっていません。
ただ、雨が多くなりやすい6月~7月ごろは、湿度が高くて病気・害虫の被害に遭いやすいため、葉の状態をより注意深くチェックするようにするとよいでしょう。
ミニトマトは剪定の仕方が違う
一般的な大玉トマトとミニトマトは品種が違うため、それぞれトマトの剪定方法も違ってくるのです。
ここでは、品種により違う2つのタイプと、異なるトマトの剪定方法についてご紹介していきます。
トマトの品種は「芯止まり」「非芯止まり」の2つのタイプ
芯止まりとは、植物の茎や根の先端にある生長点(芯)から新しい芽が伸びない性質のことです。
芯止まりは上に伸びるのではなく、わき芽を増やしていくのが大きな特徴。
そのため、わき芽が伸びやすく、横に広がるように生長していきます。
一方非芯止まりタイプのトマトは、芯止まりタイプとは対照的に、生長点(芯)が上に伸びていきます。
そのため摘心という方法でトマトを剪定して、定期的にトマトの株の高さを調整してあげる必要があるのです。
自分がどのタイプのトマトを育てているのか確かめたい場合は、そのトマトが生長していく様子を見てみましょう。
新芽が生えて横に伸びていくなら芯止まり、上へ上へと伸びていくのであれば非芯止まりタイプである可能性が高いです。
「芯止まり」タイプの剪定方法
基本的にミニトマトの多くは、わき芽により横に生長していく「芯止まり」とよばれる品種のものが多いです。
そのため、一般的な大玉トマトとは剪定方法が異なるのでご注意ください。
芯止まりタイプのトマトを剪定する場合は、「第ニ花房」とよばれる、2番目に生えてくる花房より上の葉や枝を切り取る方法でおこないます。
上の葉や枝を切り取るときは、葉を1枚だけ残しましょう。
また芯止まりタイプの場合、上記の方法以外で基本的に剪定は必要ありません。
わき芽かきや摘果などをしなくてもよいため、芯止まりタイプの多いミニトマトは比較的栽培が簡単な植物といえるでしょう。
家庭菜園でのトマトの育て方
トマトの剪定だけでなく、基本的な栽培方法について把握しておくことも大切です。
ここでは、トマトの収穫までに必要な育て方について解説していきます。
環境|置き場所・用土
トマトは風通し・日当たりがよい乾燥した環境を好む植物です。
湿度が高い環境はトマトの生育にとって悪いだけでなく、病気や害虫を発生させるおそれがあります。
トマトのプランター(鉢)は、ベランダなどの日当たりがよい場所であれば十分に育てやすいでしょう。
配置する際は、ほかの鉢との距離を空けると風通しがよいうえにトマトの剪定がしやすいですよ。
またトマトを栽培するときの用土は、腐葉土などを混ぜた培養土が最適です。
園芸店やホームセンターで売っていることがある、家庭菜園用やトマト専用の培養土を使うのもよいでしょう。
栄養満点の土でないと収穫は難しいので、用土の種類は選ぶようにしてください。
栽培管理|支柱立て・水やり・肥料
トマトの栽培に最適な場所を選んだら、つぎは収穫をするまでの栽培管理方法について知っておきましょう。
トマトは剪定のほかに、支柱立て・水やり・肥料の管理が重要となります。
支柱立て
トマトがまっすぐ生長してくれるように、プランター(鉢)には支柱を立てるようにしてください。
支柱には風通しをよくするほか、強風で折れないための対策という役割もあります。
支柱立てをする場合はトマトの苗の近くに支柱を挿し、苗を傷つけないように園芸用のヒモで優しく固定しましょう。
またトマトは1m以上も伸びていくため、支柱は150~180cmのものを選ぶのがベストです。
非芯止まりタイプの場合、支柱の高さ以上に伸びてきたときに摘心によるトマトの剪定もしておく必要があります。
水やり
水やりはプランターの土を触って確認して乾いていると感じたときに、朝か昼どちらかのタイミングで、苗の根元にたっぷりと水を与えるようにしてください。
特に寒くなる季節の場合、夜は冷え込みやすいので夕方~夜の水やりは避けたほうがよいです。
また夏の場合は土が乾きやすいため、朝と昼のタイミングで1日2回程度与えましょう。
なお庭植えの場合は、雨が降らない時期や乾燥しやすい夏を除いて、原則として水やりは不要です。
肥料
栽培の途中でさらに肥料を追加する「追肥」はタイミングを見極めることが大切。
収穫するまでに複数回追肥をおこなう必要があるため注意しましょう。
以下のように庭植えと鉢植え(プランター)で育てる場合で追肥タイミングが一部違うためご注意ください。
追肥のタイミング目安
- 庭植え
-
- 1回目
-
最初の実が膨らんだとき
- 2回目以降
-
次に成った実が膨らんだとき
- 2回目以降
-
- 1回目
-
最初の実が膨らんだとき
- 2回目以降
-
2週間に1回を目安に
追肥の肥料はリン酸が多めに含まれているものを使い、パッケージの目安を参考に適切な量を与えてください。
なお適切な追肥量は場合により違うため、適量を与えたつもりでも多すぎたり、少なすぎたりする場合もあります。
トマトの剪定や水やりついでに状態を確認して、以下に当てはまる場合は追肥の頻度や量を見直すようにしましょう。
- 葉が裏側に向けて丸くなる
- 枝が太くなりすぎている
- 葉の枚数が少なすぎる
- 枝の元気がない
- 葉が上を向いていることが多い
収穫!
一般的な大玉トマトの場合は7月~10月、ミニトマトは5月~9月あたりが収穫時期です。
目安として花後1ヵ月後に収穫が可能となります。
トマトを収穫する際は、実をしっかりと確認して、きれいな赤色に完熟しているかよく確認してから摘み取りましょう。
房から切り離すときは、園芸用の剪定鋏などを使ってトマトのヘタに近い部分を狙って切り取るのがコツ。
根本から収穫することで、他の熟していないトマトを剪定鋏で傷つけることなく収穫しやすくなります。
まとめ
おいしいトマトを満足に楽しむために、剪定をすることはとても大切。
「わき芽かき・摘心・摘果・摘葉」の方法を知って、正しい方法でトマトの剪定をおこなうようにしてください。
ただ、ミニトマトをはじめとした芯止まりタイプの場合トマトは剪定方法が異なるため注意が必要です。
「適切なトマトの剪定方法がわからない」「細かい作業は苦手」といった場合は、剪定作業をプロに任せるという手段もあります。
もし剪定について困りごとがあれば、当サイトの剪定110番にぜひご相談ください。