ビバーナムティヌスの剪定は、花が終わってすぐに取り掛かる必要があります。また、剪定には「透かし剪定」が最適です。ビバーナムティヌスのお世話を自分で正しくおこなう場合、時期や剪定方法に注意が必要ですので、栽培のコツをあらかじめ知っておくと安心です。
この記事では、ビバーナムティヌスの剪定方法を中心に、ビバーナムティヌス栽培のコツと、花や実を楽しむためにできるポイントについてわかりやすくご説明します。「ビバーナムティヌスを健康に美しく育てたい」「ビバーナムティヌスの栽培で失敗したくない」そんな思いをお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
ビバーナムティヌスとは?剪定方法と時期
まずは、ビバーナムティヌスの剪定と、剪定に最適な時期についてみてみましょう。ビバーナムティヌスの剪定には少しコツが必要なので、自分で正しく栽培するには、正しい知識が必要なのです。「剪定はむずかしそう、面倒くさそう」と身構えている方にも、簡単に理解していただけるよう、必要な情報だけをわかりやすく解説します。
ビバーナムティヌスってどんな木?
剪定に取りかかる前に、ビバーナムティヌスがどんな木なのか知っておきましょう。ビバーナムティヌスはガマズミと呼ばれる植物の仲間で、「ビブルナム・ティヌス」「ビブルナム・ティナス」と呼ばれることもあります。春には桃色の蕾と白い花を付け、秋には光沢のある、ブルーベリーにも似た青い実が成ります。
分厚い葉を1年中付ける常緑樹で、寒さにも暑さにも強いため、気候に気を遣わずに簡単に育てられる植物でもあります。生命力の強い木なので、刈り込みなどの大胆な剪定でも弱りにくいのも特徴です。かわいらしい花・美しい実など見た目の華々しさに加え、育てやすい性質から、栽培に人気の植物となっています。
ビバーナムの種類はさまざま
ビバーナムティヌスの仲間のなかには、ほかにも人気の種類があります。ガマズミの仲間の植物は木の高さ(樹高)もさまざまで、なかには紅葉・落葉が起こる種類もあります。ガマズミの仲間のなかでとくに親しまれている種類のなかから、いくつかご紹介します。
- ガマズミ
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春に白い花が咲く点はビバーナムティヌスと同じですが、ガマズミは秋に赤い果実を付けます。実は生で食べたり、果実酒の材料にしたりすることもできます。秋には紅葉し、冬には葉が落ちます。
- キミノガマズミ
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キミノガマズミは、小さな黄色の実を付けるのが特徴です。ガマズミのなかでも野生に多く生える種類で、高さは2~5メートルほどまで育ちます。ガマズミと同様、秋には紅葉し、冬には葉が落ちます。
- ビバーナム・ダビディ
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とても小さな白い花が密集して咲くので、まるでふわふわとした雪の花のように見えます。木の形(樹形)は自然に整いやすい種類なので、こまめな手入れが不要で扱いやすいです。赤色の実は徐々に青色に変化していくため、コントラストが美しい種類です。
- ビバーナム・スノーボール
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密集した花はまるでボールのように見えます。白~黄緑色のアジサイのような外観です。育てるのに手間がかからないのが特徴で、生長も比較的早いです。
ビバーナムティヌスの剪定時期と方法
ビバーナムティヌスの剪定は、花が咲き終わったらすぐ後におこないましょう。「ビバーナムティヌスは花か実どちらかがついている時期がほとんどで、いつ剪定をしたらよいのかわからない」というお悩みを持つ方もいるようですが、そういった場合も、花の終わりを目安に剪定するとよいでしょう。
ビバーナムティヌスは3月下旬~5月頃に花が咲き、夏になるとすぐに来年花を咲かせる花芽が作られます。夏以降に剪定すると、来年分の花芽まで切り落としてしまうことになり、次の年の花付きに影響が出るのです。来年の花芽を守るため、剪定をするときも、できるだけ「透かし剪定(枝透かし剪定)」で枝を落とします。
- 透かし剪定(枝透かし剪定)の方法
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透かし剪定では、伸びすぎた枝・混み合いすぎた枝を適度に切り落とします。木全体の枝の密度を適切にして、風通しや日当たりをよくすることで、木を健康に育てることができるようになります。
透かし剪定では、育ちすぎた木を小さくするために枝を間引く「強剪定」と、余分な枝を必要最低限間引く「弱剪定」があります。ビバーナムティヌスの剪定では来年の花芽を残すことが大切なので、弱剪定に留めておきましょう。
- 木の幹にむかって生えている枝
- 他の枝と交差している枝
- 地面にむかって下がるように伸びている枝
- 地面に垂直に、上へむかって伸びている枝(徒長枝)
不要なこれらの枝を、枝の根元から切り落としましょう。使う道具は木の大きさ(枝の太さ)にもよりますが、剪定ばさみやノコギリを使うとよいでしょう。
ビバーナムティヌスを育てる際のポイント
剪定方法がわかったところで、次はビバーナムティヌス栽培のポイントについてみていきましょう。
ビバーナムティヌスはさほど手をかけなくても強く生長してくれる植物ですが、旬の時期に花や実を楽しむためには、日ごろからの正しいお手入れをすることが大切です。ビバーナムティヌスの植え方や増やし方、元気に育てるためのコツ、気をつけるべき病害虫についてご説明します。
ビバーナムティヌスは「地植え・生垣」の2種類がおすすめ
ビバーナムティヌスは放っておくと2メートル以上に育つこともあるので、お庭などの土にそのまま植える「地植え」と、地植えのなかでも形を大胆に整える「生垣」での栽培がおすすめです。
- 地植え
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大きく育つことがあるので、あらかじめ十分な広さを確保して植えつけましょう。日当たりのよい場所を好む植物ですが、生命力が強いので、明るい日陰であれば栽培することができます。もともと樹形がまとまりやすく、ある程度放っておいても木の形が乱れにくいため、自然な樹形を楽しむことができます。
- 生垣
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ビバーナムティヌスは刈り込みにも強い植物なので、生垣にして楽しむこともできます。生垣として育てる場合は、木の高さ(樹高)を整えるために比較的こまめな剪定が必要となります。生垣の刈り込みをおこなうときは、芽を残して剪定する必要があります。
わき芽を残せば、また枝が伸びてくるため、こまめに樹形を調節しながら育てていくことができるのです。生垣にしているビバーナムティヌスは、枝を刈り込むときに、次の年の花芽まで切り落としてしまいがちです。夏以降に剪定をすると、来年の開花がむずかしくなることを念頭に置きましょう。
ビバーナムティヌスを増やすなら「挿し木」
ビバーナムティヌスの枝で「挿し木」をすれば、1本の木から木を増やすことができます。挿し木は4~5月におこなうのがよいでしょう。
- その年に成長したばかりの若い枝で、先端に花芽が付いていないものを選ぶ
- 切れ味のよい刃物で、枝を10センチメートルほどに切る(芽を2節くらい残す)
- 枝に付いている葉っぱを2枚程度残して間引く
- 「2価鉄イオン」の入った発根促進剤に、枝の切り口から3センチメートルほどまで浸ける
- 市販の清潔な挿し木用用土を3号ほどの鉢に入れ、枝を挿して明るい日陰に置く(一週間ほど)
- 水分不足を防ぐため、土が乾ききらないようにこまめに水をやる
- 毎日、徐々に日なたへ移動させていく
- 一か月後、鉢から土を落とし、枝の切り口からしっかり根が出ているか確かめる
1か月後、切り口からしっかりと根が出ていたら、挿し木の栽培は成功です。新しい苗として育てることができます。
ビバーナムティヌスの生育で気をつける病害虫
ビバーナムティヌスの栽培では、病害虫に気をつけましょう。次のような症状があらわれたら、早めの対処が必要です。
- ハダニ
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- 特徴
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ハダニは葉の裏にくっついて植物の汁を吸います。汁を吸う際に、もともと葉にあった葉緑素が抜け出てしまうため、葉には小さな白い斑点がたくさんあらわれるようです。被害が深刻化すればするほど葉の色は褪せて、葉が落ちてしまうことがあります。
- 対処法
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- 定期的に植物全体に水をかける
- ハダニ用の殺虫剤を使う
- カイガラムシ
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- 特徴
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カイガラムシの仲間のなかには、固い貝殻のような甲羅をかぶっている種類など、さまざまな形状・色のものがいます。カイガラムシは植物の茎に群がって樹液を吸うので、木は栄養不足になり、弱ってしまいます。多くのカイガラムシが発生した植物は、美観を損なうだけでなく、芽や葉が新しく生えづらくなったり、枝が枯れてしまったりすることがあります。
- 対処法
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- 葉や枝を傷つけないよう、歯ブラシなどを使ってカイガラムシを直接そぎ落とす
- カイガラムシ用の殺虫剤を使う
- うどんこ病
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- 特徴
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うどんこ病はカビが発生することによって、植物が弱る病気です。葉の上に、白い粉をまぶしたような斑点があらわれます。斑点が広がった部分では光合成ができないため、病気が広がるにつれて植物はどんどん弱っていきます。
5~6月、9~11月に発生しやすいため、とくに注意しましょう。カビに感染した葉が地面に落ちると、土を介して他の植物に病原菌が移ることもあるようです。
- 対処法
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- 白い斑点が広がった葉や枝をみつけたら、すぐに間引いて処分する(地面に置いたままにしない)
- うどんこ病用の農薬や殺虫剤を使う(植物の種類によって薬剤が変わるため注意)
花や実付きを良くするには「剪定」が大事!
ビバーナムティヌスは剪定をしなくても育つ植物ではありますが、花や実をしっかりとつけさせるには、剪定をしたほうがよいでしょう。ここからは、ビバーナムティヌスの花や実の魅力を最大限に感じるために、どうしたらよいかをご説明します。せっかく栽培していることですから、ビバーナムティヌスの魅力を最大限に味わってみましょう。
実が付いたら切花にするのもオススメ!
ビバーナムティヌスは、春に咲く可憐な花と、秋に実る色鮮やかな実がチャームポイント。ビバーナムティヌスの実には光沢があり、植物ならではの自然の魅力のなかに、高級感と上品さが光ります。そんな美しい実の活用法としてうってつけなのが、切り花です。
実がたくさん成っている枝を切り落として、ほどよく葉を間引いて見た目を整えたら、花器に飾ってみましょう。鮮やかな肉厚の葉の緑色と、その合間に散る光沢ある紺青が、お部屋をぐっと素敵に彩ってくれます。
春に咲く白の花とピンクの蕾をインテリアとして、水挿しにする方は少なくないかもしれませんが、秋の実も同様にお部屋の雰囲気を引き立ててくれるのです。
剪定の仕方に不安がある場合は?
ビバーナムティヌスの剪定は簡単ですが、不安があるなら剪定のプロに相談してみてもよいでしょう。ビバーナムティヌスは花も実もたいへん美しい植物です。その魅力を最大限に感じるために剪定は大切ですが、自分で剪定をおこなうのは不安だという方も少なくないでしょう。
たしかに植物の剪定は、枝の切り方を間違えると、かえっておかしな形に枝が伸びたりすることもあります。「そのような『もしも』を考えるとなかなか自分では剪定しにくい」と感じるのは、植物やお庭を大切にしている証拠のひとつでもあります。
剪定の失敗を回避するためには、知識と経験の豊富なプロの業者の力を借りるのもよい手です。とくにビバーナムティヌスは美しさが自慢の植物ですから、プロの知識と経験をうまく利用して、栽培を成功させる甲斐があります。
ビバーナムティヌスは手軽に剪定できる植物ですが、「自分で剪定する自信がない」「剪定で失敗したくない」という方は、一度剪定110番にご相談ください。ビバーナムティヌス1本から、剪定のプロが丁寧に対応いたします。
ビバーナムティヌス以外にもお手入れしたい植物がある、花や実がうまく付かずに悩んでいるなど、お客様のお悩みひとつひとつにしっかりと寄り添います。いつでもお気軽にご連絡ください。